PR掲載中

5話

突然振り向いた神は急に敵意を露わにし、ベリアルの首に掴みかかった。

 

 

神はかつての因幡の白兎だった。

 

ここの神に重傷を癒してもらった恩から、異国のベリアルがつけた傷を自身がそうされたように怒り、慕う神に代わって成敗しようとしてきたのだ。

この愛は、異端
著者名:森山絵凪 引用元:この愛は、異端ベリアル文書5話

 

 

相手がよしのが声を弾ませていたうさしゃんだと分かったベリアルは、できれば血を見るような争いはしたくないと思い、歴然たる実力差は明らかだろうと諭し、害を為す意思がないことを伝えようとした。

 

しかし白兎は、完全に頭に血が上っていて、刺し違える覚悟を変えようとしない。

 

よしのへ危害を加えるつもりがないなら、ベリアルはどうにか手を出さずに逃げ切りたかった。

 

 

 

その頃よしのは三輪山を下りて麓に戻っていた。

 

 

まだまだ心残りがある真弓はそれでも、周辺にあるもう一つの神社の下調べもしていて、テンションを維持していた。

 

大直禰子神社は大物主神と大直禰子命をご祭神としており、それにまつわる三輪山伝説を聞いたよしのは、この辺りの地名の由来に感心するよりも、神があちこちに自分の子種をばら撒ていたと知り、軽蔑の念を抱いた。

 

181神を子供がいると言われ、ベリアルの節操のない発言も思い出した。

 

そしてやはり、異なる種族の壁の高さを感じた。

この愛は、異端
著者名:森山絵凪 引用元:この愛は、異端ベリアル文書5話

 

 

そんないわゆるヤリチンを、真弓はどうして好きでいられるのか。

 

どこかヒロイズムに浸りやすいのか真弓は、最後にはヒロイン一人に影ながら尽くし自己アピールしないところだと儚げに答えた。

 

よしのも、その姿勢にほだされる気持ちが分かるような気がした。

 

 

 

ベリアルは防戦一方の中、逃げる隙を窺っていたが、白兎の予想以上の速さに後手を踏み、羽ばたこうとした瞬間に背後を取られて叩き落とされた。

 

白兎に言わせれば、よしのの魂はこの国に生まれた以上、この国の神に捧げられるのが道理。

 

それなのに、私欲のためにここまで長く生き永らえさせれてはたまらず、白兎が慕う神が今一度葬るつもりだった。

 

それをベリアルが邪魔し、神に大きな傷をつけた恨みを白兎が代わって復讐しようという。

この愛は、異端
著者名:森山絵凪 引用元:この愛は、異端ベリアル文書5話

 

 

ベリアルも早い者勝ちの論理を言い返しながら、もう一度隙を狙って飛んで逃げようと考えた。

 

すると白兎は耳敏く敏感に逃げようとしている気配を感じ取り、迂闊に飛び込むのを止めた。

 

 

その逃げ一辺倒の対応やここ数日のベリアルの様子を見ていた白兎は、ベリアルのよしのに対する気持ちが単なる獲物を見るそれではなく、本当は愛情を感じているのではないかと指摘した。

 

魂も見た目もあまりに美しいが故に惹かれる気持ちに理解を示しながら、ベリアルの心中を饒舌に見透かした。

この愛は、異端
著者名:森山絵凪 引用元:この愛は、異端ベリアル文書5話

 

 

ただベリアルの真意に関わらず、白兎はよしのの魂を我が神に献上するという。

 

そのためにこの地へ誘導したと軽々しく明かす白兎は、逃げしか考えていないベリアルにはもう全く恐れを抱いてなかった。

 

しかし、よしのに危害が加えられる可能性がるなら、ベリアルに大人しくする理由はなかった。

 

 

遠慮なく本気を出して白兎の身体を貫き、どこで生まれようがどの神が狙っていようが、よしのは自分のものだと改めて言い含めた。

この愛は、異端
著者名:森山絵凪 引用元:この愛は、異端ベリアル文書5話

 

 

直後、ベリアルはいつの間にか鱗に覆われた巨大な身体に囲まれているのに気づいた。

 

白兎を一掴みにして取り返した鋭い爪と鱗に覆われた手は、ベリアルが一番会いたくない相手のものだった。

この愛は、異端を読むならこちら