6話前編
超スピードでバインバインとホッピングのように飛び出してきたのは山ビルだった。
もちろんヒルの種類なんぞ見分けがつかない3人は、ただ人間じゃないことに驚いた。
山ビルは近づいて来たかと思うと臭いを嗅ぐ仕草を見せた。
そうしてから3人に狙いをしぼり、またホッピングのように弾んで襲いかかってきた。

京介は二人を先に逃がして銃をぶっ放すが、あまりのスピードで全く捉えられない。
銃撃をするりと躱した山ビルが京介を無視して二人を追いかけると、怯えた三下は躓き、法嘩を巻き込んで倒れてしまった。
それを逃さず、山ビルぬるりとした口を向けた。

蟲の知識がない3人が夜の森へ踏み込んだと聞いた睦美は、千歳、仲宗根と一緒に急いで追いかけていた。
負い目があり、普通に惚れてもいる仲宗根が睦美の荷物を持ってあげたその時、彼女たちの耳にも銃声が届いた。
法嘩と三下に襲いかかるかに見えた山ビルはしかし、また臭いを嗅ぐ仕草で止まり、辺りを窺った後、改めて三下だけに狙いを定めて追いかけ始めた。
その辺りで合流できた睦美は、一目で三下を追いかけているのが山ビルだと見抜き、動き回って呼吸を乱すほど狙いを定めてくるから激しい動きを止めろと叫んだ。

山ビルは日本で唯一の陸生吸血ヒルであり、森の忍者と呼ばれるほど気づかぬうちに衣服の中に侵入している恐ろしい隠密性を誇っている生物だった。
歯の形状から判別した睦美は、湿気さえあれば陸でも生きられるのが山ビルだと説明し、音を立てずにそっとこの場を離れようと指示した。
岩陰に隠れた三下も口に手を当てて存在を消そうとするが、山ビルはしつこく三下のみを執拗に追いかけ続ける。
その時京介は、三下の尻ポケットに血がこびりついているのに気づき、それが原因だからすぐに脱げと叫ぶが、さすがに走りながら脱げるほど三下は器用ではなかった。
山ビルが三下の頭上まで伸び上がり、万事休す。
だが法嘩が身を挺して伸び上がりの着地点から外した。
しかし、それは全く無意味だと睦美は知らせた。

山ビルは動いている途中でも、着地点を自由に変えられるほど強力な吸盤を持っていた。
結局逃げ切れず、二人まとめて左腕に吸いつかれてしまった。
法嘩は急いで腕を引き抜いたが、三下は完璧に食いつかれて自力ではどうにもならなくなった。

京介は至近距離で銃を撃つが、全ての衝撃を拡散されて全く食い込んでいかず、ナイフも極太のタイヤに突き立てたように刺せても全く切り裂けない。
協力して引っ張っても、三下の血が吸い続けられるのを食い止められなかった。








































