31話
アヤメにただのオナニーと言われた美羽は、家に帰ってからも凹んだままだった。
緊縛師として知識も経験も相当上だろうアヤメにあそこまで言われたら、自分がちょっと努力した程度の実力が、まだまだ大したことないものだと思わずにはいられなくなった。
いや、しかしそれでも、思い出すのは快感に身悶えていた彼の姿。
自分の縛りで悦んでいたのは間違いないのだから、もっと練習すれば彼も自分も安心してできるようになり、アヤメに見守ってもらわなくても良くなるんだと、前向きに考えられた。
そうと決まればすぐに制服を脱いで下着姿になり、自分の身体で縛りの練習開始。
彼への愛とアヤメへの対抗心を燃え上がらせ、特殊な性癖をどんどんレベルアップさせていった。

後日、アヤメが普通に廊下を歩いていると、何もかもが胡散臭くていけ好かない津崎が話しかけてきたので、生理的に嫌悪していることが十分に分かるように完全拒否を示し、相手をせずに通り過ぎようとした。
しかし、自尊心と自信だけはすこぶる高い津崎は壁ドンでアヤメの行く手を塞いだ。
嫌われていることを無視したその行動も気に食わないところなのに、津崎は何が気に食わないんだと顔を近づけて問い詰める。
アヤメは言葉を返すことを諦め、気持ち悪い津崎の手首を決めて痛みで思い知らせようとした。
すると、優男風の見た目に似合わず、するりと関節技を躱したのだった。

小手回しという技名まで知っている辺り、津崎も武術の心得があるようだった。
本気でアヤメが怒ったらしいことを悟り、津崎もそこで絡むのを止めて最後まできざったらしく気持ち悪く去って行った。
その日の放課後、美羽は帰り支度を整えている彼に思い切って話しかけ、この後用事がないらしいのを確認すると、初めての告白でもするかのような緊張した面持ちで縛らせて欲しいと頼んだ。

彼はまず、またアヤメも含めて3人でやるものだと思った。
しかし、今日は美羽とマンツーマンだと言われると、不安がすぐにこみ上げた。
自立して彼を縛り深い関係になりたかった美羽は諦めず、練習を積んできたのだと伝え、ちゃんとリスクマネジメントもしていると伝えた。

あまりの熱心さを彼も信用し、ついに美羽と二人きりでの縛られに赴いたのだった。
場所はいつもの視聴覚室だった。
彼は縛られ始めてすぐに、美羽のレベルがかなり上がっていることに気づいた。
それだけじゃなく、顔つきも職人を思わせる真剣さが滲み出ていた。

彼は安心して身を任せ、するすると身を縛り上げていく縄の動きを目で追い続けた。
縛りを覚えたばかりとは思えない手際の良さで、菱縄縛りが完成した。
形も綺麗で変な苦しさも違和感も無く、彼は大満足だった。
美羽は思わず下着姿で練習したことを口走りそうになるが慌ててごまかし、もっと緊張感と快感を上げるために、手を動かせないようにすると言って、彼の答えを待たずに後ろ手に組ませて縄を通していった。

彼は上半身の自由を完全に奪われることに緊張したが、美羽も初めてではないのでされるに任せた。
そして滞りなく縛り終わると、二人の呼吸は激しく運動した後のように乱れていた。
一先ず完成したのだから、彼は誰かが来ないうちに解いてもらおうと足を踏み出したが縺れ、無様に転んでしまった。
美羽はチャンスだと思い、助けそこなった体で彼に覆い被さり、自分の柔らかさを伝えると共に彼の鼓動を感じようとした。

計画通り、美羽に乗られた彼は興奮せずにはいられなくなり、鼓動を早くしていく。
それを感じた美羽は欲求を抑えられなくなり、このままでいたい気持ちを正直に伝え、勇気を出して彼の胸に頬をくっつけた。

しかし、彼の答えを待たずに間接的オナニー行為に出たせいで、二人分の体重と床で挟まれている彼の腕が悲鳴を上げ始めているのに気づかなかった。
その直後、津崎に絡まれてイラついているアヤメが視聴覚室に入って来て、二人だけの密会を目撃したのだった。

感想
罪と快29話30話31話でした。
美羽から生理的に嫌われた小杉は自業自得なのでどうでもいいですが、善がド変態なのを美羽に報告しにいきそうですね。
津崎が介入してきたので、予想通り波乱を巻き起こしそうです。
https://www.kuroneko0920.com/archives/50181





































