
花園メリーゴーランド5巻
ネタバレ感想
澄子と和解できないまま、村を離れる決意をした相浦。
お宮から人が引いた隙を狙って刀を手に入れたが、またしても澄子に邪魔され、座敷の奥に閉じ込められてしまう。

44話
ブルーハーツのリンダリンダを口ずさんで恐怖を紛らわせている内に、すっかり夜が更けて月明かりが出ていた。
すると、大勢の足音が近づいてくるのが聞こえた。
幕をめくり覗いてみると、松明に火を灯した村人たちは、皆気味の悪いお面を被っていた。
お面を着けた村人たちは拝殿の中に入ってきて、ずんずんと洞窟の中に進んでいく。
彼は咄嗟に岩陰に身を潜ませ様子を窺う。
彼らは御神体に祈りを捧げたかと思うと、すぐにまた出て行った。
すると今度は、働き盛りの男たちが男根を模したあの藁束を担ぎ、威勢のいい掛け声をかけながら拝殿の中に突き進んできた。
その頃春子も宿を抜け出し、彼を捜すためにお宮への階段を上ろうとしていた。
そこに、能面をつけた澄子は立ちはだかる。
45話
彼はまた岩陰に身を縮こまらせて見つからないようにするしかなかった。
男たちは必死な形相で身体から湯気を出しながら、藁束を洞窟の中に運び込み、何度も奥の壁に突き当ててからそこに置いた。
その時、ついに彼は見つかってしまい、トラブルを起こし続けた外の人間だと気付かれ、みぞおちに爪先を蹴り込まれた。
村人は祭りを優先し、彼は捕まえられ森の中の木に縛り付けられた。
春子は道を塞ぐ澄子に彼を返して欲しいだけだと言った。
ここに来てから彼はおかしくなったと涙ながらに訴えると、澄子はバカにしたような目で見下ろしながら、女を知っただけだと答えた。
46話
耳を塞ぐ春子に構わず、色んな女とイチャイチャしてセックスしまくっただけだと澄子は続けた。
春子は澄子を突き飛ばし、彼の名前を大声で叫んだ。
二人が掴みあって言い争っていると、その騒ぎを聞きつけて村人が集まってきた。
洞窟から男たちが出てくると、踊りの輪が大きなリ、列を成し始めた。
縛られた彼のところに、いかつい天狗面の男が近づいてきて、昨夜澄子を泣かしたのはお前か?と訊いてきた。
それで彼は、その天狗が澄子の父親だと気付いた。
天狗はさらにみづえともヤってないか?と訊き、彼はどうにかごまかそうとするが、みづえが認めたとカマをかけられてあっさり動揺してしまい、無防備な腹に膝蹴りを食らわされてしまう。
47話
天狗はそれで離れて行ったが、彼は死をも覚悟して涙を流した。
その時、暗闇の中に人影が見えて声をかけると、それは素直に止まってくれた。
月明かりに照らされたその人は幸枝だった。
彼は神社の洞窟の中に澄子に閉じ込められたこと、夜這いはマサシが妹と間違っただけなのを打ち明けて、幸枝の誤解を解いた。
しかし彼女は、逃がしたのがバレると自分もまずいし、ここの風習をバラされるのも児童福祉法上されるわけにはいかないと言う。
だから、処置を決める話し合いで何とか弁護してみるとしか言ってくれなかった。
全てはこの村を訪れ、早く帰らずに受け入れてしまったのが原因だと言った。
あまりの理不尽さに彼は怒りがこみ上げ、近づいてきた彼女の腕に噛みつき、肉を噛み切られたくなかったら縄を解けと脅した。
彼は一目散に宿に戻ったが、刀と荷物はあるが春子はいなかった。
刀を携え、まず宿の中にいないか捜し始めると、曾祖母の部屋の戸を開けてしまった。
しかしもうかなりボケているようで、彼を他の家族の誰かと間違え、面を持っていけと言う。
彼は着物と面をつけて誰かに成りすまし、春子を捜しに祭りの喧騒の中へ戻った。
48話
女たちが春子らしき女を捕まえてどこかの蔵に閉じ込めたらしい噂をしているのを聞き、御丁寧に蔵の場所まで喋ってくれたので一直線に向かった。
確かに蔵の中に春子は閉じ込められていた。
しかし、頑丈な錠前は刀の柄頭を叩きつけてもびくともせず、お面をつけた誰かが持っているという情報だけで、鍵を手に入れなければならなくなった。
結果的に春子を巻き込み、犯罪者集団とも言えるこの村に彼女を置いて逃げることなど、とてもできはしなかった。