27話
初めての善縛りは最後までできなかったものの、美羽は気落ちし過ぎず、次があると前を向いていた。
そして後日、善が登校してくるなりおはようとすぐに声をかけに行き、そっと耳打ちで今日の放課後にアヤメの部屋に行こうと誘いをかけた。

もちろんそうして二人が近づく様子を、小杉は目敏く観察していた。
放課後になり、美羽は善と一緒にアヤメの家に行こうとするが、当の本人が教室にいない。
近くにいた女子にどこに行ったか訊いてみると、小杉に呼ばれて出て行ったと教えてくれ、一気に嫌な予感がした。
小杉が呼び出した場所はお決まりの体育倉庫だった。
陰キャは陽キャに従うべきだという理論を根底に抱いている小杉は、朝の美羽との会話に怒り心頭で、一方的に取り付けた約束を破ったとしてまず一発殴り倒してから、美羽と何を話していたのか問い詰めた。
いい加減、小杉が美羽に想いを寄せていると気づいていた善は、暴力を振るえば振るうほど、美羽に嫌われると分かっているくせに・・・と煽った。
それでもっとキレた小杉は胸倉を掴み、もう一発叩き込もうとした。
しかし、拳が振るわれる直前で美羽が間に割って入り、理不尽な暴力を止めた。

小杉はピタッと止まり、色んな意味を込めてなんで・・・と呟き、戸惑いを見せる。
美羽はそれに一切応えず、無言で小杉の頬を引っ叩いた。

善に保健室に行くよう促して、危険にも関わらず二人の空間を作った美羽。
小杉はなんで善のことばかり庇うのだと自分の暴力行為を後回しにして不満をぶちまけるが、どうせ弱い者いじめでストレス発散でもしているのだろうと指摘される。
だが「うるせー!」と遮り、勢い任せに、美羽が好きだから好きな人が気にかけている相手にむしゃくしゃして暴力を振るったのだと、嫉妬交じりに告白した。
相手が喧嘩が弱そうな陰キャだからという言葉が含まれずとも、十分に察せられた。
当然、答えはキツめに「無理」だった。
タイプじゃないとかいうレベルではなく、根本的に無理。
自分を好きだから、邪魔者をいじめた。
そんな理由でキュンとするほど、美羽はバカな恋愛体質ではなかった。

しかし、男子に告白されたことで多少なり動揺し、善に助けたお礼と謝罪をされると、どうも気まずさを感じずにはいられなかった。
気を取り直し、アヤメの家に行き、前回と同じく気分と雰囲気を盛り上げるためにボンテージ衣装に着替えた美羽。
アヤメ指導の元、前回と同じく後ろ手縛りに再挑戦することになった。

下半身下着の善の後姿を眺め、縄を手に取っても、されたばかりの告白が頭をよぎる。
それでも、善を好きだと思えたし、好きになって欲しいと願った。

こうして縛っているうちに、いつか好きになってくれたらと願いながら、身を委ねている彼の腕に縄を通していき、キュッと縛り上げると、確かに荒い息遣いと一緒にいやらしい喘ぎ声が聞こえた。
自分で出させた喘ぎ声に美羽の鼓動は高鳴り、彼も前回に比べて妙に興奮している自分に気づき始めていた。
それはまるで、美羽の温かくて柔らかい優しさに包まれているようだった。

前回より締め付けが強い。
なのに、気持ち良い。
彼はもう痛がることなく身を任せ、美羽は後ろ手縛りを完成させたのだった。
嫌悪感すら覚える男からの告白なんかより、縛られて興奮している好きな人の背中にキュンキュンしていた美羽。

彼女の熱い視線をひしひしと感じていた彼も、身体の火照りが急上昇していた。
それは抗えない性的興奮に変わり、まだあそこを触られてもいないのにみるみる勃起してきた。
アヤメにされた時のように、縛られただけで快楽を感じ、興奮し、性欲が高まった彼だったが、顔面にぶっかけたことがあったとしても、美羽に堂々と勃起を見せられるほど羞恥心を乗り越えていなかった。
だが、下半身の変化に気づいていたアヤメは、このまま下半身の縛りもやってみようと、美羽に提案したのだった。






































