統率と盗撮
一歩足を踏み出すのでさえ躊躇して動けない生徒たちの中で、和田は恐る恐るも先陣を切って歩き出した。
その後もドアを開ける、椅子に座ると行動を重ね、それが合図でないことを証明していった。
生きていく上で避けられない行動を合図に設定するはずがない。そんな簡単に死なせることを下僕はきっと望んでいないと考えを読んでいたのだ。
下僕を追い詰めた一番の原因なのも忘れて、生徒たちは彼の度胸に希望を抱き始め、一気に彼の意見を通させる空気を作り上げたが、樫村は不信感を拭えずにいた。
やがて警察の事情聴取が一人ずつ始まったが、樫村は尿意を催してそれどころではなかった。
著者名:近藤しぐれ 引用元:シグナル1001巻
生活に欠かせない行動を合図にするわけがない。そういわれても、保証はどこにもない。
横を見れば同じように股間を押さえて悶えている吉川さんがいた。
先にトイレに行って試して欲しいという願いも空しく、彼女はその場で漏らしてしまった。
著者名:近藤しぐれ 引用元:シグナル1001巻
椅子の周りにできていく水溜り。
恥ずかしそうに顔を伏せて震えたのも束の間、彼女は頭にペンを突き刺して自殺した。
その直後、和田が聴取から戻ってきた。
小便を漏らして死んだと騒ぐ同級生たちに、今トイレに行ってから帰ってきたところだぞと報告した。
一歩間に合わずに死んだ吉川。
樫村はやるせない思いと恐怖に包まれて、便座に座った。
その中で一人ほくそ笑む男が一人いた。
井沢は教室を抜け出し、視聴覚室の盗撮映像をチェックするために人気のないところでスマホを取り出した。
それを目敏い和田が後をつけて何をしようとしているか強引に訊き出した。
女子の着替えを撮るつもりだった中に催眠映像が映っているかもしれないと言うのだ。
著者名:近藤しぐれ 引用元:シグナル1001巻
和田はすぐにゲスの井沢の考えを読み、二人で合図を確認してクラスを支配しようと持ちかけてスマホを奪い、映像を確認した。
しかし、和田は確認すると井沢に見せる前に教室に走り、10個ほどの合図が分かったぞと言って、その行動を皆に伝えていった。
慌てて追いかけてきた井沢は、二人の秘密にするつもりだったと口を滑らしてしまい、追い込まれていく。
そんな状況にも関わらず、女子を支配してハーレムを作ろうと考えていたせいで、股間を大きくしていた。
それを和田に指摘されて、慌てて股間を手で押さえた直後、彼は硬くなった性器を自分で千切り取って血を吹き出させ、自殺してしまった。
「合図8、勃起した性器に触れる」
井沢の恥ずかしい最期を利用して、和田は助かるためには全員の結束が必要だと宣言し、完全に信用を掻っ攫った。
だが樫村は単純に彼を信用せずスマホの動画を確認したが、彼の言う通り10個程までしか映っていなかった。
そこでバッテリーが切れたんだろうなという彼の言葉を他の皆はあっさり信じたが、樫村の予想通り、彼は既に33までの合図を確認していた。
著者名:近藤しぐれ 引用元:シグナル1001巻
彼は最後の一人になるつもりだったのだ。
榊登場と恋の罠
この後も和田の言葉一つ一つに全員が過敏に反応し、疑うことなく従っていく。
学校から出るとい合図を利用して、教師を言い包めて帰宅用のバスを手配させ、それに乗りこませた同級生を一気に始末しようと画策。
制限時間内に4人の死の瞬間を見届けたら、自殺催眠を解除するというボーナスタイムを利用して、恋をしている女子の心を利用して、勃起した性器に自然に触れさせようとしたりと、保身のための凶行が次々と生まれていく。
著者名:近藤しぐれ 引用元:シグナル1001巻
そんな地獄絵図の中、学校に呼び出されていた榊が久しぶりに学校にやって来た。
唯一催眠がかかっていない同級生。
彼の存在だけで救われる樫村。
それ以上に彼は冷静な判断を披露して、和田を妄信していた空気を変えようとし、樫村もそれに協力していく。
しかし、唯一合図を知っている和田はそれをアドバンテージにして、強制的に全員を従わせようとする。
そんな冷酷無比な和田に、榊は殺意を抑えきれなくなっていく。
感想
シグナル100、1巻でした。
面白度☆7 デス度☆10
ほとんど逃げ道のない設定で、緊迫感がありました。
最後の一人だけ生き残るのはテンプレですが、ライバルたちを力づくで蹴落とすのはNGで、割と心理戦なところがおもしろいですね。
絵も上手くていいんですが、死に方にリアリティがあったらもっと良かったです。
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