インフェクション
108話109話ネタバレ感想

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三股問題に翻弄されかけた晴輝だったが、無事に自己中心的な本音を包み隠さないことに決めて、紗月にキスをぶちかまして自分の女の一人として囲った。

一方、蛍の計画は自爆テロにより衆議院議員、総理、議員会館と次々に爆破され、打つ手を葬られていた。

 

108話

テレビ中継は前代未聞の国家に向けたテロを映していた。

 

衆議院が白煙を上げながら崩壊した直後、その後ろで議員会館が砂の城のようにあっけなく崩れていった。

 

リポーターはそれをしっかりと視聴者に伝える役目も忘れ、一人の国民として茫然自失していた。

 

思い出したように言葉を紡ぎ始めるが冷静さを取り戻しきれず、たどたどしい実況がその光景で受けたショックのほどを物語る。

 

まだ生存者がいないと分かったわけではないが、あんな巨大な建物の崩壊に巻き込まれたのなら、総理や議員なんて肩書きはなんの意味もなく、生存は絶望的だと伝えるしかなかった。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

当然、国会中継は世界が注目していた。

 

 

 

目の前で議員会館を爆破された蛍は、改めて自分の考えていた策と、今の状況を整理した。

 

 

保菌者騒動を解決するために、自衛隊の武力行使は必須だったが自爆テロで総理まで消えたとなれば、命令を下す人間がいなくなってその道は閉ざされた。

 

その場合に頼れる参議院議員も全滅。

 

 

蛍はそこまで整理し、次の行動に移ろうとしたその時、ジョガーを装った協力者から暗号化された情報を聞かされ、攻撃されたのが国会のみなのを知った。

 

それは、大した慰めにはならなかった。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

戦後の憲法ではこのような緊急事態に対応できる条項がなく、軍を持たない日本が色々な段階を踏んでやっと保菌者騒動に自衛隊を介入させられるかも知れないところまで持ち込められたのを皮肉る自爆テロ。

 

 

全ては立法を経て対処される。

 

それがなくなった今、国連に指揮を任せて建て直しを図られることになれば、もはや日本は日本と言えなくなる

 

 

自衛隊も指揮権を奪われ、隔離地域は仙台どころではなくなり、日本国民全体の自由が奪われていく。

 

しかし、日本が傀儡国家となれば市民の叫びなど届くはずがない。

 

つまり、平和と謳われた日本も内乱にまみれた暗黒時代に突入するのは必至。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

 

どうしていいのか、どうなっていくのか分からない国民は、チャンネルを変えて何か有益な情報を伝えている番組がないか探した。

 

しかし、どの局も混乱を来たし、アナウンサーは無言を貫くか、意味のない言葉で濁すか、若い女性アナウンサーが泣きじゃくって無闇に責められているだけ

 

絶望するアナウンサーが無責任に零した言葉は、そのまま国民の気持ちに伝播していった。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

 

蛍はまだそこまで悲観していなかった。

 

折りたたみ櫛を取り出し、乱れた前髪を後ろに撫で付けて綺麗なオールバックに戻す余裕を取り戻せていた。

 

ここまで整理した状況は、まだ想定済みだった。

 

日本が弱点を突かれたこうした事態になっても立ち上がれるよう、あの東北を襲った未曾有の大災害の頃から、しっかり準備してきていた。

 

 

国会前はモラルのない野次馬がいたり、悲観して泣き崩れているものなどで騒がしかった。

 

蛍は彼らに一瞥もくれず、ああした野次馬を集めた張本人のところに直行して声をかけた。

 

車を回せとがなり立てていたのは、こういうときに利用するために接触しておいた衆議院議員の金平だった。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

国会前でデモを先導していた金平に、衆議院と議員会館が崩壊、全国会議員の生存は絶望的だと伝える。

 

生き残っているのは金平だけであり、今こそ総理大臣になって国民を導く時だと言って手を差し出した。

 

 

日本を傀儡国家にしないために、一人のしがない議員を騙すことなどなんでもないことだった。

 

今は亡き総理が、実は金平を密かに高く評価していて、もしもの時には金平を頼るつもりだったと口からでまかせを並べ立て、人づてに聞かされた褒め言葉に金平はあっさり口元を緩める。

 

 

結論を急かす秘書に構わず、総理大臣に就任する手順を話す。

 

 

国会がなくなった今、本来の手順で今すぐ総理になることは不可能。

 

だから、国民の圧倒的な支持を得ることによって総理大臣を自ら名乗り、自衛隊を指揮して保菌者騒動解決に取り掛かればいいという。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

そのためにやることは至極単純明快。

 

絶望しかけている国民を安心させるため、国会前にいる中継カメラを使い、国民に向けて指示を得られる印象的なスピーチを行い、頼らざるを得ない存在になればよかった。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

蛍は秘書にカメラマンを探しに行かせようとするが、黙って聞いていた金平がそれを止めた。

 

一体どういうつもりなのか、政治家としての誇りや野心は微塵もないのか、この状況でも総理になろうと思えるほどの責任感もないのか。

 

蛍の提案を拒否するような言葉を吐き出したのだった

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット