6話
主の手に助けられた兎はそっと道に寝かされた。
突如介入してきた大蛇の神に虚を突かれたベリアル。
蛇神は相変わらず先走って傷を負う白兎に呆れるが、サッと腹部の傷を癒した。
白兎の傷が治ったところで蛇神はベリアルに眼を向け、どう落とし前をつけるのかと迫った。
ベリアルは強気に言い返し、よしのは自分の所有物だと譲らない。
しかし蛇神は兎の言葉同様、あの娘はこの国のものであり、以前の衝突も話を聞かないうちにベリアルが手を出したのだと言い返した。
同じことを言われても、ベリアルは意見を変えようとしない。
蛇神は彼女の両親と同じく無礼だと怒り、力ずくを匂わせた。
そんな脅しには屈さないベリアルは、よしのを渡すくらいなら命を散らす覚悟を示した。

その意気や本物。
ならばと蛇神は、自分だけでなく八百万の神が黙っていないと脅し、再度意思を確かめた。
それには真っ向切って戦う判断を取らなかったベリアルは、よしのと共に国外に逃げるまでと答える。
ただそんな暇が与えられないと分かると、せめてよしのは見逃して欲しいと弱気を見せた。
浅ましさを露わにし始めたベリアルに、蛇神はその命を差し出すなら考えると返した。
さすがにそこまで捧げられるわけがないと思ったベリアルは、そんな馬鹿な提案が飲めるはずがないと声を荒げた。
しかし、怒りと戸惑いの直後に浮かんだのは名前を呼んでくれるよしのの笑顔だった。
つい先日聞いたばかりの電話越しの声。
抱っこをねだっていた、ころころと可愛い幼女の頃の見上げてくる瞳。

それらを思い出したベリアルは、我が子を思うような慈悲に溢れた柔らかい顔つきに変わり、打って変わって命を差し出して彼女が助かるならそれでいいと言い直した。
人間の娘に完全に骨抜きになっている異国の悪魔に毒気を抜かれた蛇神は、温情か嫌悪か、ベリアルの臭いがついたものなどいらぬと翻し、上等な酒を供えることで手打ちにすると言い出した。
ベリアルにしては僥倖だが、兎は納得せず、自分と同じように罰を与えるべきだと具申した。
羽を毟って飾りや扇に、髪を切って少しでも能力を削る。
兎の意見に蛇神が賛成すると、ベリアルも素直に応じた。

そしてベリアルは美しい羽根を毟り取られ、髪は切り取られてミディアムヘアーに変わり、その命を長らえた。
この地で暴れないこと、よしのには手を出さないことの約束を神と悪魔は交わした。

これで最も恐れていた脅威と決着がついた。
すると蛇神が、なぜ兎を傷つけようとしなかったのかその訳を訊いた。
ベリアルがその理由を正直に打ち明けると、兎はすぐさまからかおうとするが蛇神が止め、すうっと竹林の彼方に消え去ったのだった。
一人になってやっと一心地付けたベリアルは、この程度で済んで良かったと胸を撫でおろしながら、よしのの魂を手に入れるために労を費やしてきたのに、命を捧げようとした自分の選択に改めて驚いた。
何も知らずに無事に帰って来たよしのは、そうめんやらお守りやら買ってきたお土産を広げて嬉々として説明を始め、明日の朝は清水焼の器に三輪素麺を盛って食べようと提案した。
特に自分のために買ってきたお土産が無くても、そんなことはどうでもいいベリアルは、こうして無事で目の前に彼女がいてくれることに感謝して頬に触れた。

そして電話口でねだられた通り、幼女の頃のように持ち上げはしなくてもギュッと抱きしめた。
それだけでもう股間をいきり立たせてしまい、よしのはゴリゴリした硬いモノの感触に気づいてしまうのだった。
感想
この愛は、異端ベリアル文書4話5話6話でした。
懐かしい三輪山。
さて、心配が尽きなかった神と手打ちになったのなら、次なる脅威の出番なのか…

































