6話
さち子が高校生の頃、どうして人は結婚するのか?と、授業で訊かれたことがあった。
その時さち子は居眠りしていて、涎が落ちそうに成ったところでハッと目覚めて立ち上がった。
結婚する理由。
そんなことを訊かれても、本当にその理由が分からず、分かりませんとしか答えるしかなかった。
しかし、その先生は結婚を問題だと詰め寄り、無理矢理にでも答えを引き出そうとした。

仕方なく、さち子はしばし考えた。
結婚に夢など見ていなかったので、世知辛くも経済的な安定を求めるからだと絞り出して答えたが、先生はすぐさま笑いを狙ったようにツッコミを入れてきて、ただ恥をかかされる結果になった。

満足しなかった先生は、次に頭も股も緩そうなギャルに同じ質問をした。
若山という女子は堂々と漫画を広げたまま立ち、しかし考える時間もなくきっぱり言い切った。
好きな人と一緒にいたいからだと。

さち子は若山を、信じられないものを見るような目で見た。
なぜなら、全く愛し合っているように見えない夫婦の例が、一番身近にいる両親だったからだ。
毎日毎日大きな声で言い争い、相手の悪いところをあげつらってストレスの捌け口にしていて、かつては好きあって結婚を決めたのだとしても、その面影はどこにも見えなかった。
そんな両親の姿を見続けてきたさち子は、当然結婚に意味を見出せずにいた。

その思いは変わらずに一人暮らしを始め、すぐに好きな人と付き合い始め、彼が寮から出ることになった日、プロポーズをされた。
その時感じた気持ちは、経済的どうこうなどと一切なかったし、両親のように暗い未来も思い浮かばなかった。
あの時の質問に若山が出した答えと、同じ気持ちを感じていた。
好きな人と一緒にいたいから、結婚するのだと。

彼が社会人になってしばらく経ち、久しぶりに会うことになった。
待ち合わせ場所にやって来た彼はキッチリとスーツを着て、髪型もバッチリセットしていた。
今までのラフ過ぎる格好とは真逆の大人っぽさに、さち子はキュンとせずにはいられなかった。

そのまま高級そうな料亭に連れて行ってもらった。
食べ切れるか心配になるほど、食べたことの無いような豪勢な皿の数々。
一品一品料理名を説明してくれた仲居さんがいなくなると、彼は初任給が出たから、やっと念願叶ってこういういい店に連れて来れたと、目線を逸らしながら言ってくれた。

彼の気持ちが嬉しく、料理もおいしかった。
店を出ても彼は淡々としていて、次に連れて行きたい場所へ向かう。
彼はしてあげたいことを今日のうちに全て実行するつもりなのか、結婚指輪を選ばせるために貴金属店に彼女を連れて行った。
そこまで多くはないはずの初任給でも、初給料は彼女のために使うと決めていたのか、真顔で好きなのを選んでという。
いきなり結婚の生々しさが増したさち子は、さすがに気圧されてすぐには選べない。
色々見て回るとそれなりの値段がするし、煌びやか過ぎてそれにも気圧されそうになる。
すると、この店で一番安いかも知れないシンプルなリングに目を奪われた。
彼に気を遣ってこれでいいと思ったのではなく、直感でこれがいいと思えた。

さっそくそれを付けて、指輪をつけた指越しに彼を覗き見た。
そこにいたのは初めて見るスーツ姿の彼のはずだったが、ふとした瞬間に服装なんか気にしないスウェット姿の彼に戻って見えた。
先月まで同じ大学生で、いつも着古したスウェットで、金がないから金がかからないデートばかりで、高級な食事を一緒に食べることもなかった。
そんな彼は今はやっぱりパリッとしたスーツ姿だった。

感想
夫のちんぽが入らない4話5話6話でした。
原因はシンプルに彼のものがでかすぎるだったんですね。
何かトラウマ的なものかと思ってたので、慣らすしかなさそうな原因ですね。
先生のツッコミがしっかり考えてきてそうでしたが、的確で良かったと思います。
https://www.kuroneko0920.com/archives/47214



































