73話
片目と胸を切られたデブは、もう痛みに絶叫するしかなくなっていた。
あやは体中に塗りたくられた汗と脂と精子に怒りが治まらず、一撃必殺の構えを取った。

柄の端を握り、左手は軽く添えるだけ。
腰の捻りを加えて一気に右肩を押し出し、スライムのようなデブの腹に突き刺した。
そのまま横に薙ぎ、完全なる致命傷を与えた。
しかしその程度で怒りは治まらず、続けざまに切り裂いた。
精子をぶっかけられたからには精子に還さなければ気が治まらないあやは、目にも止まらぬ速さで剣を振りまくった。
デブはミキサーに巻き込まれたように肉片に切り分けられ、今回の戦いで一番惨たらしい姿で殺されてしまうのだった。

後に残ったのは、肉片と地溜りだけだった。
呼吸を整えたあやは改めて自分の臭さに顔を歪め、すぐに風呂に行こうと思った。
一方、機関室の奥に追い込まれていた堂島姉妹は、ショットガンの銃口を向けられて脱げと命令されていた。
普通なら命乞いするべき絶体絶命の窮地だったが、姉妹は煽るような返事を返した。

サングラスの幹部はよく分かるように、股を開いてマン○を見せろと言い直した。
引き金を引けば同時に二人殺せるショットガンを相手にして勝ち目がないのは考えるまでもなく、サングラスはただ殺す前に美女殺人鬼の締り具合を確かめたいだけだった。
だから姉妹はこれみよがしにため息を吐き、馬鹿だと連呼し、性欲に支配されて最悪を想定しない脳みそが精子なんだと嘲笑った。
そこまで言われたサングラスはキレ、煽られるまま引き金を引いた。
頭に血が上ったせいで姉妹が咄嗟に地べたに這い蹲ったのに反応できず、標的のいなくなった空に弾丸を撃ってしまった。
弾けた弾丸は機関室の金属に当たってあちこちに跳ね回り、全く予測できない跳弾の嵐になった。

これを狙って地面に伏せた姉妹だったが、イレギュラーすぎる跳ね方は運悪く妹の体に食い込み、重傷になってしまった。
命に別状はなさそうだったが、思わぬダメージがこの先、命取りにならないとも限らない。

そして、数発のバードショットでも悶えるような痛みなのに、サングラスは突っ立っていたせいで全身で鉛の粒を受け止めてしまっていた。
トレードマークのサングラスも粉々に砕け散った。
穴だらけになった幹部はまんまと騙された自分がバカなのを棚に上げ、恨み言を吐き出すが、姉妹はニヤニヤとして見下ろすだけ。

それよりも妹は戦利品としてショットガン・フランキスパス12を奪い取り、ほくほくと眺めた。
姉は妹の審美眼だけは共感できず、手早く応急手当を済ませる。
そして、今にも死にそうな幹部をさも嬉しそうに見下ろし、元持ち主に銃口を向けた。
妹が幹部にヘッドショットを決めている横で、姉は女医に連絡してここまでの戦果を報告し始めた。
そして女医からも他のメデューサたちの状況を教えられる。
カチュアがトイレで4人。
千歌が組長室で2人。
カレンが客室で4人。
洋子がカチュア、カレンと共闘してダンスホールで6人。
あやが映画館で5人。
堂島姉妹が機関室で7人を殺害し、ここまで計28人。
残りは標的の水野を筆頭に手練ればかりの計7人だった。

ただし、仁奈だけは霧子が寝返らせたので殺す必要はなく、捕まった小夜子は千歌が助けに向かっていることを伝えた。
現状を理解した姉妹は被弾したことも伝え、治療を求めた。
だから、今女医がどこにいるのか訊くのも、不自然ではなかった。

その頃水野は、長く耐えて強靭なアナルを持つ小夜子に感嘆していた。
しかし、もう小夜子は悶え苦しんでいなかった。
涙だけ零している小夜子の目から光が消えていた。

感想
サタノファニ71話72話73話でした。
珍しく感動回になりましたが、過去に感動できるような回があったでしょうか?
これで洋子が腑抜けになるのか変わらないのか、それとも鬼神の如くヤクザをボコボコにしていくのか?
ヤクザ共に比べたら、メデューサが大分まともに見えてきました。
https://www.kuroneko0920.com/archives/52337


































