エロスの種子8話ネタバレ感想

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昭和40年代。

戦争の爪痕が確実に薄らいでいた時代、ある日本画家の元でモデルのバイトをしていた女子大生の順子は、いやらしく縛られて快楽に堕ちていった。

それより数十年前、日本人は明日をも知れぬ戦争の真っ只中で必死に生きていた。

 

8話

前回7話で登場した日本画家の昭島薫がまだ少年だった、昭和20年5月

 

日本人は空襲に怯え、勝利を信じ、いつ終わるとも知れない戦争の中に生きていた。

 

 

しかし、軍上層部の人間は勝利などできるわけないと理解していた。

 

そのうちの一人、稲垣も愛人に家を与えて足繁く通い、待たせている部下にあえて聞かせるかのように、自分の種を残そうと必死に腰を振っていた

相手は、高梨千代という美しい女だった。

 

 

部下の三浦は迎えの車が停まった音がすると、稲垣のみすぼらしく出っ張った腹と千代の臀部がぶつかり合う音が聞こえていても構わず声をかける。

 

稲垣は戦争を始めた一人としての責任感は最早なく、今更する会議に悪態を吐きながら服を着、三浦に千代を任せて出て行った。

 

直前まで喘いでいた女の乱れた姿を見ても、三浦はどうということもなく澄ました顔を保っていた。

 

 

顔も体も美しい千代に、いつどこで男が近寄ってくるかも分からない。それが敵国のスパイや、失脚を狙う国内の不穏分子かも知れないと危機感を抱いていた稲垣は、だから真面目さが信用できる三浦を警護につけた。

 

ならば時世を考えて自重すればいいと正論を吐かれるのは当然。

 

そういう時は立場を利用して黙らせ、最後にはどうせ戦争には勝てないことを理由に、最後の楽しみを堪能するつもりだった。

 

 

 

汗を流したら出かけるから、付いてきて欲しいと三浦に頼んだ千代。

 

風呂場に向かう途中、庭に作った防空壕の陰から少年が覗いているのが見えたが、顔に見覚えもなく、見つかったと分かるや一目散に逃げていった。

 

 

千代が一歩外に出れば、擦れ違う人皆から白い目で見られた

 

高官の妾で、モンペではなく着物で化粧までしているなら無理からぬことだが、しかし憲兵の三浦が付き添っていれば、誰も文句を言うものはいなかった

 

 

学校の校庭では、子供たちの竹槍の訓練が行われていた。

 

藁で作った標的に向け、勇ましく掛け声をあげながら突く子供たち。

 

空襲の前では何の役にも立たない訓練を見て、千代は思考操作をされて報国精神を刷り込まれている子供たちを哀れんだ。

 

すると三浦は憲兵として千代を窘め、次に非国民たる言葉を発すれば迷いなく検挙すると忠告した。

しかし、千代は思わず笑いがこみ上げて耐え切れなかった

 

 

いつもどこでも真面目で、上官の女でも分け隔てなく扱おうとする。

 

だからこそ、三浦なら上官の女を寝取るようなことはしないだろうと、稲垣も千代自身も見越していた。

 

 

 

千代が外に出た目的は、和菓子の落雁を買うためだった

 

元々和菓子屋だったその店は、今もヤミで砂糖を手に入れ密かに和菓子を作っていた。

 

三浦は聞き捨てならず踏み込もうとしたが、捕まらずにいる理由が陸軍の御用達だと言われれば、それ以上動くことはできなかった。

 

 

千代が自由に買えるのも、稲垣の権力のおかげだった。

しかし、千代は落雁が嫌いだと言った。

 

 

家に帰り、三浦は落雁を一つ出された。

しかしその場で食べようとせず、持ち帰ってもいいかと頼んだ。

 

彼とていい年で、もう10歳になる男児の父親だった。

その子に2年ぶりの甘いものをたべさせてやりたいという言葉には愛情しかなく、千代は一つと言わず箱ごと差し出した。

 

 

当然三浦はそこまでは断ろうとすると、千代は落雁が嫌いになった理由を語り出した。

 

 

 

千代にも息子がいたが、8歳の時に落雁を食べて中に入っていた毒で殺された

 

死んだのではなく、殺鼠剤で苦しめられて殺されたのだった。

 

そんな極悪非道な殺人を犯したのは、稲垣夫人だった。

 

子供ができなかった夫人は千代の息子が我が家に入り込むと思い、あの和菓子屋の落雁に毒を仕込んで送りつけ、無邪気に食べた子を死に追いやった。

 

 

この事件は、稲垣の謝罪によりお咎め無しで闇に葬り去られた

 

それもまた、軍の権力者である稲垣が警察に圧力をかけたからだった。

 

 

一度の空襲で万単位の人間が死ぬご時世に、警察が正義感を振りかざすことなどあり得ない。

 

千代が憲兵としての国家権力を持っている三浦が傍にいれば、一般人に文句に言われることはないと言ったのは、単なる皮肉だった。

 

 

 

三浦がそんな憎悪を聞かされたとしても、危うい日常は淡々と続いた。

 

千代はまた稲垣に抱かれ、三浦は喘ぎ声を聞くともなく聞いて警護する。

 

 

千代の息子の月命日にはなれば落雁を買いに行き、一つを仏壇に供え、残りは三浦が息子のために持ち帰る。

 

そして空襲とは縁遠かったはずのその辺りにもついに警報が鳴り響いた

 

 

二人はすぐに庭の防空壕に入り、遠くで爆発する衝撃のたびに揺れる小さな穴の中に不安が増していく。

 

いよいよ本当に崩れそうなほど揺れた時、千代は三浦に抱いて欲しいと懇願した。

 

密かに慕っていたという切ない感情があったのかどうか、憎むべき女の夫が人生最後の男になるのは、あまりに自分が不憫で、自分の意思で抱かれたいと願った。

 

 

同じ子を思う親同士の潤んだ瞳。

 

悲しみと願いを聞き入れた三浦は唇に吸い付き、いつ地面の中に埋もれるかも分からない状況で興奮し始めた。

 

 

吹き飛び、家と人が焼け、今にも多くの人が死んでいく中、着物をはだけさせた千代を跨らせた三浦はただただ気持ちいい千代の中で頭がいっぱいになり、ひたすらに腰を突き上げて空襲が終わるのを待った。

 

 

 

警報が解除された頃には、二人の激しいまぐわいも終わり、息と衣服の乱れを整えている時だった。

 

三浦は先に地上に出ながら、これは一時の気の迷いだと告げた。

 

しかし千代は、彼の襟に自分の紅がついているのに気づきながら教えなかった

 

 

新しく警護役になった男は、どこにでもいる欲に忠実な人間だった。

 

三浦がいなくなってモンペを履くようになった千代を認めず、いつもより乱暴に抱く稲垣との情事を覗いて役得を得る、分かりやすい男だった。

 

 

出場亀男に代わってから最初の月命日、千代が一人で家を抜け出した矢先、あの時の少年が竹槍を持って待ち構えていて、千代を売女と罵った

 

罵倒の言葉を彼が教えたのだと気づいた直後には、腹を貫かれていた

 

 

 

再び空襲を告げる警報が鳴り響き始めた。

 

勇ましく自分を殺しにきた少年が肉の感触と血の臭いに青ざめていく中、千代はまるで我が子のように落雁はおいしかった?と訊ねた。

 

少年が慈愛に満ちた表情から逃げた後、一帯に爆弾が降り注いだ。

 

 

 

やがて戦争は終わり、稲垣は刑を言い渡される前に自害し、憲兵たちに次々と極刑が言い渡されていった。

 

 

薫少年が久しぶりに父に会いに行くと、死刑になることを伝えられたが、妻への裏切りは認めつつ、殺されるような罪は犯していないと、胸を張って言われた。

 

そして薫は訓練した竹槍で千代を突き殺したことを打ち明け、殺人を犯した死刑になるべき自分が生き、罪のない父が死ぬ理不尽の意味を問うた。

 

 

落雁の甘さに似た、慈愛に満ちた笑顔。

 

昭島薫は幼心に刻み込まれた全てを、歪なエロスに昇華しようと筆を執り続けた。

 

 

感想

エロスの種子8話でした。

やはり昔の方が、殺人へのハードルは低く思えますね。

逃げおおせる確率が高いのもあるでしょうが、交通事故やらが今より少なくても人の死が身近だったと思います。

ハードな題材の分、エロスは前回よりソフトでした。