著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

インフェクション79話
ネタバレ感想

女性問題を解決できないまま、地下研究所にやってきた晴輝。

そこで榎並と再会してさっそく一悶着起こり、さらに小鳥が温泉街への避難を拒絶した。

なぜ手酷い扱いを受けているこの場所を離れようとしないのか?

 

 

79話 榎並と取引

まさか残るなんて言われるとは思いもよらず、単純に訊き返した。

 

子供たちも不思議な面持ちで一緒に行こうと誘う中、スプーンを洗ったあの少年だけは、何か察しているように俯いていた。

 

 

小鳥は残る理由を、天宮教授を助けるためだと答えた。

 

敵対グループから犯人扱いされている今、そのうち吊るし上げられてもおかしくないこの状況が続き、慕う研究者たちも疲れ果てている。

だから、直接的に関係ない自分が見守る必要があるのだと。

 

 

そう言われても、晴輝は小鳥をこそ心配していた。

 

出会った当初は彼女も妹を殺されたばかりで、とてもまともな精神状態ではなかった。それは助けた晴輝を罵るほどだったから、自分を責める気持ちと自分たちを捨てた父への憎しみで押し潰されそうになっているように見えた。

 

 

そんな似通った関係をして妙な絆を感じている小鳥を放っておけない。

 

しかし、香里の蘇生と母が偶然旅行中で隔離地域の外にいた事実は、息子ながらに父が疑われても仕方ないと思える偶然だった。

 

もしそれが敵対グループに知られれば、どうなるかは予想もしたくなかった。

 

 

その時、スプーンの少年が青い顔をしながら、小鳥だけは絶対残ってはダメだと言った。

 

大人たちが醸す剣呑な空気を敏感に察知していて、小鳥まで何か危害を加えられると心配していた。

晴輝も彼の言葉で不安が増し、彼女の肩に手をかけて連れていこうとした。

 

しかし彼女はそれを振り解き、いたずらっ子のように舌を出して脅して見せた。

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著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

そうこうしているうちに、さっきの研究者が神城が呼んでいるみたいだと声をかけてきた。

 

そのタイミングで小鳥は話を切り上げさせ、努めて明るい笑顔のまま、晴輝を見送ろうとしてくる。

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著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

その時、榎並が訳知り顔でニヤついているように見えた。

 

 

晴輝は榎並を連れ出し、何か知っているか脅しているんだろうと問い詰めた。

 

もちろん彼女は否定する。

そして小鳥は本当に自分の意思で決めただけだと言う。

 

その理由が分からないから、二股をかけるようなクズなのよと突きつけられた。

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著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

彼は甘んじてその罵倒を受け入れ、無駄なプライドを捨てて頭を下げた。

 

計算して人の心を掴むのに秀でている榎並なら、いざと言う時に小鳥を助けることも難しくないと考え、見守ってくれるよう頼んだ。

 

まさか憎まれている彼から頭を下げられるとは思わず、彼女は一瞬何をされたか分からず、ポカンと見つめてしまっていた。

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著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

しかし、彼が本当に切羽詰ってそうしているのだと分かると、もちろん見返りを忘れるわけもなかった。

 

それは、晴輝とのエッチだった。

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著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

首に腕を回して絡み付いてくるのをいつもならすぐに離れるところだが、取引を成立させるためにそのままでいた。

 

菊池先輩が愛した人だから信用する。

 

彼がそう答えると彼女は頼みを聞き入れ、手付金だと言っていきなり唇を奪った