著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

インフェクション90話91話
ネタバレ感想

インフェクションの最新話、最新刊ネタバレと感想とあらすじと画像、漫画を無料で読める方法を紹介。

 

小鳥が指摘した方法で犯人が暴き出された。

しかし榎並はひよった考えの研究者たちを罵倒し、檄を飛ばし、思いの丈をぶちまけ現実を改めて突きつけた。

https://kuroneko0920.com/archives/38383

 

90話

散々罵倒した榎並は最後に、研究者たちが最後の希望で必ず保菌者騒動を解決してくれることを信じていると語り、演説を締め括った。

 

するとたちまち、会場は涙と嗚咽に包まれていった

鮫島は、それを冷めた目で眺めていた。

いや、感情の波に乗れない彼女は共感できないだけだった。

 

確かに榎並に言われたことはほぼ当たっていた。

鮫島は感情が限りなく希薄で、他人の表情や言葉から感情を読み取ることが難しく、それと共に自らの感情を表現する力も弱くなった。

それはつまり、感情に訴えかける娯楽作品や同調や協調が溢れる世間で生き辛いということに繋がる。

 

ただ、代わりに授かった天才的な頭脳で人の感情を理解することはでき、社会で生きるには問題ない程度に熱を持った人間を演じられるようになった。

 

しかし、こういう突発的に大勢の感情を揺さぶる状況になれば、成り行きに身を任せるしかなかった。

自分にはない感情でこの会場を支配した榎並に賛辞こそなくても、たった一人でこの状況を作り上げた演技力と手腕は認めざるを得なかった。

 

 

壇上の天宮教授も大粒の涙を零しながら、マイクに向かって話し出した。

如何に自分たちが甘えた生活を送っていたのかを認め、疑わしい者の拘束と平岡大学の奪還を提案した。

それで研究者たちは立ち上がり、賛成の声を上げ始めた。

 

様変わりした雰囲気の中、小鳥は胸に手を当てながら、父はきっととてつもない重圧に耐え切れずに女に逃げてしまったのだと思った。それは、自分が晴輝に愛を求め教授に父性を求めたのと少しも違わないと分かった。

 

憎むべき相手なのに、今はもう榎並に憧れさえ抱いていた。

 

 

大人しく手を縛られた榎並はそれでもいつもの飄々とした態度を崩さず、小鳥に父親をたぶらかして死に追いやったことを謝った。

そして、新しい父親が無理でも今なら一生ものの友達を手に入れられると、今度こそ裏のなさそうな最高の笑顔で友情を申し入れてきた。

 

小鳥は吟味した。

榎並は笑顔で返事を待った。

 

その場の雰囲気に流されなかった小鳥は冷静に榎並の策謀を問い、また利用されるのを回避した。

 

 

一度は殺そうとした相手に友情を感じるイカれた榎並の看守役を申し出た小鳥。

 

二人がほんわか殺伐とした掛け合いをしている間にも、研究者たちは平岡大学奪還作戦を具体化しようと盛り上がっていた。

 

その時、外の世界から何者かが侵入し、この会場に入ってきた。

 

それはまだ幼い子供で、使命感に盛り上がっていた研究者たちに驚きが伝染していく。

その時、天宮がまた別の意味の涙を流してその子供に反応した。

その子に気づいた栄太も瞬時に号泣した。

 

無邪気な様子で中に入ってきた少女はマイクを握り、天宮教授の娘の香里だと自己紹介し、会場の流れに勢いをつけるかのように宣言しながら高く手を突き上げた。

 

 

しかし、あっけにとられていて誰も反応しなかった。

 

天宮が抱きつき、喜びに打ち震えている。

それで小鳥は死んだはずの晴輝の妹だと理解し、香里の死を聞かされていた研究者たちも騒然となっていく。

 

しかし会場の戸惑いと父親の感動に構わず、香里は保菌者騒動の原因を特定し、保菌者を無害化する方法も見つけていると宣言した。

研究者たちにはそれを可能にする装置の作製と論文を誰にも理解できる形にして欲しいという。

 

 

辞書ほどもある紙の束が一つの論文だと言って取り出す小鳥。

しかし、いきなり現れた少女の言葉に追いつけないものばかりで騒ぎが大きくなっていく。

その時、鮫島が大きな声を出して騒ぎを止めた。

 

そして挑むような目つきで香里を見下ろし、自分が論文を読んで正体を見抜いてやると請け負った。

それに香里は、彼女の最大のチャームポイントのたわわな胸をあだ名に使って逆にお願いした。

 

鮫島が作戦を進めておくよう指示すると、香里は自分も平岡大学に行くと言った。

もちろん天宮は反対するが、むしろ私が皆を守ってあげると頼もしく言い返された。

 

 

鮫島の部屋に入ると、香里はすぐにソファに横になって眠り始めた。

 

鮫島はすぐに論文に目を通した。

感情が入り込まないそれは、彼女にとって逆に他人の内面を知れる最高の楽しみだった。

 

そして香里の論文を読み進めるにつれ、今までにない気持ちに満たされていった。

 

それは人生で初めて、感動で涙を流すということを彼女に体験させた。

 

 

この理解不能な蘇った少女は、正真正銘の天才科学者と呼ぶに相応しい人間だった。

理解できない内容だらけだが、それでも論文の中から小鳥がどんな人間なのかを読み取れる事はできた。

 

感情が希薄で理解も表現もできない。

代わりに卓越した能力を持ってはいたが、やはり普通の社会で生きるには辛かった。

 

だが鮫島はこの時、この天才の力になるために生まれてきたのだと思えていた。

 

 

91話

鮫島は初めて感じた感情により涙を流し、自分が生まれてきた意味を確信した。

すると思わず、無邪気に眠る香里の手にキスをしていた。

 

唇を離し、満足した顔を綻ばせた直後、香里が目を覚ましていて自分を意味の分からない物を見る目で見つめている事に気づいた。

キスしてました?と訊かれたが、ここで天才的な頭脳で一つの解を導き出した。

それは、スルーして論文の話題に切り替え真面目モードにするというものだった。

 

 

 

そして犯人探しの会議から二日が経った。

 

突然香里が現れたことの連絡を受けていた晴輝は二日前の電話のお礼を小鳥に伝え、秋保避難地区の消防隊員を始めとした主要人物の集合が完了し、これから地下研究所で行われる香里の論文の発表会を聞く準備が整っていることも伝えた。

研究所の様子を中継し、それを秋保でも見れるようにしていたのだった。

 

晴輝はそれよりも、榎並があの後どうだったのか気になり訊くと、小鳥は思いも寄らなかった事態になってしまったんだと話し出した。

 

 

 

榎並が男に接触できないよう小鳥が監視するようになったのはいいが、榎並は変わらず小鳥にも魔性の誘惑で食事も食べさせてもらおうとするふざけた態度を崩さず、彼女にストレスを与えていた。

 

どれだけ邪険に扱おうともへこたれない榎並にイラついていたその時、急に鮫島がやってきて二人をどこかに連れ出した

 

何事かと思い、相変わらず何を考えているか分からない鮫島の後をついていくと、小鳥と天宮教授がいる部屋に行っただけだった。

しかし、香里は鮫島の顔を見るなり「うわ来た!セクハラおばさん」と言い放った。

 

それに鮫島は悲しんでいるのかどうか判然としない表情で「違う!」ときっぱり言い返し、言い訳をしようとしたが、その前に香里が何をされたのか父親に暴露した。

 

健康を心配するフリをして朝一番のおしっこを要求され、さらに隙をつかれて首筋を舐められ汗の味を確かめられもしたのだという。

鮫島はそれを否定せず、あくまで香里様の健康チェックのためだと言い張った。

 

香里を天才と認め、初めて感動を覚えた鮫島は感情をコントロールする術を知らず、異常なまでの献身性と変態性を見せ始めていて、とにかくおしっこだけは譲れないアイテムになってしまったようだった。

 

 

香里につれなく拒否され続けた鮫島はしかし、そこでまた新たな道筋を発見し、プロポーズをした。

 

香里が拒否しているのはあくまで他人におしっこを渡すこと。

ならば、婚約者という親密な関係になればおしっこを渡すこともやぶさかではなくなるだろうという考えだったが当然拒否され、それも理解できなかった

 

 

女同士の結婚を諦めたのか、年の差か、香里との結婚がだめなら天宮教授に離婚を促し、自分と再婚させ香里を娘にして親子の関係から近づこうと考え、健全な父と娘を戦慄させた。

 

もちろんそこまで拒否されることは想定済みで、だからこそ榎並を連れてきたのだった。

たった一人でこの地下研究所を手中に収め、難なく計画を実行した榎並に香里の信頼を得られるよう力添えをしてもらうつもりだったのだ。

 

香里と鮫島を含め、全員が息を飲み榎並の返答を待った。

榎並は目を伏せ、しばしの熟考の末、無理だと答えた。

すると、またしても暴力を振るわれてしまったのだった。

 

 

という、鮫島が変貌し、変態になったエピソードを聞かされた晴輝たち。

 

それから香里と鮫島が二人きりにならないよう、雑用から解放される打算もして小鳥は自分たちが一緒にいるようにしているという。

晴輝はその強かさも成長だと捉えて嬉しいと答え、亡霊に悩まされ続けていた小鳥に喜びを与えた。

 

その嬉しそうな声はもちろんきららと紗月にも聞こえていたので、二人の周りにだけ一瞬にして負のオーラが立ち込めた。

 

 

 

そしていよいよ発表が始まり、画面に香里が映った。

 

新型の脅威に晒され始めた時以来に見た、生きた妹の姿を見た晴輝は感動で涙が零れてきた。

その時、横に座る紗月たちも嬉し泣きをしてくれているのを見て、我慢せずに泣く事ができた。

 

 

香里は鮫島の変貌ぶりをネタにして笑いを取りながら、滑らかに演説を始め、ここが保菌者騒動のターニングポイントになると宣言した。

 

そしてまず結論から説明した。

その内容は、この宇宙の全てのモノの裏にゲームのようにデータが設定されていて、その情報に干渉することで物理的に不可能と思われる現象を起こすことができ、犯人はそれを利用して仙台を巨大な実験場にしたのだという。

 

 

 

一方場所を変え、螢サイド。

 

総理大臣公邸で国会の法案成立は決定的なのを報告していた螢は、問題なく思惑通りに進んでいることに満足していたが、ただ一つ、自分への弱点の攻撃だけが止められず、相手の正体と攻撃する意味が掴めず不安が募っていた。

しかし負けを認めたうえで、必ず反撃してやると誓った直後、かかってきた電話の相手の名前を見て顔を顰めながら仕方なく出た。

 

やたらテンションの高い相手にイラついているのを容赦なく舌打ちで伝える螢。

それだけ遠慮なく接する相手は、母親の渚だった。

 

しかし、特に用もなく暇つぶしで息子に構ってもらいたかっただけだと分かると喚き立てる母に構わず電話を切った。

 

切られた直後、紗月の母親の明菜が帰ってきて紅茶を淹れる準備をし始めた。

 

渚はそれを待ちながら、夫と子供たちに向かってエールを送った。

 

 

感想

インフェクション90話91話でした。

ここで香里が登場すうとは思いもしませんでした。

この流れのどこで晴輝の後悔と繋がるのかは、やはり小鳥が関わってくるんでしょうかね。勢いに乗って平岡大学に向かい、もしかしたら父親が犠牲になるのかも。

とにかく、鮫島が可愛すぎてどうしようもないですが、~のために生まれてきたと聞くと、交尾を思い出してしまいます。

https://kuroneko0920.com/archives/40519