15話
まさかのタイトル大絶賛でデビューの可能性を掴んだマリコは最高に気分が良く、付き添って背中を押してくれた千秋へのお礼を申し出た。
年上美人の素直な感謝の言葉と笑顔にまた胸が高鳴った千秋が、なんとかマリコの実力が全てだと謙遜しているよこで、彼女はさっさとたまに行くイタリアンに決めた。
すると千秋は、まずここが余った料理を持ち帰れるかどうかを気にした。
急に貧乏くさいことを訊かれたマリコは戸惑うが、千秋の幸せには弟たちの笑顔が欠かせなかった。
おいしいものを食べるなら弟たちも同じものを。
その弟思いな長男坊の恥ずかしがる表情に、マリコはキュンキュンさせられた。

千秋へのお礼なのだから彼の想いを最優先したかったマリコは片足を上げてはしゃぎ、じゃあ持ち帰りの定番でご馳走でもあるお寿司にしようと提案。
買って千秋家で食べようと誘い、彼のささやかな願いを叶えてあげた。
と言うことで、気分が良いマリコは桶で購入した。
まさかの豪勢な寿司に弟たちは驚愕し、漫画家という神の再訪に感謝した。

誤解なきようプロ漫画家じゃなくデビューの足掛かりができただけだとマリコが訂正しても、それならそれでおめでとうございますと賞賛して、寿司の恩を少しでも返そうとする弟たち。
もちろん話題はマリコ作の「ディア・ダディ」について。
訳せば大好きなお父さんなのに、お父さんなんて出てこないとまた明かせば、千春はびっくり仰天。
常識的で思春期な次男坊は、タイトルのダディが出てこないのはさすがに変だろうと言い始め、編集に褒められて自信をつけようとしていたマリコの不安を募らせた。
しかしそれも、天使千夏の一声で消え去った。
千夏が楽しいと言うのだから、幸せに父親の有無はそれほど重要じゃないのだ。

一発で場を和やかにしてくれる千夏の圧倒的癒しに浄化された3人は、自分たちの分の寿司もどんどん提供して甘やかしまくった。
楽しい時間はあっという間、すっかり暗くなった頃にお暇しようとするマリコに千秋が改めて寿司のお礼を言えば、彼女も千秋へのお礼も兼ねているし、弟たちにも祝われてイタリアンよりよっぽど良かったと返した。
そして送ると言うのを丁重に断られた千秋は去り行く彼女に、今日のお礼とちゃんとしたお祝いをさせて欲しいと言って呼び止めた。
ありがたく誘いに乗ったマリコは、弟たちの好きな物で大丈夫だと気を使った。
だから千秋ははっきり、二人きりでしようと誘った。
まさかの青春展開に、マリコは鼻と口から思わず体液を漏らしてしまった。
汚い鼻汁を見られるわけにはいかずにさっと前を向き、ドキドキを抑えて行きますお願いしますと素早く答えた。
渥美マリコ28歳。
久しぶりにされたデートっぽい誘いに舞い上がって鼻水が飛び出すも、これは単なるお礼に違いないと言い聞かせて家路を急いだ。

翌日、千秋たちが旭山のお見舞いに行ってみると病室は空っぽ。
なんと旭山はゾウさんの見た目を活かして入院中の子供たちに懐かれ、怪我を押して遊び相手をしていた。
子供にモテれば女にもモテるでしょうと星の茶化しで少しは笑いが起きるが、昨夜のボコボコにされた話になれば空気が沈み込むのは必至。
旭山は為すすべなく大島にボコボコにされたことを卑下して乾いた笑いを零すが、千秋は公務執行妨害を回避した結果だと励ます。
それでも旭山は、やり返しても大島には勝てなかっただろうと言い、今の自分の弱さを自覚した。
そして昨夜の千秋についての評価を始めた。
生身の人間でありながら、イカれた大島に立ち向かおうとした根性と助けようとしてくれたことには感謝を示すが、あれは勇気ではなく無謀だと注意した。
星が汚名を返上しようと口を挟んでくるが完全に無視し、旭山は千秋の昨夜の行動こそ我々の存在意義を象徴するものだと言い、なんか惚れちゃった雰囲気を醸し出した。
そこでまた星が口を挟もうとしたその時、タイトなスカートが色気を放つ是枝が現れた。

旭山のお見舞いも兼ねて指令を届けに来た是枝は、まずしゃがみ込んでスカートがずり上がるのも構わずぽっさんの頭を撫でくり回す。
そして星のいやらしい視線に気づかぬまま、チームメンバーが揃っているこの場で伝えた。
形が良さそうなバストが作り出す僅かな谷間とタイトスカートの奥から声を出し、千秋が星に代わって班長になったことを。




































