36話
まさかのコカトリス登場に、槍使いは悪態を吐いた。
魔女も緊張を隠せず、残りの術の回数は一回だと伝えた。
槍使いは一晩休まずに奥に突っ込んだ迂闊さを顧み、コカトリスが飛ばなければどうにかできると請け負い、突進攻撃を躱して後ろに回り込み、突きを放った。
しかしコカトリスの尾は蛇であり、後ろにも死角はなかった。

槍の柄も石にされて噛み砕かれた槍使いは無様に下がるしかなく、取りあえずは落ちているゴブリンの石槍を拝借するしかなかった。
そしてコカトリスはそのまま、魔女に狙いを定めた。
槍使いは後ろに回ったことを後悔しながらも、すかさず石槍を投げつけた。
それはあっさり背中に突き刺さったが、ダメージはほぼないようで怒らせただけになってしまった。

それでもターゲットを魔女から切り替えてくれたのは収穫。
槍使いは魔女が見ている前でもう逃げはしないと覚悟を決めて走り出し、魔女も同じタイミングで詠唱を開始。
衝突間近というところでコカトリスの足に魔法の粘ついた糸を絡みつかせ、動きを止めた。

ナイスアシストを受けた槍使いは折れた自分の槍の穂先を拾い、渾身の力で心臓に突き刺した。
確かな感触の結果、見事コカトリスを退治することに成功したのだった。
魔女は壊れてしまった槍を心配して気落ちするが、槍使いは大した品じゃないと答え、気分と表情を明るく宝探しの続きへとしゃれ込み、魔女の気分も上げた。

洞窟の奥の奥、そこにあったのは妙に長い宝箱。
慎重に開けて手に入れたのは、魔力で光り輝く槍だった。
災い転じて福となすとなった槍使いはテンションをあげるが、魔女が見たところそれは杖だった。
魔女は槍の補修費も考え、売って金にして山分けにしようと言うが、これからもパーティーを組み続けるつもりでいる槍使いは、自分の武器にして戦力強化を優先すればいいと答えた。
まさか当たり前にこれからもよろしくな関係でいられると思っていなかった魔女は、粗野に肩を叩いて先に戻り始める槍使いの背中を見つめ、新しい魔法の杖をギュッと握りしめたのだった。

































