30話
小杉はアヤメと善の密会を目撃したが、まだ誰にも暴露していなかった。
片や美羽は縛りで彼を十分に気持ちよくさせて勃起させ、それを手コキで射精まで導けたことから、自信を漲らせていた。
今までと変わらない学校の一幕でも輝いて見え、彼をもっと喜ばせたいと考えるだけで楽しくて仕方なかった。

それには、アヤメにもっと教わって技術と経験を増やしていく必要がある。
その練習さえもわくわくして、さあこれからアヤメに会いに行こうとしたその時、嫌悪する小杉に話しかけられて輝く時間の邪魔をされてしまう。
話があると言われようと聞く耳持たなかった。
好きな人をいじめた小杉を許せない気持ちは当然だったが、あまりに突き放しすぎたせいか、知らず知らずのうちにアヤメの嫉妬を買っていて、今度は美羽が突き放される立場になってしまっていた。
意気揚々と教わりにいく日程を詰めようと思っていたが、もう教えることはないと一方的に言われ、卒業を言い渡されたのだ。

美羽はまだ一回、彼を射精に導いただけで、アヤメも同席していたから何とかなったことだと分かっていた。
だから、まだ一人でするのは不安だし、万が一彼に取り返しのつかないことがあってはいけないと縋り付いた。
アヤメもその万が一は、自分の場合でも起こりうることだと知っていた。
動悸やめまいに始まり、果ては神経麻痺まで引き起こすかも知れない縛りプレイ。
アヤメはわざと意地悪に脅し、一人で彼を縛ることができないように仕向けたのだった。

アヤメの思惑通り、美羽は帰ったその日から思い悩み始めた。
しかもヤル気満々だったのでマイ縄まで購入していた。
その縄さえもアヤメのと違ってチクチクしてどうしようもなく、技術どころか道具からも不安になってきた美羽は、なぜ違いがあるのか調べてみた。
そして美羽は、驚愕の事実を知った。
購入した麻縄は、自分で滑らかになるように処置しないといけなかったのだ。
美羽はさっそく自宅のキッチンで湯を沸かし、縄を放り込んでグツグツ30分煮込んだ。
灰汁を取ってから冷まし、重りをつけてしっかり伸ばしながら陰干し。
乾いたら軍手に馬油を染み込ませて一本一本しごいていき、縄にも油を染み込ませていく。
次にまだ毛羽立っているところを軽く焼き、またしごいて落とせば、やっと縛るのに適した滑らかな縄の出来上がりだ。

何十本を縄を持っているアヤメもこの作業をしていたのかと思うと、頭が下がる思いだった。
縛る相手を傷つけないための下処理も、全て善のため。
美羽はまだまだアヤメに追いつくどころではないと思い知らされ、自分の身体で縛り方を練習することにした。

翌朝、美羽は鞄を胸に抱えておどおどと遅刻ギリギリに登校してきた。
真面目一徹の美羽がそんな時間に来るなんて珍しく、友達が何の気なしに声をかけただけでビクッと反応してしまう。
それも仕方なく、純情そうな制服の下では、股間から胸からギチギチに縛っていたからだった。
それも練習に夢中になるあまり、朝までなだれ込み、解く時間がなかったからだった。

バレたら変態の烙印を捺されると思い、ビクビクせずにはいられず、そんなところに彼に声をかけられた。
その彼の顔が紅潮しているものだから、これは一目で見抜かれたのだと思って焦る。
しかし彼は、先日、手コキで射精させられた恥ずかしい姿を見せたことを謝りに来ただけだった。
取りあえず第一関門の彼は突破したが、授業が始まると一番前の席なのが異常な緊張感を与えてきた。
実はもう誰か気づいていて背中に視線を送っているかも知れないし、そもそも学校に縛った状態で来る自分自身が恥ずかしくて仕方なかった。

しかし、バレるかバレないかのこの状況が人生初の快感を与えてもくれていた。
真面目に生きてきた美羽だからこそ、一気にこんなとんでもないことをしている状態の気持ちよさは異常な程で、股間がキュンキュンして子宮が疼くのが嫌でも分かった。

縛られ先輩の彼も、同じように気持ちよくなっていたはず。
だがあの時縛ったのはアヤメで、彼も心からアヤメを求めていた。
そう思うと悲しさと嫉妬がこみ上げてきたが、それ以上に、今度は自分が彼を気持ちよくさせてあげたいとより強く思えた。

彼の性癖を全て受け止め、依存されたいと授業中に願った。
授業が終わってすぐに教室を抜け出すと、色んな意味で噴出した汗で縄がしっとり濡れているのが分かった。
その時、アヤメがずんずんと近づいてきた。
そして何も言わずに美羽の胸倉を掴んで制服を引き脱がし、縛っている恥ずかしい姿を露にさせた。

美羽も敵視し始めたアヤメは、一目で美羽の自縛を見抜いて見せた。
服の上からでは見えないはずのそれがなぜ分かったのか?
アヤメにしてみれば、美羽の縛りは自分が気持ちよくなるだけのオナニーと変わらなかった。





































