
インフェクション
146話147話ネタバレ感想
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内なる自分の悲鳴に打ち勝った晴輝は、容易くスナイパーたちを葬り去った。
戦力に数えられず、守られるだけの存在だと思い知った紗月は、連れてこられた理由が彼女候補たちの中でいち早く逃がされるからだと知り、不甲斐なさに打ちひしがれる。
そんな時、新たな保菌者の一体が逃走した。
146話
晴輝たちは無事にホテル岩戸近くまで下りてきた。
自分たちはうまく任務をこなせても、それなりの時間がかかった今、松谷は新たな保菌者の進化でおよそ5千人の避難者の無事が心配になってきた。
想像を巡らせて神妙な面持ちになるが、犯人を倒すと決めて色々吹っ切った晴輝は、山田たちがいるから大丈夫だと言い切った。
ただの楽観視に思えるそれに誰も返事をしないうちに、駐車場に繋がる林に差し掛かると、何やら大きな音が聞こえてきた。
林を抜けると、そこでは巨大な保菌者が重機で運ばれていた。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット
まさに化物級にデカい保菌者は今運ばれている最中の一体だけではなく、他に10体以上は仕留められてご丁寧に並べて寝かされていたのだ。
相当な被害さえ出ていると思った矢先の返り討ちのしまくりに、逆に驚いた松谷たち。
人間の死傷者がどれくらい出ているかは分からないが、駐車場内の人たちは自分たちで声をかけ合って最善を尽くし、この場を乗り切ろうとしていた。
晴輝は予想通りにうまくいっている様子に満足気な笑顔を見せ、彼らの頑張りを認めるが、ここまで何もしていない紗月の表情は晴れなかった。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット
その時、山田から連絡が入った。
彼を歓迎した山田は、安全確認をして順次バスを出発させ始めたところだから、誰か乗せたいならホテル入口に向かうよう指示した。
そのやり取りが終わると、彼を見つけた精鋭部隊の男たちが声をかけてきて、お互いに労を労い合った。
そんな信頼し合っているのが分かる光景を見た紗月は、自分もそこにいたいと思った。
守られるか弱い存在ではなく、共に戦える仲間になりたいと思った。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット
ただ、それはまず無理だとも理解していた。
続々と入り口につけられていくバスに、避難者たちはグループ単位で乗り込んでいく。
そこに合流した彼は、有無を言わさぬ朗らかさで紗月を次の便に乗せてくれと頼むと、大の大人は気後れして了承した。
まだまだ大勢が並んで待っているのに急遽割り込ませられるのも、彼が信頼され、貢献してきた隊長だからだった。
自分やきららたちををいち早く逃がすために、今まで努力して信頼を積み重ねてきたのが分かる紗月は、彼が手に入れたいざという時の優先権を果実だと評した。
その果実を自分に使ってくれたことは喜びに値することなはずなのに、このままバスに乗り込むのはとても辛かった。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット
思わず手を伸ばした紗月は彼の手を取り、無言で伝えるべきではない思いを伝えようとした。
一番の願いは、また離れ離れになるのが嫌なだけだった。
言うべきではないし、一緒にいられないのも分かっているが、危険だからこそ今生の別れになるかも知れないから行きたくなかった。
それでも彼は、悲し気に俯く紗月に優しく声をかけ、バスに乗ってと促した。
その声は子供の頃から聞いて来た、弱者を守ろうとする時の温かいものと同じだった。
自分も周りも騙すようになった彼だが、この声は演技じゃないと分かった。
演技をしていないのじゃなく、するのも忘れている声は、本当に紗月を逃がせることに喜んでいるからだった。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット
慈しみに満ちた彼の表情を見て、紗月は自分ができることに気づいた。