やはり尚子の存在を確信し、和也たちはタクシーに飛び乗った。
そして鳴人が口から出まかせで運転手の同情を誘い、うまく猛スピードで追ってもらうことに成功させたはいいが、追いつく前に交通事故に遭遇しそうな心配が募る。
それが杞憂に終わらないだろうことは、タクシーの真横をバイクを駆った尚子が並走しているのを見て察することができた。

バイクさえ運転できる何でもありなことに驚く間もなく、鉄パイプがフロントガラスに叩きつけられた。
ガラスが車内に飛び散り、ハンドル操作を誤ったタクシーは歩道を守るガードレールに突っ込んでしまった。
頭を強かに打った和也は何とか意識を保ち、顔を上げるが、心優しい運転手の顔面がひしゃげたガードレールに貫かれているのを見てしまう。
そして、事故を起こさせた尚子の笑っている目と目が合った。
アクセルを吹かした爆音を聞きながら、和也の意識は薄れて気を失った。
ほぼ同じ頃、霊柩車が火葬場に着いて程なく、顔面をボコボコにされた咲紀は棺桶の中で目を覚ましたが、暗く、身動きできないここがどこなのか分からない。
何かの上に寝かされ、下の硬い何かと一緒に縛られているのは分かり、首を捻って無事だった右目で下に何があるのか見た。
それが死体なことは瞬時に分かり、口元のホクロで明日美の顔を思い出した。

自分が棺桶の中に閉じ込められているのを咲紀が理解した頃には、尚子は火葬場が見える高台の道路から眺め、今か今かと煙が上がるのを待ち望んでいた。
口を塞がれ、明日美と一緒に縛られて身動きできない咲紀は、火葬炉の中に入れられていくのも響く音から嫌でも分かっていた。
止めてと叫んでも誰にも聞こえず、ついに扉が閉められる音も聞こえてしまう。
そこからそう時間はかからず、明日美の身体を突き抜けて高熱の炎に身体を焼かれ始めた。

煙突から黒煙が上がり始めたのを見た尚子は喜びに踊り狂い、スマホで記念すべき光景の記録を収める。
その時、パトロール中のミニパトが尚子の傍に止まった。
バイクを路上駐車し、とても正規のヘルメットに見えない不気味なかぼちゃを被った女子高生を見咎めるのは警察として当然の行動だった。
しかし、相手が凶悪な大量殺人犯だと気づかず不用意に近づいた婦警は、あっさりと殺されてしまった。

先輩がいきなり殺され股間から小便を垂れ流すのを目の当たりにした後輩は恐怖に支配され、逃げようとするが、彼女は鉄パイプで串刺しにされ理不尽に殺された。
生きたまま焼かれ続けていた咲紀は、肌と肉と一緒に身体を縛っていたテープも焼けたおかげで、ようやく動けるようになっていた。
そして力を振り絞り、扉を蹴りまくった。
それで外にいた遺族は異変に気づき、すぐに火を消し扉を開けて台を炉から出した。
肉と棺が燃えて煙が充満しているが、ちゃんと顔があることから明日美ではないことに遺族たちは気づいた。
いや、明日美の下に生きて焼かれていた誰かがいるんだと誰かが指摘すると、全身大火傷にも関わらずまだ動けた咲紀は熱でくっついた明日美の肉を強引に引き剥がして起き上がり始めた。
遺族たちはドロドロになった人の肉の剥がれ方が、焼肉を鉄板から剥がすのとは比べ物にならないグロさに吐き気を催す。
そして喉も焼かれたはずの咲紀は、掠れる声で助けを求めたのだった。

病院に運ばれて治療を受けた和也たちが、尚子が次々と犯した凶行の数々をネットニュースで見ていた頃、咲紀は集中治療室で緊急手術を受けようとしていた。
なぜ生きているのか分からないほどボロボロだった咲紀は圧倒的な生命力で心臓を動かし、呼吸をして医者たちを驚かせた。
しかし意識も戻り、はっきりと見える目で医者を見た途端、恐ろしいものを見たように怯えだす。
医者はショック症状だと思ったが、咲紀が見たのは自分に止めを刺しにきた尚子だった。

感想
パンプキンナイト1巻でした。
面白度☆8 グロ度☆10
存分にグロかったです。
ホラー系にありがちなやたら濃い画風でもなく、綺麗で洗練されているので読みやすいですし、画力は申し分ないと思います。
ストーリーはシンプルな復讐もので、これから詳細な動機が明らかになっていくことでしょう。
一つ突っ込むとしたら、尚子の華奢な身体からは想像できないほど、簡単に刺したり吊ったりできる腕力が凄いところですね。












































