インフェクション82話
ネタバレ感想

妹を助けられなかったことに苦しみ続けている小鳥。

恐ろしい夢にうなされながらも、天宮教授を心配して研究所に残った。

晴輝から彼女を任された榎並は、一緒に残った栄太に囁いて何かを画策する。

https://kuroneko0920.com/archives/34569

 

82話 地下研究所での講義

研究室のドアをノックしようとしていた小鳥は、ふと考えた。

 

榎並に見透かされていやらしく笑われたせいなのか、自分はあくまで保菌者騒動を解決に導こうとしている教授を助けるためだけにここに残ったのだと言い聞かせる。

 

それは嘘じゃないと思うが、勇敢で頼もしい彼の笑顔がどうしても浮かんできてしまう。

 

 

その時、部屋の中から大笑いする声が漏れ聞こえてきた。

 

結局ノックせずに駆け込むように入ると、天宮教授を中心として研究者たちが楽しそうに笑っていた。

インフェクション

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

今までに見たことのない笑顔に研究が進展したのかと思ったが、全然そんなことはなく、むしろ原点から研究をやり直そうと開き直れたおかげで、逆に頭がスッキリして笑えてきたのだそうな。

 

 

テンションの上がった教授は、そのまま小鳥相手に講義を始めた。

 

ホワイトボードを前に、教授は保菌者の変遷を説明し始める。

 

 

まず初期段階の保菌者は、突然倒れた人間がだらけの状態で起き上がった。

次の新型は、保菌者が人を取り込み大量の水を摂取してが進化し巨体になった。

次の感染者は、保菌者に噛まれて仮死状態だった人間が、新型から霧散して白い粉を吸い込んで起き上がった。この状態ではが確認できなくなる。

 

この3つは虫の進化による変化と考えられるが、この流れに当てはまらないメットが現れた。

 

高い知性。

修復能力。

自己進化を備えたメットが元の保菌者からどうやって進化したのか全く分からない。

 

さらにメットに殺されただけの人間が蘇り、は深まるばかり。

インフェクション

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

そこで教授はメットの核ではなく、大量に残された白い液体の方に着目した。

 

そこまで説明したところで教授は、保菌者の目が蛆虫だらけで黒目っぽい点が浮かんでいるだけなのに、どうして視力があるのか不思議に思わない?と小鳥に訊ね、もちろん不思議に思うと彼女は答えた。

 

 

教授は一体の蛆虫を用意して説明を始めた。

 

虫のように見える白い何かを真っ二つに切ると、中は内臓も何もない真っ白な中身で、両端にある穴は両方口で、食べた物を全てエネルギーに変えて排泄はしないと言う。

 

それは保菌者にも通じる。ただし内臓としての機能を全て虫が肩代わりして体が作り変えられているので、視力があった。

インフェクション

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

つまりこの虫は見た目こそ気持ち悪くても、全ての臓器の機能を柔軟に担える万能細胞であり、医学的にはとてつもない大発見とも言える代物だった。

 

 

 

ではこの虫の正体は何なのか?

 

さらに細切れにしても、それぞれが元の一つに戻ろうとうねうね集合しようと動き、小さな一つをすり潰しても再生しようとして動き続けた。

 

顕微鏡でようやく確認できるほどの微細な粒で構成されているのが、一匹の虫だった。

 

 

そこで今までの説明の共通点を訊かれた小鳥は、ある一点に気づいた。

 

メットも含め全て白い何かが関わっているので、メットの白い液体と保菌者の虫が同じなら、それを解明できれば謎が明らかになるはずだと。

 

小鳥と研究者たちの意見は同じだった。

インフェクション

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

だから原点である白い虫を解明して停止させる方法を見つければ、この騒動を終結させられるはずだった。

 

 

 

言葉にすれば簡単に聞こえるかもしれないが、未知の何かを解明するのが簡単なわけがなかった。

 

それでも彼らを水を得た魚のように活き活きとした表情で、それぞれの考えをぶつけ合っていく。

 

 

小鳥がこれからの研究に必要なものを訊こうとしたその時、彼女の頭に突然柔らかい感触が乗っかってきた。

 

それは榎並の胸で、小鳥はすぐに声を荒げて振り払おうとするが、年が近い同士で仲の良いところを見せておけば教授も安心すると言われて、仕方なく表情を和らげた。

 

 

改めて必要な電子顕微鏡とスーパーコンピューターはどこにあるのかと訊くと、それはかつて小鳥がいた平岡大学にしかなく、危険度からも入手は諦めているらしい。

インフェクション

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

それを聞いた榎並は「なるほど?」と、意味深に呟いた。