業務用かと思しきガス台、手慣れた包丁捌き、鍋の振りも見事で重そうな鉄鍋を軽々扱い、米が舞うように躍動していく。
チェック柄のシャツワンピースの上にエプロンをつけたビンビンは、そこはかとなく新妻風の雰囲気を放っていた。
素朴で食べ慣れているが故に見た目だけでもう美味いチャーハン定食にテンションを上げた彼は、手を合わせて一口いただくなり、心から美味いの一言を紡ぎ出した。
満更でもなく嬉しいビンビンは日本人の味覚をからかいつつも、頬を桃色に染めた。
ガツガツ平らげて満足した彼は、武闘派で料理も上手なことを賞賛し、いつから料理をし始めたのか興味本位で訊ねた。
するとビンビンは表情を曇らせ、両親とも亡くなった5年前からだと寂し気に答えた。
祖母も忙しくて作ってくれる者がおらず、必然的に生きるために料理を覚えていったパターンだった。
悲しく聞こえる生い立ちを何てことない様に明かすその姿に感心した彼は、単純に凄いと褒めた。
料理上手で武闘派で行動力も人一倍。
この褒めの連続にはさして心動かした様子の無いビンビンだが、真面目な頑張り屋だと言われると一気に恥ずかしがり始めた。

もうスケコマシにしか見えない彼は、一気に畳み掛けるように、大変さを表に出さない凄い女性だと褒めに褒めた。
真っ赤にさせられたビンビンは、そのついでのように立ち上がってエプロンを外すと、シャツをはだけさせて彼に跨った。

料理上手と言われたからには、お口直しのデザートを忘れるわけにはいかない。
その柔らかさは熟した桃以上、香りは程良いピーチフレーバー。
催淫人体アロマと指に吸い付いてくる感触に、彼の頭は蕩けていく。

この個人タイムに何をしたかは秘密厳守。
知っているのは自分たちだけ二人。
そんな誘惑を囁きながら、ビンビンは果汁が出てきそうなプルプルの唇を近づけた。

しかし彼は、絵理沙への貞操を守るため、この最高の誘惑を耐えきり、ピーチボディを押し返したのだった。
彼の真面目さをもう十分理解しているビンビンは溜息一つで手打ちにすると、仕方なしと言う風に絵理沙についての新情報を暴露し始めた。
あくまでビンビンが語る一方的な話である。
ロスアニアを出る前にどこかに連絡していたようだが、相手はどこかは分からない。
ただそれだけじゃなく、怪しげな薬を自分で自分に打っているところを見たと言うのだ。
果たしてそれは真実なのか。

噂の絵理沙は動きやすい格好で、どこかの岩山を登っている最中だった。

































