5話
男性店員も気恥ずかしそうに、それでいて興味津々に顔を見てくるので、さち子の恥ずかしさも一塩だった。
なぜなら、何冊もエロ本をレジに持っていったのだから。

それもやはり、全ては同じ悩みを持つ女性を見つけるためだった。
相手の男性のちんぽが入らないという、レアな悩みを持っている人を見つけ、解決策があったのなら是非知りたい。
何冊も性のお悩みコーナーに目を通したが、やはりレア過ぎて同じ悩みを持っている人は見つからず、代わりに野外プレイや体中にいやらしい落書きをしただの、自由に性生活を楽しんでいる投稿があり、挿入さえできない自分との違いに慄いた。

とは言え、挿入以外の基本的なことはやっていた。
同じアパートに住んでいるのだから最早同棲しているようなもので、夜毎同じ部屋にいて、彼女は大き過ぎると噂までされている彼のモノを口の中に含み、ねっとり舐めてフェラするのも慣れたものだった。

そうして手や口でご奉仕されながら、彼はどうして挿入できないのだろうと彼女に話しかけるが答えはなく、彼女はただ棒をハムっと咥えこみ、片手で玉袋も刺激してやれることをやっていた。
そして、口の端がはち切れそうなほど奥まで突っ込まれ、子宮で受け止めるべき精液を流し込まれた。

手や口でしかできず、まるで畑を耕す農作業のようだと彼女を感じていた。
サイズだけは大きいちんぽが生えたちんぽ畑。
さち子はそれを丁寧に触ってしゃぶり、中の汁を口で受け止める。
ちんぽはクタッとしたまま元気にならず、いつ収穫できるのか見当もつかない。

彼も水を撒いて愛情を注ぐが、まるで効果がなく、彼女のフェラや手コキに身を任せるしかない状態だった。
やがて時は経ち、大学生活が始まって3年目の春を迎えた。
彼は希望していた隣県の高校の教職に就くことが決まったことを報告したが、嬉しそうでもなく、無感情に淡々としていた。

ただその高校は希望していたところだと彼女は聞いていたので、素直に喜んだ。
3年もあれば木が実をつけるようになったり、赤ちゃんが幼児になって活発に動き出せるようになる。
それらと比べれば相も変わらず挿入できないままだったが、彼女は「入る」ということを叶えたことを、我が事のように喜んだ。

しかし、彼がどこか憂鬱そうな理由の一つなのか、引越ししなければならないんだと愚痴った。
金がかかるということもあったが、今までのように彼女といつでも会えるわけではなくなり、挿入もできないまま物理的に距離が広がるということだった。
荷造りも終わり、4年住んだ部屋を出る際、大家さんにも挨拶する様子を覗き見ていた彼女は、やはりずっと元気がない横顔が気になって仕方なかった。

友達の車で新居まで向かう彼とは、アパートの前でお別れだった。
彼女は気丈に明るく振舞って送り出そうとすると、彼はそっちも就職が決まればまた一緒に住もうと言った。
それは同棲という意味ではなかった。
彼は普段と変わらない感じで「結婚するぞ」と命令するようにプロポーズし、彼女は勢いに流されるように「あ・・・はい」と答えた。

数秒経ってから、ようやく重大なことを言われたのだと理解し、みるみる顔が真っ赤になった。
運命のように出会い、惹かれ合い、付き合うようになり、仲睦まじく3年が過ぎた。
彼が社会人になるタイミングでプロポーズされ、彼女は思わず受け入れ、幸せな気持ちに満たされていく。
ただ、未だ一度も挿入できていないことだけが異常だった。




































