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吟遊詩人にも歌にされて流行している、辺境のゴブリンスレイヤーことオルクボルグ。

 

ともあれ、異名を聞けばこのパーティーにはうってつけ。

 

出会ったばかりでエルフとドワーフが罵り合う中、まずはゴブリンスレイヤーに会いに行くことが決まったが、道中、魔神王の手勢が襲撃しに来る可能性が高い。

 

するとエルフが自信満々に自慢の弓の腕で世界を守ると言い出し、ドワーフが平らな胸をからかった。

著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年4号

 

 

それでエルフが悔し紛れにドワーフの出っ張った腹をけなすが、まるで気にしていないそぶりでポンと叩く。

 

そこから今度は、エルフとドワーフの洒落にならない争いが始まりそうな不穏な空気に包まれた。

 

それをまた一発の威圧感で止めたのが、リザードマンだった。

 

画して、3人はゴブリンスレイヤーを仲間にするべく最初の冒険に旅立つのであった。

著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年4号

 

 

 

月夜で明るく照らされた街道を馬車で進む、急造パーティーのエルフたち。

 

手綱を引くドワーフがわざわざゆっくり行かなければならないことに愚痴を零すと、リザードマンは馬の疲労を考え、急ぎ過ぎて目立つ方が逆にトラブルを招いて遅れると宥め、エルフは何に目をつけられるのか質問した。

 

剣の乙女がいる水の都から離れたとあっては、野盗や追いはぎ、もちろんモンスターにいつ見つかって襲われてもおかしくない状況だった。

 

さて、その時はエルフが臆病風を吹かさずにいてくれることを願うとドワーフが茶化し、彼女は強気に言い返す。

著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年5号

 

 

出会った当初から、二人のやり取りは長年の付き合いのようなこなれ感があった。

 

 

その時、エルフの鼻は異臭を嗅ぎ取った。

 

無風の中、ぷうんともつうんとも言えぬ感じだと言うと、ドワーフは湯気に運ばれてきた硫黄の臭いだろうと当たりをつけた。

 

直後、月を背にモンスターが空から近付いて来ているのに気づいた。

著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年5号

 

 

すかさずリザードマンは手綱の役を代わり、ドワーフに術の準備をするよう指示し、自分たちの情報が漏れないようこの場で始末するべきだとも伝えた。

 

 

そうこうしているうちに接近してきたモンスターは攻撃を仕掛け、馬車の後部を叩き壊していく。

 

馬車を壊されて機動力と共に移動手段を奪われたら、襲われ放題で全滅は必至。

 

今こそ自分の実力を見せつける時だと思ったエルフは前に立ち、矢を番えただけで仕留めたことを確信した。

著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年5号

 

 

その予測通りに矢はモンスターの頭を上下に射抜き、一撃必殺で撃退に成功した。

 

 

幸先良い初戦に笑みが零れたエルフはここぞとばかりにドワーフにドヤ顔を見せるが、すぐさま油断するなと言い返され振り返った。

 

おかげでギリギリモンスターの一発を受けないで済んだが、無様に尻餅をついて情けない姿を晒してしまうのだった。

著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年5号

 

 

怖気づかずとも怒りがこみ上げたエルフは術で撃墜できないのか訊ねるが、できたとしても完全に仕留め切るのはやはり物理攻撃じゃないと厳しいと言い返される。

 

ならばリザードマンはいい案を思いつき、ドワーフには撃墜を、エルフにはロープをつけた矢を撃ち込んでくれるよう頼んだ。

 

パーティーを鏃、矢柄、矢羽、弓、射手に例えたリザードマンの言葉に、エルフは自身を鏃の役目に重ね合わせ、矢にロープを結び付けた。

 

直後、モンスターがファイアボルトを放ち、彼らは寸でのところで直撃を免れた。

著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年5号

 

 

たかが木の馬車で激しい戦闘が始まったことで逆にテンションが上がったリザードマンがバカ笑いし始めたのをよそに、ドワーフは術をかけて身動きを封じ、地面に落とした。

 

すかさずエルフが矢を胸元に撃ち込み、ロープで馬車と繋いで引きずっていく。

 

するとリザードマンは手綱を竜牙兵に任せて自分は飛び上がり、勇敢にも直接攻撃を仕掛けた。

著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年5号

 

 

胸元に斬りつけるや、鋭い鉤爪で肉を引きちぎり、血が吹き出す傷口に直接噛みついた

 

本能に従う獣の如き戦い方で咆哮を上げる姿を見たエルフとドワーフは、驚きのあまりに開いた口が塞がらず、二人はこの時ばかりは同じ誓いを共有したのだった。

 

リザードマンだけには逆らうまいと

 

 

 

そんな既に懐かしくなった思い出話をしているうちに注文の品が届けられ、リザードマンは待ち侘びた甘露にほくほくと笑顔を零して口の中に放り込んだ。

 

すっかり気分が良くなったところで、リザードマンはドワーフの質問に答え、パーティの役割はその通りだと答えた。

 

鏃がエルフ、矢柄はドワーフ、矢羽が自分、その矢に力を注ぐのが女神官で、いつ射るか、どこにどう射るかを決めるのがゴブリンスレイヤーだと。

著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年5号

 

 

ともあれ、文句ない恵まれた仲間たちに乾杯し、サシ飲みの夜は更けていくのであった。