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115話

晴輝が指示した通り、羽虫の死骸が落ちた場所に火が放たれ処理が始まった。

 

彼は無事処理が終わったと報告を受け、淀川にも事後処理が終わったと伝えられた。

 

 

彼と轟はながみんに付き添い、ある建物に隔離されるところを見守っていた。

 

袴をきっちり着たながみんがさすがに神妙な様子で、防護服を着た隊員に挟まれて大人しく部屋に入っていった。

 

 

防護服の二人が出てくると、彼は無線を渡され、ながみんと話せる時間を作ってもらった。

 

検査を終えたばかりのながみんは窓のすぐ外にいる彼らに背中を向けながら、気持ち悪かったと子供っぽく弱音を漏らす。

 

彼の優しさにちゃんとお礼を言う気丈さをまだ保っているようだが、やはり事の深刻さは理解しているようで、ゆっくり話す気分ではなさそうだった。

 

彼も穏やかな声色を意識し、言葉を連ねた。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

二人共の苦しみが痛いほど理解できる轟が彼の肩に手を置いたその時、ながみんから話しかけてきた。

 

 

それは、本人だけ深刻な病に侵されているのを知らされていない年端もいかない子供のようでもあり、死を覚悟するために他人の口から聞こうとしている強さを持った質問にも聞こえた。

 

彼は言い淀み、若者の辛さを察した轟が代わって無線機を取り、ながみんを18歳の大人として扱うと前置きしてから話し始めた。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

 

まず結論として、極めて薄い希望しかないと言い切った。

 

羽虫が感染目的の攻撃で体内に入ったのは高確率で、ながみん自身が新たな黒い保菌者になる可能性が高い。

発症する前に地下研究所の無力化装置の薬を使えれば回避できるかもしれないが、確証はなく、そもそもながみん一人のために地下研究所まで行く作戦を組む余裕はない。

今後の予定は、ながみんを置いて他の者は秋保を脱出し、ながみんは自衛隊の殲滅作戦が完了した後に自衛隊に薬を取りに行ってもらうしかないが、今となっては自衛隊の突入がいつなのか予想が難しい。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

そこまで非情に聞こえる現実を話した轟は、自害も一つの選択肢だと伝えた。

 

そう言いつつ、ながみんが生きられる可能性に賭け、彼は命を懸けて黒い保菌者に挑んだのだとも伝えた。

 

 

ながみんはすぐには答えず、結局いつものながみんのように、寝て起きてから考えると、ノー天気な返事をした。

 

 

轟の限りなく可能性が低い未来の話を聞いた彼は無線機を受け取り、もう一つの提案をした。

 

それは、自分と付き合おうと言うものだった。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

彼女がいることを知っている轟は咎めるが、彼は三股も四股も一緒だと笑い飛ばし、更に轟を驚かせた。

 

 

正直にながみんのことは熱烈に好きとは言えないというが、しかし、彼女になれば守ってあげたい願望が強くなり、秋保脱出後に一人で戻って来て地下研究所まで付き添ってあげられるかも知れないと提案した。

 

チャラ過ぎるふざけた告白だが、そこにまた彼も命を懸けているのは確かで、生半可なチャラさでできることではなかった。

 

 

ながみんはイエスともノーとも言わず、彼女とは楽しくなることなのか気にした。

 

彼は逆に彼氏ができた時の想像を促すが、薙刀と戦闘に狂ってきたながみんには色恋沙汰のリアルな想像は難しいようだった。

 

そして彼は、またおやすみと声をかける。

 

 

そこでやっと振り返っておやすみを返したながみんの笑顔は、今までの彼女が見せてきたそれとは明らかに違って見えた。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

 

轟はホテルに帰ると、淀川と神城相手に彼の奮闘振りとながみんを励ます素晴らしい機転に賞賛を上塗りして伝えた。

 

その彼も真っ先に女に会いに行ったとオチをつけた。

 

 

随分たくましくなりはしたが、保菌者騒動が起こった当初の彼を知っている淀川は、自衛隊全滅作戦に連れて行くかどうか決めかねていた。

 

ただ神城と轟は、これまでの彼の働きを考えれば、どれだけ非情だろうとやらなければならないことはやれると意見する。

 

同時刻の彼は、蓮華に何やら交渉していた。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

逆に轟は、ながみんを隔離する施設にヤク中のヤクザと神父を監禁しているアパートを淀川が選んだことこそ、淀川が変わった証拠だという。

 

もしながみんが発症した場合に、ヤクザで感染経路を調べるつもりだろうと指摘し、彼も同じように変化して決断することに躊躇わないことは分かっているだろうと続けた。

 

それで淀川は納得し、彼も作戦に加えることを決めた。

 

 

 

その頃、話題にされている彼は蓮華との交渉を終えていた。

 

そして全て自分の計画通りに進んでいると思い、悪そうな笑みを零していた。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

最も警戒すべき人物の疑いを逸らすことに成功し、一体いつからこの計画を進めていたのか思い起こし、ある一つの問いに行き着いた。

 

この計画が正しいのかどうか分からなかったが、それも紗月の言葉で迷いがなくなっていた。

 

 

自分の幸せのために悪にもなる覚悟を決めた彼は、それとは別の解決すべきらぎ姉のところを訪れた。

 

部屋に入るなり謝罪からの愛の告白を連結させ、とにかく付き合いたくて仕方ないことを言葉にし、最後は土下座でゴリ押した。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

冷静な真顔で見つめていたらぎ姉は立ち上がり、頭を下げたままの彼に近づいていく。

 

彼の目の前に立ってもすぐには何も言わず、緊張感を上昇させ続けた。

著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

 

その夜、海軍連中はとある場所を総出で掘り返していた。

 

裏切り者からもらった紙片を頼りに掘り返した場所から出てきたのは、頑丈ないくつもの箱だった。

 

 

感想

インフェクション114話115話でした。

たくさん吐いてながみんのお腹も凹んだので、どうやら死ぬ雰囲気ではなさそうだと思いましたが、まだまだいつ保菌者になってもおかしくない状況。

死んで欲しくないキャラですし、晴輝の4人目の彼女になるところも見てみたいですね。

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