久しぶりの会話もそこそこに、火野はセーフハウスに辿り着くまでにあった経緯を伝え、珍しく真剣な表情を見せた。
彼も神妙に残してきたメイティング相手たちを慮ると、火野は他にも妊娠している女性がいることに言及し、奇跡の生還を果たしたばかりの彼に助力を懇願した。
もちろん彼に断る理由など一つもなく、友のためにも力を尽くすことを約束したのだった。

火野はこれからの動向を伝えると、一息ついて通信を切った。
直後、美来が一言も彼と話していなかったのを思い出し、慌てて謝り再通信をしようとした。
しかし美来は丁重に断り、無事な声を聴けただけで十分だと、健気な女の顔で感動の空気を放つのだった。

今のところ逃亡劇は順調だが、寧々子はここで支部に戻らなければならなかった。
クロエたちに手酷い尋問をされることも承知の上、家族を置いて逃げるわけにはいかないのだ。
だからこの機会に、あっという間に過ぎていった担当官生活は大変なことの連続で、望み通りに次々メイティングしてくれるのはいいが、気分屋で情に篤いのも考え物だと愚痴を零した。
そして寧々子は溢れる想いをもう我慢せず、今だけは一人の女として見て欲しいとおねだりした。
目覚めてから、一番近くで一番長く一緒にいた女性。
これが今生の別れになるかも知れない彼女を、火野はギュッと抱きしめて感謝を伝えた。

上気した頬に涙が溜まった目尻。
キリっとした猫のような瞳を見つめ、ぷっくりした唇の感触を指で味合うと、もう言葉はいらないとばかりに唇で塞ぎ、ベッドに雪崩れ込んだ。

ナンバーズと初めてした担当官は、石動寧々子になった。
一方、日本支部の指令室ではクロエが激昂していた。
火野とゆかりに逃げられてしまっては、色々手を回してきた意味がなくなる大失態。
その失態を犯したカレンをジャップ呼びして悪し様に罵り、男共に見立てた人形を弾き飛ばした。
かなり情緒不安定になってきた節があるクロエは、冷ややかなポープの目や言葉なんて気にせず、人形をきれいに並べ直すと、男性消滅計画のために三日後、ロスアニアにミサイルをぶち込むと宣言した。

デマを流した勢いで持って、有無を言わさず軍事力で国ごと制裁を加える強硬策を嬉々として語るクロエ。
ロスアニアを壊滅させた後は、ナンバーズを皆殺しにすると言い、マシンガンを撃ちまくって見立て人形を蜂の巣にしたのだった。


































