
たとえ灰になっても
53話54話55話ネタバレ感想
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カエデに課せられた解剖地獄。
カエデがかつて共に過ごした従兄の正輝だと気づいたユキはしかし、妹の幸花以外を顧みるつもりはなかった。
ただ、なぜ命を捨てて自分を助けようとしているのか解せないまま、従兄の悲鳴を聞き続けた。
53話
正輝の回想から始まる53話。
母が家を出ていくと言い出した時、正輝は自分もついていくと縋ったが、それは許されなかった。
経済的な意味で家に残れと答えた輝子のその時の表情を、正輝はしっかりと覚えていた。
輝子が出ていくと決めた理由は、父の腐り切った性根が原因だとは嫌でも分かっていた。
激しくなっていく良真たちへの暴力。
怒号を聞くのも珍しくなかったが、正輝は守れなかったあの時から、従弟たちに声をかけることさえできなくなっていた。
親子3人で輝いていた過去。
これから従弟たちと楽しい思い出を作るはずだった未来。
その両方が、早くも崩れ去ったのは、自分に勇気がないからだと正輝は思った。

著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2018年24号
家はとにかく居心地が悪い場所でしかなくなり、学校だけが一心地付ける場所だった。
もちろん、どこでも殺人犯の親戚だということで悪意をぶつけてくる輩はいたが、友人に恵まれていた正輝は悪意に屈するようなことはなく過ごせていた。
しかし、学校でも従弟たちとは話さないまま。
いつも二人だけでいるのを見ると、また自分の不甲斐なさがこみ上げた。
家でも外でも会話はなく、あっという間に中学生になった。
その頃には幸花は声を取り戻していたので、良真と話しているのが聞こえてくるだけで救われる思いだった。

著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2018年24号
輝子も定期的に帰ってきて、他愛ない母子の思い出を作ってくれる。
時間が解決してくれるものもあるのだと思い、今までになく勉強も頑張り、自信満々で父に通知表を見せたことがあった。
褒められるに違いないと思える成績を取った。
そう信じていたが、父は良真と比べて劣っていることに怒り狂っただけだった。
正輝にしてみればできる従弟に感心するばかりだったが、父は憎んでいる兄弟の息子を通して自分が負けたと思いこみ、怒号を放つだけだった。

著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2018年24号
意味は分かるが理解できない感情の動きだった。
あれだけ怖く見えた父は、ただの矮小な男でしかなかった。
息子同士も争わせて悦に入るか怒り狂うかに終始している小さな男に嫌気がさし、そんな男に怯えて従弟たちを見捨てた自分が更に情けなくなり、正輝は自室に引きこもるようになった。
外に出ることはないと誓ったはずだった。
しかし正輝は天使の囁きに耳を貸し、辺獄に足を踏み入れてしまった。
そして今、腹を切り裂かれて内蔵を露わにされていた。

著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2018年24号
クロエルは甘い囁きでカエデが知っている誰かの真実の名を言うよう迫るが、もう死を覚悟しているカエデは、クロエルの思惑に乗ってゲームを盛り上げるつもりなどなかった。
こんな時でさえおっぱい魔人を発揮してゲスに笑い、クロエルを茶化す余裕さえ見せるのに、すぐ傍で解剖を見せられている沙羅は根性があり過ぎるカエデを見直した。

著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2018年24号
吐かないなら吐かないで、天使たちは解剖を進めていくだけ。
シロエルが手に取った器具は、太い枝でも簡単に切れちゃいそうなでかいハサミだった。
それでちょっきん24本の肋骨を一本一本切断していくのだと微笑む。
子供番組のようにちょっきんちょっきんとリズムを取りながら肋骨をちょきん。
カエデは訳が分からないほどの激痛に叫ぶしなかく、24回も駆け巡る地獄の衝撃を受け始めた。

著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2018年24号
ユキは鈍い音と悲鳴を聞きながら、なぜ正輝がここにいるのか考えた。
引きこもっていたはずの正輝。
なぜ大金を必要としているのか。
なぜ地獄の苦しみの果てに死ぬと分かっていて、自分を助けるのか。
その時ユキは、同居が始まった日に宣言したことを今守るつもりなのかと思った。
正輝を苦しませたいわけではなく、一思いに名前を呼んで解剖から解放してやれば、名前を呼ばれるリスクが消える。
しかし横ではフグドクがじっくり顔色を窺って観察してくる。
ここで正輝と呼んで解放すれば、そこから四宮良真の名に行き着かれないとも限らない。
やはりユキは心を鬼にして、何も言わないことにした。
たとえ肋骨を全部切り折られて、聞くに堪えない悲鳴をあげていたとしても。
心臓をツンツンされて遊ばれていても、助けるべきは幸花だけだと言い聞かせて耐えた。

著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2018年24号
何も憎しみなど感じていない、子供時代を共に過ごした従兄が泣き叫んでいても、妹を助けられなくなる危険は犯せない。
一人沙羅は、カエデを解放してやってくれと懇願して涙を流している。
その願いに誰かが共感し、カエデの本名を口に出した。

著者名:鬼八頭かかし 引用元:ヤングガンガン2018年24号
それはユキか、はたまた別の誰かか。
そこでカエデの悲鳴はようやく途切れた。