18話前編
ミズカマキリを捕まえたタガメはくちばしを突き刺し、体液をじゅるじゅると吸い始めた。
仲宗根は子供の頃に湿地で見た奴との違いに驚くが、その懐古で山の湿地が繁殖地らしいと分かった。
そして山にいるはずのタガメがここまで飛んできたのは、そこに餌が無くなって試験場に目を付けた可能性が高い。

まだミズカマキリが多く生息していることから、飛んできたのは最初の一匹だと思われるが、カブトムシより前脚の力が強いと言われているタガメに捕まれば、逃げる術はない。
そんな危機的状況が近づいているのに、仲宗根は三浦の可愛さに発情してイチャつき出した。

とは言えタガメは暑さに弱く、34℃ある現在、陸上でならまだ人間に分があった。
ただそれも、タガメが集団になればそもそもの逃げ道がなくなって囲まれて終わってしまう。
台風がきて嵐になれば気温も下がり、タガメが悠々と試験場まで飛来してくると、帰ることもままならなくなって千歳が孕まされる危険性まで高くなってしまう。

睦美がそんな心配をしているうちにいよいよ雨が降り始め、最早一刻の猶予もなくなった。
仲宗根が資材置き場にバッテリーを取りに行くとして、置いてある小屋が壊されるのを防ぐために囮の必要性が出てくると、アキは三浦には任せられないと上から目線だがその役を進んで引き受けた。
睦美はその間、甲斐が前の島から持ち出したSDカードのデータをパソコンで確認し始めた。
それはエビやカニを巨大化させた研究データで、どうやら食糧危機に備えての急成長研究らしい。
僅か一カ月で10倍もの巨大化に成功したのは、毒性が低い餌を与えたからのようだった。
人間を含め動物は大なり小なり、食べ物に含まれている毒素も一緒に摂りこみ、カロリーを使って分解して無害にしているのだが、毒素が限りなく低いものばかりを摂取すれば、理屈ではカロリー消費が抑えられて身体の栄養素に回せるはず。

それがメディカルセンターにいたカニ巨大化の真実だろうが、巨蟲に関しての資料はなかった。
それでも睦美は、その博識っぷりで仮説を閃いたが、アキが割って入って思考を止めさせた。

今すぐすべきはバッテリーの確保で、仲宗根が資材置き場へ、三浦とアキで囮役を、睦美はそのまま資料を漁ることにした。
































