121話
晴輝が高木を殺すことで山田との約束を果たすことを決められた会議が終わり、秋保避難民を束ねる彼らは三々五々解散した。
神城はその前に蓮華だけ呼び止め、晴輝と山田についてどう思っているか意見を訊いた。
蓮華は急に想い人から頼られたことに戸惑うも顔に出さず、気分はお花畑で述べ始めた。

山田の狙いはおそらくだが難しくなく、天宮晴輝が犯人側ではないという確信が欲しいが故の駆け引きだと思われる。
彼が犯人側なら秋保脱出はまんまと罠にハマりに行くようなもので、そうはならないと信じたいために、高木を本当に殺す覚悟が確認できれば、本当に殺させるつもりはないと蓮華は考えていた。
そして蓮華も、まだ彼が犯人側の可能性を捨てていなかったので、山田の狙いがよく分かった。
彼女の考えを聞いた神城は一笑に伏し、その可能性はないと言い切った。
彼と死地で隣り合わせに戦った神城だから分かる感覚で、犯人側などと思える根拠がなかった。
その信頼し切った笑顔に、蓮華はキュンとせずにはいられなかった。

ただ彼について訊かれると、蓮華は何とも言えないところだった。
保菌者騒動の中心に巻き込まれて劇的な成長を遂げたのは驚くべきで、非日常に適応しているのは言うまでもないが、友を殺せるかどうかは疑問が残る。
神城は続けて高木についても訊ね、蓮華は普通の高校生という情報しか掴めなかったと答えた。
だから神城は、晴輝にとっての高木がどういう存在なのかと訊き直した。
それで蓮華は、神城の不器用な優しさをまた知り、惚れ直すと共に笑みが零れた。

それで神城を茶化せば相変わらずの乱暴な言葉遣いで返されるだけだが、蓮華の夢のようなお花畑タイムは続く。
曰くらぎ姉に因れば、彼と高木の関係性は傍目には気が合っているようには見えず、それも男同士が分かる特別な繋がりがあるとしか思えないらしい。
聞きたいことを聞けた神城は結果的に彼を止めずに好きにやらせる結論は変えなかった。
ただし、超えてはいけない一線を超えそうなときは、今の役割を与えた大人として責任を取るつもりだった。
これにて、神城と二人きりの時間を過ごせた蓮華と、聞きたいことを聞けた神城は満足した。
しかし最後の最後に、蓮華は一番大きなプレゼントをもらえた。
それは、晴輝部隊が特訓できるように助力したことへの単なるお礼だったが、神城に必要とされることは何よりの喜びだった。

こうして、秋保脱出前夜の夜が更けていった。
































