17話
駆け出し戦士の捨て身の一撃が見事にロックイーターの顎の肉を切り裂き、悲鳴を上げさせた。
大剣使いたちは怯みを見せた隙に一気に突っ込み、他の冒険者が体力を使いきった戦士を避難させる。

しかし、思わぬ反撃を食らわされたロックイーターの凶暴性は増し、近づくのも困難なほど暴れ回り始めた。
ただ剣が刺さったままで地中に潜るのが難しくなったのか、その場から逃げる様子がない。
ダメージを感じている今のうちに、大剣使いは全力で剣を振り下ろした。

しかし、渾身の一撃でも外殻に阻まれ、肉を切り裂くことはできなかった。
痛みにもがいていても群がる冒険者に反撃を繰り出してきたロックイーターは長い胴を振り回し、大剣使いに叩きつけようとしてきた。
反応が遅れた大剣使いだったが、相棒の聖騎士が盾で守ってくれ、事無きを得た。
だが、ロックイーターは間髪入れずに地面にめり込ませようとしてきた。

冒険者3人は協力して攻撃を受け止めた。
槍使いは槍を地面に立てて槍の強度に任せ、大剣使いと聖騎士は盾と剣で受けて踏ん張ったが、このまま耐えていても持久戦に持ち込まれたら巨大モンスターに勝てる道理はない。
とにかく致命傷を与えるためには動きを抑える必要がある。

その時、待ち望んだ本隊がやっと合流した。
ちょび髭の隊長は巨大なロックイーターを見ても全く驚かず、淡々と指示を出していく。
あらかじめ詠唱が終わっていた魔術師部隊は特大の弩に付加をかけ、力自慢の冒険者が滑車を回して弓を引く。
狙いをロックイーターの大口に定めた。
そしてちょび髭の号令で、特大の矢が放たれた。
目にも止まらぬ速さで飛んだ矢は確かにロックイーターに当たり、冒険者たちはその瞬間を目撃した。

だが狙いは逸れ、大口の横のとげとげを吹き飛ばしただけだった。
それでも見た目以上にダメージを与えているようだが、致命傷には程遠い。
ちょび髭が第二射の準備を指示した直後、大剣使いは一人で勇ましく突っ込んだ。
そして攻撃が効かなかったさっきの教訓を活かし、外殻の隙間を見事に切りつけ、やっと肉を切り裂いて血を噴出させた。

もちろん、人間で言えば腕に少し深めの切り傷がついたくらいなのかも知れない。
それにしてもロックイーターは叫びながらいつまでも激しく動き続け、集るハエのような大剣使いを叩き飛ばした。

壁まで吹き飛ばされた大剣使いを見て戦慄する聖騎士たち。
駆け出し戦士の捨て身の一撃も、弩の一射も、大剣使いの一閃を食らっても、まだまだロックイーターが倒れる気配はなかった。
何とか大剣使いが大怪我を免れたのは良かったが、更に脅威が増えようとしていた。

止まらないロックイーターの叫びに呼応するように、夥しい量のブロブが天井で蠢き、汚物のようにボタボタ落下してきた。
ブロブに纏わりつかれれば骨まで溶け、油断すればロックイーターにぐちゃぐちゃに食い殺される。

本隊が到着しても、全く状況を好転できないままだった。
































