大正処女御伽話3巻ネタバレ感想

無二の親友に会うため、東京に行った夕月。

ほんの数日の別れで、もう寂しさが込み上げていた珠彦。

そんな時、急に地面が揺れ始める。

 

 

東京へ

大正十二年九月一日午前十一時五十八分、関東大震災発生

相模湾海底を震源にマグニチュード7.9の揺れが、東京を中心に襲いかかった。

 

珠彦や綾たちは揺れが治まるとすぐに屋外へ避難し、村の様子を見に行った。多くの家屋が倒壊し、火の手も多く上がっている。
下敷きになった村人を助けようと手伝うが、村の男たちはこんな時でも志摩の人間を拒絶してきて、彼は仕方なく一人家で震えていた。

 

すると、夕月の部屋から猫の鳴き声が。

タンスが倒れて怯えているようで、傍に手紙が落ちているのを見つけて読んでみると、それは彼に宛てた誕生日のお祝いの手紙で、桔梗色のマフラーと手袋を編んだと書かれてあった。

 

文字の一つ一つから彼女との思い出が蘇ってきて、改めてをしているのだと思った彼は、夕月の無事を祈りつつ、学生服とゲートル、そしてプレゼントのマフラーを身につけ、東京へと歩み出した。

著者名:桐丘さな 引用元:大正処女御伽話3巻

 

 

 

途中、東京は浅草に奉公に出ている弟の綾太郎に会いに行くというが合流し、共に行くことに。
彼女にとって、弟の中で綾太郎は取り分け特別だった。

 

彼女が16歳の時、親が客を連れてきて接待をしろと言われもてなしたが、父親はいくらかの金で綾の純潔を売ったのだった。

男が豹変して襲いかかってきて手篭めにされそうになったとき、弟たちの為だと自分は諦めかけたのに、まだ小さい綾太郎が止めに入って守ってくれたのだった。

著者名:桐丘さな 引用元:大正処女御伽話3巻

 

 

なのに、同じく金で買われた夕月は幸せそうで珠彦も優しい。

だからその不平等さが気に入らなくて嫌がらせをしてしまった。

そんな話を聞かされた珠彦は、自分で握った不恰好なおにぎりを分け与えた。

 

綾がもらったそれは、涙が染み込んで少ししょっぱかった

 

 

道中、東京から避難してきた人々の話は、地獄を語るようなものばかりで、近づくにつれていよいよ不安が押し寄せて行く。

 

 

九月三日の雨の日。歩き続けてようやく東京駅に着いた。

淀んだ空の下、声を枯らして夕月の名前を叫ぶ珠彦の視界に、見慣れたお下げ髪が飛び込んだ。しかしそれは、神戸にいるはずの珠子だった。

著者名:桐丘さな 引用元:大正処女御伽話3巻

 

 

各地から派遣された医師の中に叔父もいて、彼の手伝いで東京に来ていたのだ。

綾と不穏な顔合わせを済ますと、気が緩んだのか、珠彦は気を失ってしまう。

 

東京駅の救護所で目を覚ますと、叔父がこの東京で人一人を探し出すなんて無謀だと諭してくるが、しかし珠彦は夕月が生きていると信じ続けて探すと言った。

 

 

翌日。

同じく夕月を思い気が気じゃない珠子も一緒に行くことになり、浅草に行く綾とはそこで一旦別れた。

上野の西郷像には数え切れないほどの伝言が貼られていた。

まず公園内の無料産院に向かうが、そこに夕月と美鳥は避難していなかった。

 

 

その後も一日中探し回り、やがて日が暮れかかってきた。

その間、あらゆるところで不幸な話が耳に入ってきて、珠彦はいよいよ弱音を隠せない。

 

すると珠子が、夕月の無事を信じると共に、死ぬなんて許さないと涙を流して駄々を捏ね始めた。

著者名:桐丘さな 引用元:大正処女御伽話3巻

 

 

気が強く背が高いと言っても、まだ十三歳の少女で同じく夕月を大切に思っているのは一緒なんだと改めて思った兄は、約束通り、妹の頭を撫でて宥めた

 

 

そろそろ救護所に戻ろうかという時、橋の上に身投げしそうな女性を見つけて、急いで取り押さえた。

しかしどうやら誤解で、その女性は身重らしく、ただ祈っていただけらしいが、しっかと握ったお守りに見覚えがあった。

それは珠彦が買った安産のお守りだった。

著者名:桐丘さな 引用元:大正処女御伽話3巻

 

 

お互いが誰か分かり、彼女に連れられて行った先に夕月がいた。

ただ、頭から血を流して目を閉じていた

著者名:桐丘さな 引用元:大正処女御伽話3巻

 

 

すぐに抱き上げ、右手と夕月を括りつけてもらうと、彼は伝わってくる体温に感謝しつつ、叔父がいる救護所へとひた走った。

 

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