
エロスの種子9話
ネタバレ感想
エロスの種子の漫画最新話と最終回まで、最新刊ネタバレと感想、あらすじ、エロ画像、結末、漫画を無料で読める方法を紹介。
多くを失わせる戦争の真っ只中、一番のあおりを食うのはいつも子供や力のない女たち。
権力を持った男の身体を許し、どうにか生き延びる道を得ていた千代は、しかし子供の底知れない恨みを知らぬうちに買ってしまい、その命を落とすことになった。
9話
昭和20年の戦地ラバウル。
死屍累々の地獄絵図の光景が広がっていた。
徴兵で召集された菅原は、戦友の玉井の最期の言葉を聞かされようとしていた。
時は移動しなければならない日暮れ時だったが、玉井は動くことはできず、最早痛みも遠のいていて、己の死を覚悟していた。
そして、自分の指を切り落として帰りを待っている妻に届けて欲しいと懇願した。
妻の鈴子との約束。
身体の一部になってでも、必ず帰ると。
菅原からも虫の息に見えた玉井の願いを叶えるため、小刀で小指に刃をあてがった。
だが、それではないという。
送り届けるなら、何度もかき回して悦ばせてきた中指を持っていって欲しいらしい。
それは夫として男としてのせめてもの誇りであり、妻への愛だった。
そして菅原は、死地を共にここまで潜り抜けてきた戦友の中指を落とした。
同年9月。
菅原は玉井の願いに沿って浦和にいた。
玉井家を訪ね、未亡人となった鈴子に腐っている中指を渡すと、彼女はそれを握り締め、戦死公報も信じずに待ち続けていたのだと打ち明け、突きつけられた夫の死に涙した。
悲しみは悲しみだけに留まり、最期を看取った菅原には、せめて一宿一飯で恩に報いようとする。
農家をしているおかげで遠慮はいらないと言われ、タイミングよく鳴った腹の虫に救われ、菅原に断る理由はなくなった。
ただ、夫を心から思う鈴子を見ていると、自分が惨めな境遇であるのを思い知らされて辛かった。
玉井宗太郎と同じく妻を待たせていた身であったが、いざ生還して家に帰ってみると、妻は待ってなどおらず、兵役を免れていた弟とデキていた。
ただそれは、二人が菅原の留守を狙ってした許しがたい不貞行為とは言い切れなかった。
菅原家にもまた、戦死公報が届いていたのだ。
長男の死を知った父は止むを得ず、菅原家を途絶えさせないため、身寄りがなくなった嫁に居場所を与えてやるために、二人にくっつくよう促したのだった。
切実な父の願いと謝罪、妻のお腹に子供がいたことで菅原は身を引くしかなかった。
鈴子は十分に豪華な夕食を用意してくれた。
ありがたく奥さんと呼んで感謝し、手を合わせると、鈴子は未亡人なのを呼ばれるたび自覚させられるのは悲しいからと、鈴子と呼ぶよう頼んだ。
農家なだけあって、家も広く立派だった。
ここには舅と二人で暮らしているらしく、菅原は突然の泊まりに心配するが、舅はおそらく今夜も飲み明かして帰ってこないだろうという。
それに、息子の最期の言葉と身体の一部を届けてくれた人なら歓迎するだろうと言われ、菅原はようやく心が温かくなることができた。
食事の後は、湯まで用意してもらえた。
久々に湯に浸かれて、やっと緊張が取れ、身体がほぐれていく。
リラックスしたところで、鈴子が宗太郎の着古しの浴衣を置いておくと声をかけてきた。
無防備な状態でいるところに色香漂う未亡人の声を聞いて鼓動が速くなるのと同時に、ここは本来、自分のいるべき場所ではないと改めて思えた。
ここにいるはずは、鈴子の夫の玉井でなければならなかった。
部屋に戻ると、布団を敷いてくれていた。
体格がほとんど一緒だったことで夫の浴衣の丈でぴったりなのを見た鈴子は、またそこに夫の影を見たように微笑んだ。
いたたまれなくなった菅原は、自分だけが生き残ったことを詫び、今の自分が惨めな立場でいることを打ち明け出した。
妻は戦死公報を鵜呑みにして、弟と再婚し、子供まで孕み、菅原家を継ぐこともできなくなった。
一途に待ち続けた鈴子との違いに、菅原を怒りさえ覚え、行き場のない溜りに溜まっていた性欲の捌け口として鈴子にぶつけようとする。
突然抱きしめられ、抗う暇もなく鈴子は激しく唇を吸われてしまう。
力では到底敵わず、自分で敷いた布団に押し倒され、胸元をはだけさせられて乳房を露にされ、そこに無理な願いをしてくる菅原の吐息がかかる。
答えようにも拒否しようにも、乳首を吸われてはまともに口が回らない。
生きる糧に、お互いの妻の話をしていたのだと明かす菅原は、亡き戦友から聞かされた敏感な部分に指を伸ばそうとする。
指と舌で両方の乳首を刺激しながら、玉井にはもうない中指をザラザラした膣壁に擦り付ける。
すると、聞いていた通りに鈴子は言葉では嫌がりながらも、淫らに喘ぎ、身体を震わせ、艶かしい表情を見せていく。
しとどに濡れていく膣から愛液が溢れ出し、菅原は征服感に心奪われる。
涙を滲ませ、頬を紅く染め、懇願する鈴子。
止めて欲しいのか、指ではなくていきり立つイチモツを挿し込んで欲しいのかは判然としなかったが、その表情が菅原の理性を完全に吹き飛ばした。
今だけは玉井宗太郎。
そう言えば、鈴子も諦め、この行為を楽しむだろうと思った。
そして戦友の妻の中に突き入れ、何度も何度も喘がせ、妻に注ぎ込むはずだった子種で満たした。
一人満足し、寝入っていた深夜、突然の怒鳴り声で目を覚ました。
しかしまともに動けず、縛られているのに気づきながら振り返ると、鉈を持った老人が怒り心頭に見下ろしていた。
玉井の父親らしい老人に、息子の指を持ってきたのだと釈明するが、その指は息子のではないと鈴子が言っているという。
顔色一つ変えずに後ろに控える鈴子。
老人の怒りは嘘を吐いて上がりこんだだけではなく、人の女を犯したことに怒っていた。
人の女とは、もちろん鈴子のことだった。
息子の妻を寝取っていた老人は、この怒りが正当なものであると信じて疑わず、菅原を強引に立たせると、落ち窪んだ中にあるギラついた目を剥き、鉈をこれみよがしに見せ付けた。
菅原はその目に見覚えがあった。
否応なく見てきた、戦地での戦友や自分の目と同じだった。
抵抗しても後ろ手に縛られていてはどうにもならず、鉈の柄で頭を打たれ、ゆっくりと力が抜けていく。
そして、鈴子もまた自分の妻と同じなのだと思い、どうしようもなく笑いがこみ上げてきた。
突然こみ上げた怒りは欲望のままに鈴子を犯した罪を棚に上げさせ、女のために戦ってきた意味を踏みにじられたことだけを責め立てる。
しかし、鈴子も黙って言わせておかず、被害者なのは女も一緒だと言い返した。
結局のところ、男は女を力で抑えつけて自分の言いように扱おうとする。
ならばそれに従うフリをして生きることを、咎められる筋合いはなかった。
自分で蒔いた種だと言われれば、菅原に言い訳する余地はなかった。
鈴子の言い分を認めるしかなかった。
女を踏みにじる男はいくらでもいる。
しかし、行きたくない戦争に行かされた男たちもまた、理不尽な暴力に晒され、何の意味も見出せずに死んでいったのだ。
そう言い訳する前に、老人が鉈を振り下ろし…
感想
エロスの種子9話でした。
戦後直後の貧しい時代には、こんなことが少なくなかったように思います。
戦死の知らせがどこまで正確な情報だったのか分かりませんが、紙一枚で始まって終わらせられたら、感情の持って行き場がないでしょうね。
髪や持ち物ではなく、中指なのが切実でした。