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93話

瀬里と真希の堂島姉妹を殺せと指示されたメデューサたちは息を飲み、気色ばんだ。

 

脱獄するつもりの堂島姉妹が船から脱出するためにクルーザーを奪うのは必至。

 

もし乗っ取られれば自分たちが船と共に沈むことになると不安を煽った女医は完全に姉妹を裏切り者と呼ばわり、再度殺せと指示して電話を切った。

 

 

とは言え、女医もそう簡単に殺してくれるとは思っていなかった。

 

そろそろ殺人鬼モードから戻る者がチラホラ出てくる頃合いに、明らかに仲間意識を芽生えさせているこの状況で躊躇わずに殺せるかは疑問が残る。

 

ただ、完全に覚醒した千歌ならば、たとえ小夜子相手でも必要ならば殺す雰囲気を纏っている。

 

こんな綱渡りの状態でも、女医は千歌が実験の成果を上げてくれる瞬間に期待した。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2019年26号

 

 

 

姉妹の裏切りをはっきり聞かされた霧子は怒りが抑えられず、力任せにテーブルに拳を叩きつけた。

 

毒を盛っている以上、女医の言葉がフェイクではないだろうと小夜子も考えを話すと、他のメデューサたちも不安が募り出し、姉妹がどういうつもりなのか、本当に殺さなければならないのか自分では決めきれない様子。

 

だが千歌だけは、風呂でのフレンドリーな態度もこの時のための布石だろうと言い放ち、本音かどうか、姉妹への嫌悪感を明かして殺意を漲らせた。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2019年26号

 

 

 

船内は爆発騒ぎで大パニックに陥っていた。

 

残された船員は客の避難を最優先に急がせていたが、船底が爆破されて穴が開き、最早沈没が避けられない事態になっていることで、次々起こるトラブルに混乱していた。

 

 

そして逃げる乗客たちはあちらこちらで無残に死んでいる幹部たちの死体を発見して、更に恐怖を募らせていく。

 

烏丸の死体を皮切りに、はしたなく股をおっぴろげて酒瓶に囲まれている楊の腹部に揺れで落ちてきた瓶が直撃した。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2019年26号

 

 

その衝撃で楊は気絶から目覚めた

 

 

顔面が凹むほどの一発を食らわされても命に別状はなかった楊は体を起こし、激痛が走る顔面を押さえながらどういう状況になっているのか把握することにした。

 

 

そしてまず、一階でアナルから口までポールが貫通して惨たらしく死んでいる組長を見つけ、言葉を失った。

 

 

組の壊滅。

最強の武闘派の谷の死

 

唯一生き残れた安堵よりも怒りがこみ上げ、メデューサたちへの復讐を誓った。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2019年26号

 

 

 

クルーザーが横付けされた非常口まで堂島姉妹を案内した吾妻は、千歌たちも乗せてくれるよう説得を試みるが、解毒剤だけを渡すから自分でどうにかしろとにべもなく言い返されてしまう。

 

船が沈むのにと言い返せば上司の女医の仕業だろうと正論を吐かれ、他の客に交じって救命ボートに乗ればいいとも言われ、説得されてくれるつもりはないことを思い知る。

 

そして真希から先に乗り込もうとしたその時、音もなく飛び蹴りを繰り出した楊の一撃が完全に無防備な真希の横っ面にクリーンヒットした。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2019年26号

 

 

威勢のいい掛け声の後に響き渡った真希の悲鳴。

 

瀬里は妹の名を叫びながら楊に向けて発砲するが、華麗な身のこなしで躱されてしまい、連射できないうちに銃身を掴まれて攻撃を防がれ、流れるように無駄のない動きの中で軽くここにいる理由を話されながら、捻りを加えた肘打ちを繰り出された。

 

なんとか腕で防ぐも威力に押されて壁に追い詰められ、気合を乗せた掌底をみぞおちに叩き込まれた

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2019年26号

 

 

体術では完全に分が悪い瀬里は吐き気が催す中、谷を殺したのは誰か問い詰められた。

 

谷がどんな奴かも知らない瀬里は、正直に知らないことを示すので精一杯。

 

 

そんなことより早くクルーザーを奪わなければと思ったその時、何人かの足音がする方へ顔を向けると、残りのメデューサが勢揃いでやって来たところだった。

 

 

まさか楊が生きているとは思わなかった千歌は静かに驚き、対戦した霧子は目を見開いた。

 

さすがに多対一では勝てないと判断した楊は、確実に谷の仇を取るため、ぼそっと呟いてから暗がりの中へ姿を消した。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2019年26号

 

 

 

そして残された堂島姉妹を千歌は見下ろし、ナイフを握った。

 

その様子を角から覗き見ていた女医はほくそ笑み、首を切れと心中で願った。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2019年26号

 

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