サタノファニ21話22話
ネタバレ感想
兄が面会に来てくれた千歌は、元の世界に戻る希望を取り戻していく。
彼はすぐに行動を開始し、帰ったと見せかけて再び島に上陸していた。
そして前回の傷が癒えぬまま、また殺人実験が始まろうとしていた。
21話
時計は深夜12時を示した。
マムシドリンクを飲んで準備万端の所長はすぐにいやらしい笑みを消し、誰に聞かせるでもなく、殺人実験開始の号令をかけた。
もちろん部屋に一人きりで、実験の様子をモニターする権限もない。
ただ、興奮を高める彼なりの儀式のようなものだった。
所長の様子もモニター画面で見ていた新人は、自分たちと違い、本質的に実験に携わっていない所長の行動をバカにし、蔑みの笑いを漏らしていた。
しかし、主任は父をバカにされても冷静に軽く諌めるだけに止め、淡々と囚人たちにシンデレラタイムの始まりを告げようとする。
一人減り、二人増えた今は合計10人。
全員ばっちり目が覚めていて、主任が始まりを告げる声にそれぞれ埋め込まれた殺人鬼の人格に気持ちが切り替わっていく。
千歌は既に完全に殺人鬼モードになっていた。
兄が自分を助けてくれようとしているのは、それはそれで頑張ってと思っているようだが、これからまた人を殺そうとしている自分を助けるなんて無理だろうと、本来の千歌の希望を打ち砕くのを楽しみにしていた。
そして気分を高めるため、ロッカーに入っている衣装に着替えようとして扉を開けた。
そこにあったのは制服ではなく、なぜか純白のウェディングドレスだった。
そのタイミングで、主任は再び彼女たちに話しかけ始めた。
今回は二人にだけ白と黒の花嫁衣裳を用意している。
10人を5人ずつの2チームに分け、それぞれに白と黒の花嫁を配置。
他の4人が花嫁を殺せばゲーム終了という、明らかに花嫁に選ばれた者が不利な内容だった。
これは反応や協調性を見るための実験だと言うと、彼女たちは一斉に不満を表し始めた。
そこで主任は、さも今思い出したかのようにもう一つの重要事項を付け加えた。
それぞれのチームの花嫁以外の4人の内の一人に、毒を仕込んでいると。
カプセルで注入したその毒は、殺人鬼モードを保てるであろう限界の45分を目安に融け出す厚さになっている。
つまり、45分以内に花嫁か他の誰かが一人必ず死ぬことになる。
もちろん、協力と花嫁殺しは強制じゃないので、カプセルを仕込まれていないという自信があるなら、今まで通りに好きに動くのも自由だった。
そして花嫁が助かるには、45分間誰からも殺されなければいいだけ。
各チーム一人の死は確定で、それが花嫁なのか運の悪い誰かのかは、自分たちの行動次第だった。
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