夏目アラタの結婚12巻
ネタバレ感想
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アラタと真珠の逃避行。
被害者は自ら死を選び、殺人ピエロはそれを手伝っただけだった。
なぜ彼らは死にたかったのか…
夏目アラタの結婚12巻
真珠の供述により発見された死体は三島のものだった。
病院のベッドで彼女が語ったことによれば、三島は端から真珠が本当の真珠ではなく、後に生まれた妹だと見抜いて脅してきたという。
ただそう見抜けた理由も曖昧で怪しく、真珠はなぜバレたのか考えに考えた結果、本物の真珠を殺したのが三島自身だったから、嫌でも分かったに違いないと見抜き返したのだった。
三島は殺人ではなく事故だと言い訳したが、赤ん坊の無残な死の責任を感じたからこそ、その後はうらぶれた人生を送ってしまった。
結局、しつこく絡んでくる三島への怒りが抑えられなかった真珠は、彼にだけ殺意を向けてその手を汚したのだった。
三島がどうしようもないクズだったから、真珠は殺人鬼として一線を越えることを選んだ。
死にかけたから、アラタが連れだしてくれたから、もう隠さず白状することにした真珠の犯した罪は、一件の殺人と三件の自殺幇助。
しかし告白するにつれ、考えたくなかった疑問が頭をもたげてくる。
彼らは本当に死にたかったのだろうかと。
落ち着いて真珠から証言を取っていった検事は最後に、ピエロのメイクの意味を訊いた。
それは単なる偶然の返り血が発端、幼い頃に母のメイク道具で悪戯して愛情を確かめたように、恐ろしいメイクをすることで幼い見た目を変えて実年齢をごまかす意味もあった。
真珠の妹の本名、人の悪意は時に悪鬼を産む。
真珠の話に偽りはないだろうと感じた検事は、後悔と絶望に苛まれる彼女に自分なりの見解を伝えることにした。
同族嫌悪とは違い、似たような考えの者たちで寄り添うことで肯定感を膨らませる現象や心理。
検事自身が心の底から他人を愛せない、結局は自分だけを見つめていると自覚しているからこそ、真珠は周防を愛している気分になっていただけではないかと。
好き、愛してる、相手と死ねることこそ本望。
本人も計り知れない心を推察した検事の願いは、深く相手の心に触れて温かい交流をできた真珠だからこそ、次の出会いは幸せに向かえるように活かして欲しいということだけだった。
真珠が退院する頃、うだるように暑い夏で、周防たちが熱中症にやられたのを思い出した。
退院と同時に逮捕されて拘置所に送られる背中に叫ぶアラタだが、離婚した夫に返ってくる言葉はなく、宮前を介して面会も完全拒絶する旨が伝えられた。
ただアラタは一番に愛されなくても、死にかけるほどの事故でも、大切な思い出の歌を必死で聴かせてくれたことを後から教えられ、本当に全てを拒否されている訳ではないと信じた。
そして手玉に取られた検事はあくまで事実を追究する法の番人として、三島の遺体と一緒に忍ばされていた被害者たちが自殺の原因を動画に遺していたメモリーカードの資料を明らかにし、真珠の証言を証明した。
宮前にとっては感謝しかない新証拠が提示された夜、アラタは桃ちゃんや新聞店の藤田らと退院祝いに飲んだ。
逃避行の一部を知っている藤田と酔いを醒ましながら、死を選んだ3人の気持ちに思いを馳せていく。
ギリギリで生き残ったアラタは、命を使って真珠を生かそうとしていたのかもと。
真珠の裁判員裁判がやり直される間、やはりアラタは面会に応じてもらえず、自殺と分かった被害者の遺族たちは怒りの向かう場所が家族同士になり、確実に崩壊していった。
それはまるで死者たちの復讐。
死を選んで遺族を悲しませる本人が悪いのか、家族の存在も死を選ぶ原因の一つだから罪深いのか、それともやはり真珠を責めるべきか。
そして3人を殺したことにしていた真珠が真実を話したのは、全てを明らかにすることが終活で、自分も死ぬことで遺族への謝罪とするのではないかと、アラタは考えた。
そこまで心配したアラタは初対面でプロポーズした理由を教える代わりの面会をと、宮前に伝えてもらった。
まさに形振り構わない最後のカードを切ったアラタはどうにか、真珠の好奇心を刺激して会えることになった。
これが最後になるのか、彼女が娑婆に出てからも会える関係を作り直せるのか、僅か15分でその後が大きく変わる。
面会を拒否し続けた理由。
ギリギリでブレーキを踏んだ理由。
死にかけで夕焼け小焼けを聴かせてくれた理由。
そしてアラタは身も蓋もなく弱さをさらけ出し、彼女の懲役刑が確定して9年も経てば、関係者の生活も大なり小なり変わっていた…
感想
夏目アラタの結婚12巻にて完結です。
面白度☆9 不幸度☆9
とにかくイジメを犯罪として裁ける法制にさっさとして欲しい。
悪は裁かれ、被害者は少しでも救われる体験を子供の頃からできれば、少なからず悲劇も不条理も減っていく気がします。