99話
ガリアの身体から出てきた龍華石。
驚いたアマネによればそれは、ドラゴンしか採れない貴重なもので、強力な武器に加工できる鉱石なのだという。
その石が魔女をドラゴンたらしめていたわけじゃないが、カヅチならいい武器を作れると聞いた彼は、続いて大仕事を完遂すべく、サンドリオの街に戻ることにした。
ガリアからカードももらったし、仁科を起こしてこの世界の謎を解き明かす時が来たのだ。
激闘を終えた彼女たちはまず、怪我の治療に専念することにした。
ルーミは傷にいいからって土中生物の体液を頬に塗りつけられた染み具合に、痛い痛いと遠慮なく喚いた。

そんな弱っちい面を見せるから、ジッと無言で耐えているアマネと比べられてしまうが、二人の最も大きな違いはやはり口数の差だった。
修学旅行みたいに布団を並べて治療を受けているガーディアンたちだが、意外と誰よりも重傷だったモモは別室で大人しくベッドに寝かされていた。
身体も重傷なのだが、虚空を見つめる空虚な目はやはり、相当メンタルがやられているようだった。

ルーミは心配を募らせるが、誰も死なずにガリアを倒せたのは奇跡だと改めて感じた。
しかし、アマネは後から合流したルーミのために、実は一人、ナゴミという新人が命を犠牲にしてガリア攻略の鍵を教えてくれたのだと説明した。
そしてもう一人感謝すべきは、やはり快楽と共に平和をもたらそうとしてくれる彼だと。
一方サンドリオに出発する前に戦闘の汚れと疲れを癒すために、彼は遠慮なく水風呂に浸かっていた。

サンドリオでは節水生活だったので、水風呂でも十分癒された。
ともかく大見得を切ったので、記憶を掘り起こしてガリアドラゴンを討伐できた今に緊張の糸を解き、一つ溜息を吐いた直後、騒々しく街娘たちがぞろぞろと3人雪崩れ込んできた。
しかも、槍を突きつけて。
そう言えばガーディアン以外に男として存在を知らされていない彼は、忌々しいカルに間違われ、発見した3人に厳戒態勢を取られているようだった。

入浴中に何事かと思った彼は、声を変える飴を舐めていないのを思い出して一人ブツブツ喋り、彼女たちはカルが喋ったと思って度肝を抜いた。
会話ができる新種のカルが何を言おうとカルと決め込んでいる頭に二つのお団子ヘアガールは、いつも全裸のカルよ立てを命令した。
そして彼が素直に立ってぶら下がっているモノを見せつければ、彼女たちは本能的にカルじゃない可能性を察して頬を染め、股間の疼きを感じた。

ペコと呼ばれたお団子はそれでも、カルじゃないなんて認められず、人間の男であるはずがないんだと叫んで否定した。
男が現れる可能性を疑っているわけじゃなく、男ならもっとイケメンだと思い込んでいるペコ。
だからその希望を裏切られたくなくて、彼の容姿をこき下ろして精神攻撃を加え、問答無用でイケメン以外はカルだと認定し、抹殺する気だった。

その時、騒ぎを聞きつけたミサキが介入してくれた。
自分たちで独占していた彼の存在がバレたからには仕方なく、混乱を避けるための措置で隠していたが、彼はガリアを倒した英雄であり、崩月の運命からも救ってくれようとしている世界の救世主候補だと説明した。
まつり上げられ面映ゆそうにしている全裸の男の説明にちょっと固まった3人。
理解したサイドの二人はすぐに膝をついて無礼を詫び、立ち尽くしているペコにも謝れと急かした。
しかしペコはまだ、彼が夢見た人間の男なんて認めたくなくて喚き散らし、彼に精神攻撃を続けながら走り去ってゆくのだった。

遠くなっていくペコの叫びを何も反論できずに聞き続けた彼は、ペコはガーディアンに匹敵する実力の持ち主で口が悪いと言われても、この世界でここまで女の子に生理的に受け付けられなかったのは初めてなので、普通に凹んでしまった。
ペコは自室に理想のイケメンを貼りまくるほど、男はイケメンだと思っているメルヘン脳だった。
なのに、3千年ぶりの男がフツメンどころか自分基準では不細工だったので、報われぬ出会いを恨んで咽び泣くのも仕方なかった。





































