57話
パピコと別れたせいか、街中を歩いていると今まで以上に彼女の噂話が耳に入ってくる気がした。
最近見なくなった。
引退したの?
消えた。
記者会見で目は死んでたけど、活動再開するらしいよ。
そんな話し声を聞きながら登校しても表情一つ変えなかった彼だが、教室で授業を受けていると涙が零れてきた。

しかし彼女との約束を果たすために燃えに燃えており、涙は隠して映研の活動に頑張って取り組んでいた。
外ロケはゲリラが基本、青春真っただ中の勢いと内に秘める愛で突き動いていた。
糸、それが最も監督がこだわる部分だった。
ピンと張った感じじゃなく、もっとうねった感じで注文をつける。
車の往来にも気をつけ、通行人がいないタイミングを見計らい、まさに映画監督としてスタートとカットの掛け声をかけた。

映画作りに打ち込んでいるのはママも了解済みで、さり気なくパピコと息子の繋がりを気にしていた。
片や彼の宣言を信じて別れを受け入れたパピコは、芸能の仕事を着々と再開していた。
カメラマンに可愛いと褒めそやされながらソファに横たわり、口を半開きにしてキュートとセクシーが混在したアンニュイな表情を作り、船の上でもカメラを見下ろして要望に応えていく。
そしてもっと芝居が上手くなりたいから、端役でもなんでも仕事を受けて欲しいとマネージャーに伝え、自分がやれることをやろうとヤル気を漲らせた。

そして送迎の車内でふっとゆっくりできる時間に浸ると、不意に涙が零れ落ちるのだった。
マンションに着くと待ち受けにしている彼とのツーショット写真を眺めながら感傷に浸り、思い出を振り返っていく。

そしてドアノブを手をかけると鍵が開いていることが分かり、もしかして零が来たのかと思って無防備に中に入った。
淡い期待を抱き、短い廊下を抜けてメインルームに入ると、そこで待ち受けていたのはブリーフ軍団だった。
以前にもブリーフおじさんと絡み、巨大化装置をつけられたパピコは叫び声を上げることなく、一旦少佐と見つめ合ってから装置に手をかけた。

直後、少佐はパピコの名を呼び、待てと止めた。



































