9話
小学校の教師になったさち子は一年目のド新人ながら、いきなり3年生の担任に抜擢された。
もちろん緊張しないわけではなかったが、教室に入った一声目から自分らしくない大きくてはっきりした声が出せ、自分の中で幸先良いスタートを切ることが出来ていた。

子供たちのお返事の声が小さいともう一度を明るく促せるほど、教師として、子供たちの手本としての役割をあっさりとこなせていた。
それはまるで、教師の自分を演じているようでもあった。
子供たちの前だけでなく、諸先輩方を前にしても、はきはきと話すことが出来ていた。
スイッチを入れ、女優が役になり切るように、さち子もスイッチを入れる感覚で今までの自分からは信じられないくらいの教師らしい教師になれた。

若さ故か、子供たちからも慕われて順風満帆な学校生活を送れていた。
放課後になれば受け持ちの生徒から遊びに誘われ、困ったと思いながらも渋々付き合ってあげれば喜んでくれ、手を引いて早く早くと連れ出してくれる。
しかし、まだまだ無邪気な3年生は悪意なく、自分の親が先生のことをどう言っているのか暴露してきた。

具体的な何を指摘しているわけではなさそうだったが、新人だから、若いから、女だからという理由で、母親たちは陰で愚痴り、色々と吐き出していることを知らされた。
それが若さに対する嫉妬でしかないのか、人となりを判断してからの評価なのか、子供を憂うが故に無理やり粗を探しているだけなのか、さち子には分かりようがない。
ただ、ショックを受けたのは間違いなかった。

それだけじゃなく、当然ながら、同僚も保護者も子供たちも、夫のちんぽを挿入できない女だなんて誰も知らないので、事あるごとに心にグサグサと刺さる言葉をかけられることがあった。
自転車安全教室の責任者を任せられそうになると、先輩女教師が若いという理由で頼りなさを指摘してくる。
ベテラン男性教師は、久しぶりの新人だからこそ、そこを推してくれるが、現代ならセクハラ案件になるデリカシーのない言葉で締めくくり、笑いを取ろうとした。

やがて保護者を集めて、顔合わせする会が開かれた。
さち子がそつなく挨拶すれば、母親たちから返ってきたのは新婚だから、赤ちゃんがどうなのかという話題。
どこから聞いたのか、夫も教師だと知れ渡っていて、相手の事情を何も考えずに好奇心と親切心で顔を突っ込んでくる。

同じ女だから訳知り顔で発する母親たちの言葉は、さち子には苦痛でしかなかった。
保護者会が終わればすぐさま屋上に飛び出し、誰にも聞かれたくない夫婦事情を叫んだ。
夫のちんぽが入らないのだから、子供なんて夢のまた夢だった。
誰にも言えない悩みだから、病院で相談するという一番建設的な方法にも思い至らなかった。
二人とも社会人になり同じくらい忙しく働き出しても、夫婦仲が冷めるようなことはなかった。
クラスを一日中受け持つさち子は忙しさからちゃんとした夕食を作る時間がなかったが、当然理解している彼は、出来合いのものを出してくれればいいと言って、妻の負担が増えないよう気遣っていた。
さち子は夫を男として満足してあげられていない申し訳なさから、わずかな変化に気づかず、気落ちして帰ってくれば何くれと無く世話を焼いて励ました。
同僚にチーズフォンデュを食べたことがないことをバカにされたと聞けば、殊更に不憫に思い、スーパーに走った。

そして、人生初のチーズフォンデュを食べさせてもらった彼は、バカにされるほど美味しいものではないことを知った。
さち子も淡々と受け入れ、夫が経験を増やしていくことが重要だと考え、尽力していった。
これ以上バカにされないよう、身に着けるものは新しい物をすぐに買い与え、身だしなみそのものもバカにされたと聞けばすぐに世話をした。

夫の悲しみはさち子の怒りに火を点け、妻にちんぽを挿入できない彼を、これ以上不遇の夫にさせるわけにはいかなかった。

夫の世話を焼いて慌しくなった朝、さち子も仕度を整える前に色々家の用事を済ませるため、キャッシュカードを探すと、夫がお洒落そうな店のポイントカードを持っていて、もう何回か通っているらしいことを知った。
その店を検索すると、風俗店が表示された。

感想
夫のちんぽが入らない7話8話9話でした。
順調に付き合いを進めている二人ですが、やはり挿入できていないということは、彼女にとって由々しき問題なのは変わらずですね。
血が出ても入らないほどの大きさって、手首より太くてさち子の入り口が相当狭い二つの原因があるのか。
そして彼も、やっぱりフェラだけで満足できるほど割り切れていなかったんですね。




































