
サタノファニ16話ネタバレ感想
シンデレラタイムは終わりを告げ、彼女たちは再び記憶を閉ざされた。
ただ真垣詩音が凶行の末に死んだとだけ聞かされただけだった。
その頃、千歌の兄は2年ぶりに日本に戻ってきていた。
16話
処置室に真垣の遺体は運び込まれていた。
死後3時間が経過し、筋肉量が多い彼女の身体は、幾分早く死後硬直が進んでいた。
首の右側にはパックりと割れた生々しい傷痕があったが、血液は完全に固まっていた。
女医は淡々と指示を出し、手術の準備を進めていく。
リクライニングベッドのように真垣の上半身は少し上げられ、頭を切り開きやすい体勢にセッティングされた。
「ではこれより、LB0002真垣詩音の開頭手術を始める」
女医はメスを手に、彼女の頭を切り開いていく。
ぷくりと血が流れ出し、技術畑の新人は血が苦手だと言って目を背けた。
女医はもったいないな、と残念がりながら、なぜ人間の脳科学は他の分野に比べて分からない事が多いと思う?と訊いた。
新人が分からないのを分かっていたように、彼女はその理由を頭を切り開きながら、世間話程度に話していく。
「それは人体実験ができないからさ。
我々研究者は死体の脳さえ自由に触らせてもらえない。
代わりにマウスやラット、猿の脳を調べたところでそれが何になる?
人間の脳のことは人間の脳を調べないと分かる訳がないじゃないか」と。
そんなことを喋っているうちに、真垣の脳はさらけ出されていた。
萎縮はない。
きれいなピンク色だ。
薬の副作用もなさそうだ。
口々に所見を述べる研究者たち。
女医はすぐに次の指示を出し、研究者たちは電気反応を調べる準備に取りかかった。
困惑する新人に、ニューロンの動きを調べるんだと説明し、その映像がモニターに映し出された。
まさに人体の中に隠された小宇宙だった。
吐き気はどこかに消え、人が一人実験の果てに死んだこと等忘れて、新人は初めて見る人体の神秘に感動さえしていた。
すると今度は、電気ショックで真垣の足がビクんと跳ね上がり、彼は驚いた。
死者に鞭打つ行為に倫理を説こうとする新人だが、彼以外はそんなことに一切の良心の呵責を感じていなかった。
「私は無神論者だが、神様も目を瞑ってくれるだろうさ。
何せ我々は、人類進化の時計を、一気に100年も進めているのだからな」
そう、傲慢に女医は答えた。
所長はプレゼントの箱を前に、霞む目を揉んで溜息を吐いた。
箱の中身は、一枚の使用済みパンツだった。
1週間ものオナ禁をした彼にとっては、小夜子を直接いじりまくれた前回に比べて、あまりの落差に怒りを隠し切れず、箱ごとパンツをなぎ払った。
すると、床に落ちたパンツから「びちゃっ」と水音が聴こえた。
それが単なる使用済みでないことに気付いた所長は、その価値の高さに怒りを治めた。
[ad#co-2]