36話
榎先生と睦美は川伝いに山深くまで登ったことがあった。
人がほぼ立ち入らない場所で川は綺麗に保たれており、人目を気にせず師弟だけで裸になって汗を流すのも気兼ねない場所だった。

その時に睦美は初めてシリアゲムシを発見し、榎から色々教えてもらった。
世界では研究されているが日本では無名に近く、かつては世界中で繁殖するほど栄華を築いた種であり、世界最強の時代もあったという。
そんないわば古豪のような立ち位置にいるシリアゲムシが祭り会場に現れたことで、睦美はかつてない程に恐怖して青ざめた。

サソリのような尻尾を上げていることからそう名付けられた古代の最強種は、日本ではヤマトシリアゲの事を指すことが多い。
そしてシリアゲムシは逃げ出したカップルに一目散に襲いかかり、尻尾を鎌のように使って彼氏を真っ二つに、彼女は頭を削ぎ落した。
ほんの一瞬で景気のいいお祭りから地獄絵図に変わり、人々の悲鳴が轟いて我先にと逃げ出せば、シリアゲムシは動くモノに狙いを定めて次々襲いかかっていく。

スタッフや観客、マスコミは次々に肉塊に変えられていくのを主催者の天宮たちはボケーっと震えながら見ているしかできない。
動く人を粗方惨殺したシリアゲムシはようやく大人しくなり、まずは睦美が仕留めたイモムシを食べ始めた。
まずは習性通りに一番大きな獲物であるイモムシからいったのだが、人間が捕食対象になっていないと限らず、人を美味しいと判断していれば次に死肉を食らい、睦美たちにも襲いかかってくる恐れがある。

無闇に動けず、しかし離脱しなければ危険なまま。
まだ飼料の辺りにいるイモムシたちが角から臭気を出しているおかげで、睦美たちの臭いもシリアゲムシに届きずらくなっており、昨日の敵は今日の友な状況に変わっていたのだ。

多くの昆虫は空中の化学物質を触覚で捕らえ、異性などに辿り着ける。
その機能はそのままに、シリアゲムシの肢もまた自重を十分に支えられるように太く強く巨大化しているのが見てとれた。
その時、強風が起こってイモムシ臭気が飛ばされ、シリアゲムシイモムシに気づいた。

食っている真っ最中の死骸を放置したシリアゲムシは群れの方に一目散に向かった隙に、睦美たちは屋台の陰に避難。
シリアゲムシはイモムシに夢中で一匹に襲いかかると、他のイモムシはその隙に森の中に逃げ込んでいった。
これで次が人間の番かと思われたその時、睦美はここがイカ焼きの屋台だと気づくと、甲斐にイカに焼いてもらってたっぷり臭いを出させたのだが、シリアゲムシを追い払うどころか、もう一匹呼び寄せてしまったのだ。

もちろんあえて呼び寄せた睦美の策は、一体どういうものなのか。
感想
大巨蟲列島35話36話でした。
千歳にやっと平穏が訪れて良かったと思うと同時に、若弟子には犠牲になって欲しくないと思いました。
「大巨蟲列島」ネタバレ最新37話38話10巻。昆虫のオスこそメス好きの本能が凄い!超ミニスカートでも知識と勇気で!










































