インフェクション81話
ネタバレ感想

蓮華に疑われた晴輝は脅しのネタを作られてしまったが、逆に彼女の恋心を利用してそのネタを逆手に取り、脅し合う関係になった。

トラブル続きの避難生活で、今度は凶報が届く。

https://kuroneko0920.com/archives/34157

 

81話 醒めない悪夢

小鳥はパンデミックが起きる前の平穏だった日常を夢に見ていた。

 

いや、表面上が平和だっただけで、心の中は行き場のない悲しみが渦巻いていた。

 

 

珍しく台所に立っていた小鳥は、妹と自分の分のハンバーグが焼けるのを待っていた。

 

ちひろは父の帰りがいつなのか気になって仕方なく、ひょっこり顔を出して小鳥に訊いてくる。それに彼女は遅くなると返しつつ、危ないから入ってきちゃだめだと注意した。

 

そのタイミングでセットしていたアラームが鳴り、すぐにフライパンに乗せていた蓋を取った。

 

そこまで見て、小鳥はこれがあの時のだと気付いた。

 

 

母が亡くなってすぐ、父は娘たちのためにお手伝いさんを雇い、娘たちの負担を減らしてくれた。

 

休日には娘たちとの時間を大切にし、母がいない寂しさを紛らわせるように幸せな日々を送っていた。

 

 

その日に作ったハンバーグはうさぎの形をした母の得意料理で、それを作ったのは自分のためだと小鳥は今なら分かっていた。

 

妹のちひろが悲しい顔も見せずに毎日元気に過ごしているのは嬉しい半面、自分と一緒に悲しみを共有して欲しくて、母を思い出させる料理を作って出したのだ。

 

 

そのハンバーグは見た目こそうまくできたが、中まで火が通らず食べられたものではなかった。

 

それなのに、ちひろはおいしいと言って笑顔を見せてくれ、小鳥は自分の我がままに巻き込もうとした事を心から悔いた。

インフェクション

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

妹が頼れるいい姉になろう。

 

そう決めた日の一幕が終わった時、場面が変わってあの平岡大学になった。

 

 

服装が今と同じ制服のセーラー服に変わり、ちひろが叫ぶ声がすぐ傍でした。

 

ちひろは保菌者に変わってしまった二人の大学職員に捕まり、手を伸ばして助けを求めている。小鳥は女性の方の保菌者に膝蹴りを食らわせ、何とか退けた。

 

椅子を持ち、ちひろを掴んで話さない男の保菌者に何度も振り下ろしたが放してくれず、小鳥も腕を掴まれてしまい腰が引けてその場で尻餅をついてしまった。

 

そしてちひろは首を噛まれた

 

 

噛まれたら死ぬか保菌者になる。それは100%だ。

 

でもちひろはまだ噛まれた痛みに叫び、助けを求めている。

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著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

いい姉になると決めた小鳥は助けたかったが、二人がかりで肉を食いちぎり始めた場所に飛び込んでいく勇気は出ず、妹を諦めて戸棚の中で徐々に小さくなっていく悲鳴を聞き続けた。

 

 

 

そこで悪夢から目覚めた。

 

と思ったが、なぜか被っていた布団が血塗れになっていて、中からくちゃくちゃと何かを噛みしだく音が聞こえてくる。

 

恐る恐る布団を捲ってみると、保菌者になり目や鼻から蛆虫を撒き散らすちひろが、小鳥の腹を引き裂いてソーセージのような内臓を食べていた。

しかも、意識はまだちひろのまま保っているようだった。

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著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

小鳥は悲鳴を上げ逃げようと身じろぎした。そのせいで内臓が外に流れ出し、一瞬で動けなくなっていまいピクピクトと痙攣が始まる。

 

 

するとちひろの顔から血と蛆虫が消え、いつもの可愛い顔に戻った。

 

そして、これでやっと死ねるよ、と優しい笑顔を見せ、小鳥はそれを受け入れようとした。

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著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

そこで小鳥は本当に目を覚ました。

 

子供の中で唯一一緒に残った栄太が焦ったように名前を呼ぶ声で目を覚ましたのだった。

 

 

どうやらうなされていたらしく、かなり心配されたようだが、すぐに気持ちを切り替え、朝食の準備を急ごうと声をかけた。

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著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット