
ゴブリンスレイヤー31話32話
ネタバレ感想
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剣の乙女が全てを知っていることを吐かせたゴブリンスレイヤーだったが、何も咎めるつもりはなく、気持ちに答えるつもりもなかった。
ただ、ゴブリンが出たらいつでも殺してやると請け負い、剣の乙女の恐怖を和らげた。
そして近づく収穫祭。
受付嬢は勇気を出して彼を誘い、当日に会う約束を取り付けたのだった。
31話
街は夕陽に染まり始めていた。
受付嬢と収穫祭を一緒に見て回る約束をしたゴブリンスレイヤーは、そろそろ帰ろうとしていたところだった。
そこで、笑顔の牛飼娘が彼の背中に声をかけた。
用事があったついでに彼と一緒に帰れればと探していたようで、当たり前と言えば当たり前、二人は一緒に暮らしている牧場へ歩み始めた。

著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年1号
肩を並べて歩き出すと、彼の兜の隙間に花びらが引っ掛かった。
見上げると咲いていたのは金木犀で、牛飼娘はその香りに季節の移り変わりを実感した。
半歩先を歩く牛飼娘はさり気なく彼と手を繋ぎ、暗いから危ないなどと尤もらしい理由を後付けした。

著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年1号
金木犀が咲いているのを見つけたから、花言葉は君にぴったりだから調べてみるといいと促すと、彼も素直に同意する。
そのタイミングで牛飼娘は、収穫祭について切り出した。
すると彼が誰かに誘われたと言うので、あまりの驚きに変な声が出てしまった。
一体誰が彼を誘ったのか?
それがあの受付嬢だと教えられると、スタイル以外は女性として全て上回っているとしか思えない大人の女性なことに、牛飼娘は危機感を覚えた。
彼は特に女から男を誘った意味を深く考えていないようだったが、それも受付嬢が当日に行動を起こせばどうとでもなる。
無理に笑顔を作って自分も一緒に見て回るつもりだったと打ち明けるが、それも彼はいつもの「そうか」としか返さなかった。
街を出て、また手を繋ぎながら牧場へ続く道を歩いていくが、牛飼娘にさっきまでの笑顔はない。
それでも、受付嬢とはいつ会うか訊ね、午後からだと教えてもらう。
だから一か八かで、午前を自分に欲しいと言ってみた。
すると彼は何でもないように、いいぞとあっさり受け入れた。

著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年1号
牛飼娘は俄かには信じられなかった。
念を押して訊いても、いいも悪いもないとぶっきらぼう。
結局牛飼娘が行きたいかどうかに任せるという意味だったので、彼女は飛び跳ねて喜びを表現したのだった。
それでも彼は相変わらず、表情は分からない。

著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年1号
牛飼娘がここまで喜べるのは、彼と祭りに行くなんて10年ぶりだったからだ。
そして女たちが勇気を振り絞った一日が終わり、次の日がやって来た。
まだ太陽も昇りきらぬ早朝、彼の一日の始まりはいつも一緒だった。
朝からしっかり冒険用の装備を身に付け、牧場周辺に異常がないか見て回る。
寒さが増し、暗い時間が長くなるこの季節はゴブリンにとって獲物を見繕う良い時期であり、また彼にとってもゴブリン退治の訓練をしやすい季節だった。
朝日が昇るまでの薄暗い中、夜目を利かす訓練をしながらナイフ投げも繰り返し、対ゴブリン戦においてどんな状況でも冷静さを保てるよう自分を律し続けていた。
やがて地表が白く変わってくると牛飼娘も目を覚まし、窓から顔を出して彼に挨拶の声をかける。
彼をデートに誘うのはそれなりの勇気が必要でも、全裸にシーツをかけただけの大胆な姿を見せることは気にならなかった。

著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年1号
早朝の訓練が一段落すると、装備の手入れに移る。
彼が使っている剣は一生ものの業物でもなんでもない、ゴブリンが切れればそれでいい安物だったが、だから余計に切れ味が落ちているようなら研ぐのを欠かさなかった。
装備の全ては消耗品で、戦闘中でも奪い取って臨機応変に対応していくスタイル。
今日は冒険に出る予定もなく、装備の手入れを済ませても余裕があったので、この機会に農具の手入れにも手を出そうと思った。
その前に、おじさんも納屋に入ってきた。
牛飼娘はさっそく彼と収穫祭に行くことを話したようで、おじさんもそのことについて切り出した。
可愛い姪の気持ちを知っているおじさんは、彼にその気がないことも知っているからこそ、変に期待を持たせて弄ばないよう釘を刺す。
彼は素直に「はい」と答えるが、これも相変わらずどこまで理解しているのか判断し辛い反応だった。
おじさんが頭を抱えると理解しているとは言うが、正直に自信がないと言う辺り、おじさんは彼に誠意があることだけは認めないわけにはいかなかった。
おじさんはせめて、休日くらい姪の朝食を食べてから出かけろと促した。

著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年1号
ただ彼は、一般的な休日の過ごし方を知らなかった。