
当て屋の椿17巻
ネタバレ感想
当て屋の椿のネタバレエログロ画像、漫画最新話と最終回、最終話、最新刊、感想、あらすじ、結末、無料で読む方法を紹介。
巷を騒がず連続次郎殺し。
飄々とした雰囲気に底の見えない、賽子の刺青をした羅宇屋。
侘助は子供の頃を思い出を胸に、岡場所で女探しを始めるが…
当て屋の椿17巻
手が出ると書いて拙い。
当時、侘助も楓も拙いと言えば、それはあまりに酷な評価だった。
彫師の棉はとある罪人に証の刺青をいれることになったのだが、相手は包帯塗れで肌が未だに燃えているような熱を放っている男だった。
役人がやたらに警戒するその男の話がするすると耳に残った棉は、鱶に食い散らかされた海人の話、肉片になった男を刺青の模様で判別して泣く女の様を、ありありと想像できた。
元々鱶除けのお守りとして彫られたものだが、本人が一部になってしまえば、残された者に忘れられたくないという強い念になる。
罪人との会話で潜めていた主張を抑え切れなくなった棉もまた、自分という存在を残さずにはいられなくなった。
侘助はこんな怪談を聞かされたことがあった。
秋の夕暮れの田家を訪ねて一夜の宿を求めたのは、品の良い尼僧だった。
主人は快く招き入れてもてなし、旅の疲れが取れるよう湯も勧めるが、彼女は丁重に頑なに断った。
その理由を隠し切れなくなった尼僧が見せたものは、艶やかな乳房を鷲掴んでいる干からびた両手だった。
大名の側室だった彼女は嫉妬と憎しみを膨れ上がらせた今際の際の奥方に襲いかかられ、乳房を掴まれながら死なれてしまったのだ。
死して尚引き剥がせなくなったそれは、手首から切り落とすしかなくなり、それ以来、夜な夜な彼女の乳房を弄び、苦痛と快楽を与え続けているのだそうな。
死者の手首というその話を聞いた侘助は、尼僧と楓が重なり、思わず鼻血を噴き出したものだった。
まさかいかがわしい妄想をされているなど知る由もない楓は、エロい侘助への恨み言を叫んでいる時に、父親が凶行を起こそうとしていることを知らなかった。
かつて妻の身体中に己の証を彫りまくった棉。
彼はまだ満足に抵抗もできない赤ん坊の菖蒲の柔い尻にも、己の印を刻み付けたのだ。
覚えておいて欲しいだけ。
その拙い言い訳はもう、子供の楓にも取り返しのつかない状態に堕ちているいることが分かった。
美形の僧侶は歯を抜かれ、少女は初夜を迎えるまで女陰を縫い合わされる。
棉はもう、妻が襖一枚の向こうで激しく不貞を働いていても眉一つ動かさず、そして妻も悪びれず娘に愛情の一つも持っていなかった。
だから妄執に囚われた棉は、望みの言葉を吐き出さない妻を縊り殺してしまうのだった。
青い火、人魂、それは人の最期の灯火か、ただの出火か。
棉が菖蒲を勝手に連れ帰ったと知った楓は急ぎ帰り、柔肌に針を刺しているところに乱入するが、イカれた父を止める力はない。
しかし、自らの身を守るように抵抗した菖蒲の手が蝋燭を倒し、人魂のように浮かび上がった。
それでも棉は正気を取り戻さず、ついにはそれらしい理由をこねくり回さずに下卑た欲望を露わにしたのだった。