一方着々と覇道の道を歩んでいるカレンは、翔太の手を引いてあるところに引っ張り込んでいた。
そこは特に何もない殺風景な部屋だった。
しかし、その部屋にある窓はスイッチ一つでマジックミラーに代わる男性のために作られた、かつて怜人も引っ張り込まれた特別室だった。
鏡の向こうはあの大浴場。
何人もの美女たちが湯に浸かり、身体を清めリラックスしていた。
そして、その女性たちは火野とメイティング経験のある者ばかりだった。

ヤリチンに生まれ変わった彼もさすがに驚くが、カレンはだからこそ新しい女性をウインドウセレクトで見繕って下さいと促した。
その時翔太は、昨日見たかなりの美女の玲奈が見られているとも知らずにリラックスしているのに気づいた。
どうも見覚えがあると思っていると、かつては女優をしていた人だと教えてもらい合点がいった。

それはそれとして、玲奈が火野ガールズだと知っている翔太は遠慮しようとするが、ある可能性に気づいてカレンを凝視した。
ザッツライトと言わんばかりに微笑みながら、カレンは男がメイティングを禁止されていることを切り出した。

ただし、交渉して翔太だけ条件付きでメイティングの許可を得ていたのだ。
そこでカレンがあえて火野ガールズをあてがおうとしている意味を翔太も察すると、カレンはもう可愛く思えない内に悪魔を秘めた笑みを零すのだった。
もう一方の怜人一行。
彼らは無事に台湾に到着していた。
快晴で降り注ぐ日差しに暑さを感じる怜人をよそに、子供たちは初台湾にテンションを上げながらお迎えの車に乗り込んだ。
運ばれて到着したのは、九份という煌びやかながらノスタルジーも感じられる某アニメで日本でも知られるようになった観光地だった。
そこでもさっそく子供二人ははしゃぎたい気分に駆られそうになる。
ギスギスした日本と違って活気に溢れた光景に彼と朱音もゆっくり観光したい気分になった。
しかし、絵理沙に早く会いたい気持ちには敵わない。
変装も何もしていない彼は取りあえずフードだけ被って目立たないようにしつつ、いよいよ絵理沙に会えるかと思うと緊張してきた。
煌びやかな町の中を歩いていると、まだ平和だった頃、絵理沙と祭りに行った時の事が思い出されてきた。
二人揃って浴衣を着て、日本に連綿と伝わる夏祭りに繰り出した。
絵理沙は金魚すくいにいち早く興味を惹かれ、千円も支払ってポイを受け取るや否や、幼い頃から変わらない可愛い笑顔を見せた。
その笑顔に、彼は見惚れたものだった。
ひと気のない社の前のベンチに座り、彼は熱々のたこ焼きに舌鼓を打ち、絵理沙にもう一つ分けてあげようと声をかけたが、彼女は浮かない表情をしていた。
ふわふわのわたあめを見つめていた絵理沙は、こうして自分たちが自由に楽しんでいても、どこかの恵まれない地域では子供たちが飢えていると思うと、素直に楽しめなくなっていた。
彼は絵理沙の無力感が理解できた。
だからこそ、自分ができることをするために医者を目指しているんだろうと指摘した。
かつては愛犬を助けるため、今は恵まれない子供たちを救うために医学生として頑張っているのだから、気にしすぎて楽しむのを我慢する必要はないのだと励ました。
スッと受け入れられる正論で励まし、頭ポンポンで気持ちを上げてくれるのが彼の優しさだった。
絵理沙は彼の一言でこの時間をまた楽しめる気持ちを取り戻し、笑顔になれた。
しかし、最後まで一歩を踏み出せなかった彼はここでもデリカシーのない指摘までしてしまい、空気を軽くしたものの、いい雰囲気がぶち壊れるのだった。
そんなことを思い出しながら階段を上がっていた彼は、ふと前方に懐かしい気配を感じて足を止めた。
空とどこまでも続いていそうな階段をバックに、絵理沙が立っていた。
5年以上ぶりの再会でも、絵理沙は感動で打ち震えるでもなく、どこか悲しそうな目で彼を見下ろしていた。
見上げた彼は何も言葉が出てこず、ただ目を見開いて絵理沙の目を見つめた。
感想
終末のハーレム無修正53話でした。
ついについに絵理沙と再会できましたが、片や人類の希望の星で、片や本当のことを言っているのか定かでないテロリスト幹部。
ここからまた色々起こるでしょうが、ナンバー4がせっせと子作りしている最中でしょうし、怜人だけ役目を免れるのはフェアじゃないので、さっさと絵理沙と初体験してくれることを願います。
https://www.kuroneko0920.com/archives/51778




































