3話
さち子が洗濯物を畳んでいると、ドアを遠慮なく叩く音が部屋中に響いて来た。
そんな風に叩くのは慎しかいないし、音でもすぐに分かった。
彼女は懐いた犬のように小走りでドアを開けたが、そこにいたのは見覚えのない垢抜けた女性だった。

ドアの陰にいた彼がひょっこり顔を出した。
この女性にもド田舎出身だと話したようで、彼女はどこかバカにするような笑みを湛えて彼に噂の新入生なのかと確認した。

彼は彼女を山下と紹介し、もう一度どこの出身なのか話して欲しいと頼んだ。
もちろんさち子は言いたくなかったが、彼の期待に満ちた目を見てしまうと応えたくなり、渋々か細い声で出身地を口に出した。
その地名は田舎としてよっぽど有名なのか、彼も山下も一瞬で大笑いしたのだった。

人口より熊の方が多いと言われれば同じくらいだとパッと言い返し、それでまた二人を笑わせる結果になった。
ともあれ、山下は興味本位でさち子を見に来たようだったが失礼を軽く謝り、ご飯に誘ってきた。
山下の部屋に向かいながら、同じサークルに入っているだけあって、彼女は彼について色々とさち子に話して聞かせてくれたが、「慎くん」呼びをして遠慮なく話しているのを見て、何も思わないほど鈍感ではいられなかった。
山下の部屋はいい匂いがして小物も女の子らしくて可愛くて、さち子の殺風景な部屋とは大違いだった。
イルカのぬいぐるみを抱えて食事が用意されるのを待っていると、トイレから出て来た彼がいきなりクッションを投げてきて、イルカのぬいぐるみを奪い取ろうとし、それを奪い返し、傍目にはそう見えないちょっとしたイチャイチャを始める。

突然山下が訪ねてきて、あれよあれよと彼女の部屋にいることで、さち子は彼が何度もこの部屋のトイレを使ったことがあるらしい行動を、気にも留めなかった。
食事がテーブルに並ぶと、彼は端にさち子を押しやろうとして、彼女は抵抗する。
その様子を、山下は兄妹みたいだと評してまた微笑んだ。

終始山下の愛想は良かったが、田舎をバカにし兄妹みたいだと言われたことは、さち子の中で澱のように消えずに残っていた。
帰り道は店の看板に灯りがついて、十分に明るかった。

風俗店が連なる通りに差し掛かったとき、彼は急に立ち止まって寄りたいところがあると言いながら、スタスタとラブホテルに入って行き、さち子は慌てて背中を追った。
初めてのラブホテルだった。
鍵を渡され、エレベーターに乗るところからテレビでしか見たことのない場所にいることに鼓動が早くなっていく。
部屋の中はアパートと比べられないくらい綺麗で、あちこち触っているうちにエロビデオを再生してしまう。
ボタン一つでプラネタリウムが出たり音楽が流れたり、ベッドが回ったりと、アトラクション気分を楽しんだ。
でも、心の中はまた入らなかったらどうしようと不安だった。
エロビデオでは女優がこれでもかとよがっていて、気持ちいいと喘いでいる。
それと正反対でもなく、挿入できもしない自分の身体に、さち子は申し訳なくなった。

自分の身体にも不安になるし、彼が付き合ったことを後悔していないかとも不安になる。
エロビデオでは女優が2本のちんぽにいやらしく音を立ててフェラしているシーンになっていて、彼は口でして欲しいと頼んできた。
さち子が断れるはずもなかった。
彼はベッドの端に腰かけて股を開き、さち子は膝をついて一生懸命に顔を前後に動かし、初めてのフェラでご奉仕し始めた。

初めて尽くしの今日の締め括りも初めてのフェラだったが、意外とうまくできているのか、程なく彼はイキそうになり、顔にかけたいとお願いしてきた。
それも、さち子は受け入れた。
ギリギリまで口の中で動かし、顔面に精液がぶっかけられた。

彼は出させてもらったからか、彼女の顔についた自分の精液をティッシュで拭いてから、嫌だったかどうか訊いた。
女として彼女として彼を喜ばせてあげられないさち子が付き合ったばかりで嫌だと言える訳もなく、そして、彼をイカせたフェラに光明を見出した。

感想
夫のちんぽが入らない1話2話3話でした。
R-中学生の時にゴトウさんを知っておもしろいと思っていたので、また連載が読めるのは嬉しいです。
しかも、赤裸々な私小説のコミカライズなので、存分にエロチックに描いていただきたいと思います。
こうなったら、原作を読んでおこうかどうか迷うところです。
https://www.kuroneko0920.com/archives/46619



































