怜人は出張が決まったことを美来に伝えた。
その期間はおそらく一カ月ほど、その間、火野の分身である子供たちをまひると一緒にお願いと改めて頼んだ。

美来はクロエ率いる過激派が怜人に手を出して来やしないかと心配するが、今回は政府と共同の仕事だから警備もいるし翠もいるから大丈夫だと安心させようとする。
しかしそれならそれで、政府に人質に取られたと察せる美来は複雑になる。
だから彼が自分のことを優先できるよう、いざという時は自分を気にしなくていいと言い含めた。
なぜなら絵理沙の命を使って今も生かされているから、彼にも絵理沙自身にも申し訳なくて辛くてしょうがなかったのだ。
絵理沙がもういないことは彼も辛いが、美来の犠牲になったとは思っていなかった。

強引な成長で臓器がズタボロな美来と、重病で先が長くない絵理沙。
絵理沙は自分の健康な部分を美来に提供し彼との未来を託し、彼もしっかり受け止めて尊重したから、美来だけでも生きていられた。
だからまだ申し訳なさの中にいる美来に前を向かせるため、しばらく離れる前に左手の薬指にリングを通してプレゼントした。
そして必ず新たな特効薬を作るから、そしたら式を挙げて3人の子供を作ろうとお願いした。

この願いは絵理沙の最期の願いだった。
美来の中に生きる自分も合わせて、愛し合う3人の子供を作って欲しいという切実な願い。
自分を生かしてくれた絵理沙と幼馴染みの選択を受け止めた彼の願いなら、美来にとっても願ってもないお願いだった。

そして出張当日の日、兄を見送るまひるの視界の中には、車内で早くも取っ組み合うお子様二人の姿が。
スッキリしたのか美来も笑顔で彼を見送ることができたので、車に乗り込んだ彼も懐かしきコールドスリープに入る時の絵理沙のことを思い出した。
その想いが美来の中にも残っていたのか、堪らずに駆け出した美来は窓ガラスに顔を近づけ、あの時が鮮明に蘇る言葉を送った。

彼はここに戻る時は、美来をまた抱けるようになってからだと強く誓った。
14話
過激な思想を貫くクロエだが、その出自は美来と同じなのか、何らかの病魔に侵されているのか、CT検査を粛々と受けていた。
そんなタイミングでいつもの部下がやって来ると、三賢者の呼び出しを告げた。












































