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10話

依頼を終えて馬車に相乗りしていたゴブリンスレイヤーは、荷台がガタンと揺れて覚醒した。

 

連日連夜のゴブリン戦でいい加減疲弊していることを否めず、限界がくる手前で切り上げて街に帰ってきたところだった。

 

 

報告のためにまずギルドに向かうと、ちょうどこれから出発しようとしていた槍使いと妖艶な魔女の二人と鉢合わせ、ゆらりと兜の下の眼光鋭い彼に槍使いは驚いた。

 

パッと見では、リビングメイルにも見える彼の鎧尽くめにびっくりしたのだが、槍使いは決してビビったことを認めない。

ゴブリンスレイヤーブランニューデイ
著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年6号

 

 

片やゴブリン退治が終わった彼と、これから冒険に出発する二人。

 

彼が何の気なしに道を譲り、冒険の無事を祈ると、最も危なっかしい彼に送り出された槍使いは軽く胸を叩き返し、安心して出発した。

ゴブリンスレイヤーブランニューデイ
著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年6号

 

 

 

ギルドに入ると、受付嬢は他の冒険者の対応をしながら晴れやかな会釈をしてくれる。

 

彼が大人しく椅子に座って待ち始めると、いつかの新米戦士と見習聖女の二人組がおずおずと近づいてきた。

 

腰には、彼がアドバイスした棍棒がぶら下げられていて、何かと重宝しているらしい。

 

愛着も湧いているようで、つぶし丸という安直な名前まで考えているといい、隣の見習聖女が代わりに恥ずかしがるが、彼はその名前の候補には触れず、持ち手に紐を通していることを褒めて見倣った。

 

それだけで新米冒険者の二人は、パアッと笑顔になれた。

ゴブリンスレイヤーブランニューデイ
著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年6号

 

 

彼が受付に行くと、カウンターには受付嬢たちが遊びで使った冒険者を模した人形が並べてあった。

 

バランスが取れているパーティ編成を指摘された受付嬢がまた笑顔になり、ゲームの一節を長々と口ずさみそうになるが慌ててストップし、本来の仕事へ。

 

彼から依頼の詳細を訊いて書類を作成し、報酬を渡す前に、ゴブリンに殺されかけた少年を助けた村からお礼が届いていることを伝えた。

ゴブリンスレイヤーブランニューデイ
著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年6号

 

 

弟を女手一人で育てている立派な姉がいるあの村から送られてきたのは、立派に実ったとうもろこしだった。

 

しかもこのとうもろこしを届けたのが、ゴブリンに慰み者にされていたあの時の女冒険者だった。

 

彼は何とか生きて助けられた彼女が元気にやれていることを知り、シンプルに良かったと思えた。

ゴブリンスレイヤーブランニューデイ
著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年6号

 

 

そんな暖かな雰囲気の中、工房で腕を磨いている最中の丁稚がやって来た。

 

彼が来たのを敏感に察知した丁稚は注文を受ける前に自分から聞きに来たようで、いつも通り剣を一本だけ承ると、立派に実ったとうもろこしを見て、田舎でよく食べたのを思い出した。

 

ならばと彼は気前よく、親方の分も一緒におすそわけ

 

すると酒場の女給までやってきて、ドヤ顔で先に持って来てくれれば厨房で蒸かしてやるのにとありがたい一言をチクリ。

ゴブリンスレイヤーブランニューデイ
著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年6号

 

 

料理とおすそ分けが一度にできると当たり前のことを自慢気に語ったところで、今度は酒場でもうほろ酔い加減になっている重戦士たちが声をかけてきた。

 

女騎士は彼を誘ったことに乗り気ではなさそうな物言いをするも、酔ったノリに任せてちゃっちゃと席を一つ作ってやろうとして品のない言葉遣いを子供たちに指摘され、下らない言い争いを始め出す。

ゴブリンスレイヤーブランニューデイ
著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年6号

 

 

誘われた彼が入っていきにくい流れになると、素面のエルフと女給に酔っ払いは相手にせず構わず帰ればいいと促された彼は、自分の帰りをいつも待ち侘びている人のところに早く帰ることにした。

 

 

だがギルドを出ると、次は4人の仲間たちに出くわした。

 

4人で一冒険し終えてきたところで、終始謙虚な女神官の姿勢に気分がいいエルフが先導して、何か食べに行こうとしていたらしい。

ゴブリンスレイヤーブランニューデイ
著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年6号

 

 

そこでエルフもとうもろこしに気づき、許可をもらう前からさっと一本貰い受けてまた笑顔。

 

リザードマンもとうもろこしを使った故郷の飲み物に思いを馳せながら、彼にチーズをおねだり。

 

そしてエルフは今日の最後の依頼を彼にした。

 

 

秋の収穫祭のために神殿に行かなければならない女神官を送るという重大任務

 

一人で行けると女神官は言うが、もうそろそろ夜道に変わる刻限でいつゴブリンが出るとも限らないと言われると、女神官は断る口実をなくしていく。

 

彼も朝飯前の依頼に女神官が何を言う前に歩き出し、そこで初期の二人組に戻った。

ゴブリンスレイヤーブランニューデイ
著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年6号

 

 

二人きりの道すがら、最近の彼が単純に金が必要で依頼をこなしまくっていたと聞き、女神官は寂しさを隠し切れずに項垂れてしまった。

 

程なく神殿に着いて別れの時が訪れるが、女神官は逡巡してから少しの勇気を出し、次に冒険に出る時は声をかけて欲しいと頼んだ。

 

すると彼が素直に受け入れてくれたので、笑顔で別れることができた。

ゴブリンスレイヤーブランニューデイ
著者名:蝸牛くも 引用元:ビッグガンガン2019年6号

 

 

 

今日一日、ようやく一人の時間になった彼は、なぜよく人と会う日だと感じたのか考え、変化したものと変化してないものに気づいた。

 

 

そして稼ぎに稼いで貯めた金を手に、牛飼娘が待つ牧場に帰った。

 

 

しかし、ちょうど夕飯の準備をしていた牛飼娘を前にして、彼はめずらしくまごついてしまう。

それでも意を決し…

 

 

感想

ゴブリンスレイヤーブランニューデイ9話10話にて完結です。

獣人も主要キャラになって欲しいくらい可愛いですね。

エルフ、ドワーフ、リザードマンの出会いが描かれ、女神官との短くても穏やかな時間を過ごし、牛飼娘で締められていい読後感になりました。

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