著者名:みかわ絵子 引用元:ブタイゼミ1巻

ブタイゼミ1巻ネタバレ感想

ブタイゼミ1巻のネタバレと感想、無料で読める方法を紹介。

セミの鳴き声で埋め尽くされた真夏のある一日。

ティッシュ配りのバイトをしていた青年は、通り過ぎた美女に目を奪われる。

ただそれは、美人だからというだけではなかった。

 

 

1話

千石今日太、19歳

 

まだ何者でもない彼は、ティッシュ配りにもできる限りの努力をして、全力で配ろうとしていた。

 

同じくうだつの上がらない先輩バイトは、物事に真面目に全力で取り組む人間を蔑んだ目で見る男だったが、何の取り柄も経験も自信もないから、他人を貶めて優越感を感じようと必死になっていることは少なからず自分で分かっていた。

 

 

千石は今まで全てのことに全力で取り組み、結果を出してきた。

 

ただ完全に満たされない気持ちが埋められず、埋めてくれる何かがどこかにないかと探していた。

 

 

そんなある日、偶然ティッシュを受け取ってくれた美人に目を奪われた。

ブタイゼミ

著者名:みかわ絵子 引用元:ブタイゼミ1巻

 

 

わざわざ戻ってきて彼に声をかけてきた彼女は、別人のように雰囲気が変わっていた。

 

 

舞台女優をしているという彼女は千石に何かを感じ、自分が所属している劇団に勧誘してきた。

 

 

如月今日子

偶然、名前も似ているせいか、お互いに何かを感じ取った二人。

 

何でも演じてみせるという彼女に、セミになれますか?とお願いすると、彼女は躊躇いなく街路樹に登り始め、通行人にスカートの中をパシャパシャ撮られるのも構わず、セミの鳴き声をかき消すほどのセミの演技を始めた。

ブタイゼミ

著者名:みかわ絵子 引用元:ブタイゼミ1巻

 

 

通行人も警官も目を奪われ、そして彼女はセミのように飛んで地面に降り立った。

 

 

観客になった通行人の拍手を受けた後で、ようやくドッと汗を吹き出した。

 

セミは汗をかかないから我慢していたと答えた今日子。

ブタイゼミ

著者名:みかわ絵子 引用元:ブタイゼミ1巻

 

 

毎日を全力で生きている彼女に共感した千石は、演技に埋められる何かがあると感じた。

 

 

2話

座長は加賀力とう強面の男。

 

制作は常峰という小柄の元子役の関西弁の女性。

 

今日子に誘われるままさっそく挨拶に来たのだが、入団の話が通っていたわけではなく、ただの素人の千石に団員が戸惑う中、西尾良久という役者が即興劇のエチュードで実力を見てやると言った。

ブタイゼミ

著者名:みかわ絵子 引用元:ブタイゼミ1巻

 

 

しかし、どんなお題でも千石の無表情は変わらず、西尾の怒りを買ってしまう。

 

ただ今日子だけは内面に熱いものを滾らせているのだと認め、相手役を交代した。

 

 

千石は自分では感情を出しているつもりなのだが、それは他人が見ればまるで感じられない程度のものでしかなかった。

 

しかし、今日子の圧倒的な華があるオーラと演技に引っ張られ、西尾とやった時とは比べ物にならないくらいの演技をできた。

 

 

ただ最低限の表情を出せただけだが、今度は常峰とやってみると、やはり今日子のときのような演技はできない。

 

それでも、その空間を息苦しくさせるほどの存在感は、誰もが認めざるを得なかった。

ブタイゼミ

著者名:みかわ絵子 引用元:ブタイゼミ1巻

 

 

3話

劇団ブタイゼミに仮入団という形で認められたが、今日子以外との絡みの酷さは否めないので、座長から自力で泣けるようになれと課題を与えられた。

 

 

プロでも困難とされる演技を指示された彼を、今日子はとある墓地に連れ出した。

 

その中の一つの墓石に縋りついたかと思うと、いきなり号泣し始めた。

 

 

しかしそれは身内の墓参りに来て悲しみがぶり返したのではなく、その墓にどんな人が眠っているのか想像して泣く、演技の練習だった。

ブタイゼミ

著者名:みかわ絵子 引用元:ブタイゼミ1巻

 

 

その一基目を皮切りに、その区画にあった墓石の全ての前で毎回泣き直したのみならず、どれも同じ泣きの演技ではなかった。

 

 

千石は彼女なりのアドバイスを受けて泣こうとするが、泣いた経験をベースにしようとしても、人生で泣いた経験を思い出せなかった。

 

すると彼女は、昔彼と会ったことがあり、最後に泣いた日を覚えていると言った。

 

彼は全く覚えていなかったが、彼女が手の平に乗せたセミの抜け殻を見た瞬間、涙が溢れ出した。

 

 

二人の間には、かつて辛い思い出があったらしい。

 

しかし、今だけを見て生きている彼はそれがなんだろうと泣いた経験を得たことでさらに演技への魅力に取り憑かれた。

 

 

密かに尾行して様子を窺っていた西尾は、言葉にできないほどの驚きと嫉妬を感じていた。

ブタイゼミ

著者名:みかわ絵子 引用元:ブタイゼミ1巻