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「私の少年」無料ネタバレ最新16話4巻。てらてら光る濡れた思い出のビー玉

私の少年

私の少年16話ネタバレ感想

地元の仙台で、偶然真修と再会した聡子。

髪は短く、背は伸びて、声も幾分大人っぽくなっていた。

2年で急激に成長した少年は、別れ際に連絡先を渡して去っていった。

16話

夜明けにはまだまだ早い午前3時。

目が覚めた聡子は天井を見上げていたが、もう一度眠りは来てくれそうになかった。

テーブルの上にデジタル時計があって、その傍に真修からもらった絆創膏を置いていた。

ベッドからでも手を伸ばせば届く距離に時計は置いていたが、まだ絆創膏の方がベッドの近くに置いていた。

電子レンジでコップに入った飲み物を温め終わると、終了を告げる電子音が夜中の静寂を切り裂いた。

その直後、母が起き出してきた。

聡子はレンジの音で起こしてしまったのかと思ったが、いつもこのくらいの時間には起きているらしく、孫もいないのにもう老人だよと母は自虐した。

しかし、紹介したばかりの男性のポロポーズから逃げ出した聡子にとっては、少し遠まわしな嫌味に聞こえた。

もう30を超えた大人の女性としては、同級生の八島がそういう気でいるだろうことも察せたし、誘われるまま断らずにデートを重ねたのだから、相手をその気にさせた原因が自分にもあると分かっていた。

だから、その程度の嫌味は受けるべきものだと思い、ごめんねと謝った。

母は聡子が牛乳を温めたのだと思って、飲んだ後に寝るなら歯磨きするように注意した。

娘は二人とも昔から虫歯になりやすかった。

母はまだ見ぬ孫より、やはりお腹を痛めて生んだ娘たちがいつまでも心配で、どれだけ年を取ろうと母親でしかなかった。

ただ聡子が飲んでいたのは、もっと老人らしい白湯だった。

私の少年

著者名:高野ひと深 引用元:月刊アクション2017年10月号

八島からは文句のメッセージが来ていた。

フラッシュモブのサプライズを勝手にやったのは彼だが、今は多少理不尽な怒りにも申し訳ない気持ちしか湧いてこなかった。

それよりも、マフラーを巻いてあげた真修の笑顔が脳裏に焼きついていた。

2年で見違えるように成長した彼。

片や聡子はまた髪も伸びて、真修にとっては2年前と何も変わっていないように見えていた。

自分では肌の張りがなくなったのが悲しい現実だと分かるが、彼は変わらないと言った。

それは、彼が日に日に大きく成長しているのに対し、聡子は徐々に衰えていっている違いのせいかもしれなかった。

私の少年

著者名:高野ひと深 引用元:月刊アクション2017年10月号

真修は聡子を見つけられたが、聡子から成長した真修に気づくのはかなり難しそうだった。

真修は家に帰ってから、ずっとスマホを見つめ続けていた。

祖母が揚げ物の途中でチャイムが鳴り、IHの電気をつけたまま応対しに行ってしまった。

真修が代わりに電気を消しに立った直後、スマホが震えていると弟の遼一が教えてくれたが、受け取った時には切れてしまった。

ただそれは、友達が間違ってかけてきただけのもので、ホッとしたような残念なような、どっちつかずの気持ちにさせられてしまう。

宅配便は父からで、義母である祖母のお気に入りの漬物を送ってきたようだった。

天ぷらが食卓に並べられ、夕飯が始まった。

真修は傍らにスマホを置いていつでも取れるようにしていたが、いざまた着信が来て振動すると思わず飛び上がるように驚いてしまい、テーブルを揺らしてお茶を零してしまった。

しかもその着信も、期待していたものではなかった。

仙台で出会ってから3日。

やっぱり連絡しなくてもいいなんて言わなければ良かった。

私の少年

著者名:高野ひと深 引用元:月刊アクション2017年10月号

そんな後悔をすると、いや、もう望まないと決めたんだと言い聞かせた。

でも、連絡がくるまで、きっといつまでも着信が来るたびにスマホに飛びつくだろうことは間違いなかった。

聡子が仕事から帰ると、母は外で食べてくるようで、妹が一人でテレビを観ていた。

パスタを茹で、レトルトのソースを温めてかけただけの簡単な夕食を用意して席に着いたが、聡子は心ここにあらずでボーっとしていた。

気づけばフォークを握っている手からも力が抜けている。

妹がそのことを指摘し、顔の傷が残らないといいねと心配すると、そこでようやく意識が戻ったように反応し、若干乙女の表情になったように見えた。

私の少年

著者名:高野ひと深 引用元:月刊アクション2017年10月号

食後、プリンを持って聡子の部屋に入ると、もうベッドに横になって寝落ちしていた。

枕元に置いたスマホはバッテリーが切れかけていた。

布団をかけてあげ、充電器に差し込んだ時、テーブルに一枚絆創膏が貼られているのに気づいて、よく見るとラインのIDが書いてあるのが分かった。

その瞬間、聡子は一気に目が覚め、あまりに急激に身体を起こしたせいでむせてしまう。

そのIDが男からのものだと勘ぐられると、すぐに顔にそうですと出た。

makura~で始まるID。

中ほどからはもう滲んで消えてしまっていて判別できなかった。

八島から逃げ出して怪我して帰ってきた日に貼ってたやつだと妹はすぐに気づき、根堀歯堀問い質そうとするが、聡子は否定だけしてやり過ごそうとした。

だが二股だのと否定せずにはいられないことを言われたせいで、結局年下の男だと情報は与えてしまい、妹の好奇心をかきたてさせた。

聡子が頑なに登録も連絡もしないと言い張るので、妹はIDを検索してアイコンを確かめるしかないと思った。

私の少年

著者名:高野ひと深 引用元:月刊アクション2017年10月号

聡子は少年の画像が出るかもしれないと思って慌ててやめさせようとしたが、もう遅かった。

だが、表示されたのはDJをやっているらしい知らない女性のもので、打ち込んだ文字が違っていたようだった。

妹はただ、姉が明らかに我慢しているのが分かるので、もっと自分を甘やかしてもいいのだと言いたかっただけだった。

怪我して帰ってきても、妙に嬉しそうでニヤニヤして鼻の穴が膨らんでいることもあった。

幸せになれる相手と再会したなら、距離を取って自分を追い込んでも人生は甘くならないと、農業高校出身らしくアドバイスして部屋から出て行った。

聡子はあごにできた傷を見た。

一瞬で、真修の手が近づいてきた光景が浮かんできた。

正しいIDを打って検索すると、アイコンを見た瞬間、懐かしい思い出が蘇った。

練習の後にしたささやかな花火。

昔ながらのビンに入ったラムネ。

その中に入っているエー玉じゃないビー玉。

夜空の星を閉じ込めたようなビー玉の写真がアイコンに使われていた。

私の少年

著者名:高野ひと深 引用元:月刊アクション2017年10月号

塾の講義が始まった途端、真修のスマホが震えた。

鞄から出して電源を切ろうとしたが、着信画面に待ちわびた人の名前が表示されていた。

satoという人が友達登録をしたと告げる着信画面。

驚きで教科書を落としてしまったが、今度はぬか喜びにならずに済んだ。

将来のために通っている大事な塾の時間だったとしても、机の下に視線を向けて聡子からのメッセージを読んだら、顔がニヤケずにはいられなかった。

私の少年

著者名:高野ひと深 引用元:月刊アクション2017年10月号

感想

私の少年16話でした。

今回もビターからのスウィートで、また一ヶ月を待つのが辛くなります。

再び繋がりを取り戻した二人ですが、物理的な距離が想いを育んで、もしかしたら月一くらいで東京に行っちゃうようになるのか。

さすがに週一の練習は無理でしょうから、進学を仙台で考えるかも知れませんね。

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