化け物の生態と新たな脅威
近くの岸壁に流された4人は這い上がり、無事を喜び合った。
楓子は、洞窟内に落ちた時に化け物に捕まり、死を覚悟したのだと言う。
だが、あの巨大な歯が首に当てられ、腹を引き裂かれると思った直後、なぜか化け物は楓子を放り出してどこかへ行ったのだった。
著者名:菅原キク 引用元:マザーグール2巻
殺されなかった理由を、目的を果たせる対象と見なされなかったからじゃないか、と楓子はある人に言われていた。
そのある人とは、朔也が会いたくてたまらない草間トリノだった。
トリノは宮城野エリカ、皆川純と行動を共にしていて、もしかしたら病気か、乱れた男性関係の噂がある楓子のことだから、妊娠しているせいで見逃されたのではと、憶測が飛んだ。
もちろんまだ未経験の楓子は処女だとは言わずに生理痛でピルを服用してるからあり得ないとだけ否定した。
するとトリノは、ピルが経口避妊薬だから化け物は忌避したのかもと言った。
著者名:菅原キク 引用元:マザーグール2巻
その後でトリノたちはもう一人一緒にいた小岩井を探しに出発し、楓子たちと別れた。
朔也はトリノと会えて羨ましがると同時に、とにかく彼女が生きていてくれたことに涙を流した。
また4人が一緒になり、トリノの生存も確認できていいことが続いた直後、彼女たちはボロ切れを纏った原住民らしき4人の人間を目撃した。
しかし朔也は追ってはいけないと3人を止めた。
洞窟から抜け出して意識を失う直前、目と鼻と口を縫い閉じられたエルレシアン生徒の遺体を見つけてしまっていた朔也は、そんなことがあの化け物にできるわけがないと嫌でも分かっていた。
著者名:菅原キク 引用元:マザーグール2巻
だから、それをしたのは手先を器用に扱える人間しかおらず、それがどんな理由にせよ、自分たち漂着した人間以外しか犯人はいない。
希望になり得ると思った原住民らしき人間も危険だと分かり、楓子は落胆した。
その時、すずはいかだに乗っていて、海流とはまた違う不思議な力で島に押し戻される感覚を感じたことを思い出し、どうやってもこの島から出られないようになっているかも知れないと思った。
あの洞窟にいた、兵隊の骸骨のように。
だがそんなことを口に出せるわけもなく、この島で一番頼りになりそうなトリノと合流してはどうかと提案した。
実は明け方と日暮れ前に狼煙を上げて、無事と位置情報を知らせると楓子たちとトリノは約束していたらしく、朔也をそれを聞いてまた喜びと小出しにされるトリノ情報に不満を漏らした。
話がまとまって出発しようとした時、さっきの原住民が何かを口ずさみながら戻ってきた。
それは童謡の赤とんぼだった。
楓子は話が通じるかも知れないと思い、思わず飛び出して彼らの前に出た。
そして目の当たりにした4人の顔を見て驚愕する。
全員深い皺が刻まれた相当な老人だった。
彼らは楓子を無視して先に進んでいった。
その踏み固めていった道筋には、夥しい血の痕が残っていた。
朔也たちは原住民が来た方の血の痕を辿ってまた浜辺に出た。
そこには、誰のものとも知れない何本もの手足が落ちていて、綺麗な砂浜が赤色に染まっていた。
一体何が起こったのか。
地獄絵図に言葉も出ないでいると、近くの茂みでちなみが気を失って倒れているのを見つけた。
著者名:菅原キク 引用元:マザーグール2巻
まず無残に打ち捨てられている手足を穴を掘って埋めてから、恐怖に震えるちなみから何があったのか話を訊いた。
朔也たちがすずを追っていった直後、どこからともなく現れた化け物たちに数人が捕まり、腹を引き裂かれ、まるで海亀が産卵するように卵を産み付けられた。
そして化け物がいなくなった後でぼろ切れを着た4人の老婆が現れ、殺された彼女たちの手足を一人ずつ斧や鉈で叩き切り、胴体をシーツに包んで持ち去っていったらしい。
著者名:菅原キク 引用元:マザーグール2巻
その話を聞いて、朔也は自分が見た穴を縫い閉じられた遺体に手足があったようには見えなかった可能性に思い至った。
なつのはそれを、それは捕食寄生かも知れないと言った。
別の生物の身体に卵を産みつけ、孵化すれば宿主を栄養源にして子供を成長させる、ハチなどが持つ習性の一つだった。
だから、薬物が子供の成長に悪影響を及ぼすかも知れないと察知し、楓子は殺されずに済んだのかも知れない。
そんな仮説以上に、今はどうして人間が化け物の繁殖を手伝っているのかが重要だった。






































