離婚した母は元夫からの養育費の出し渋りに焦り、声を荒げて電話で催促していた。
その様子を見てしまった小早川秋穂はそうとは知られないように、経済的負担にならない防衛大学を目指しているんだと打ち明けた。
当然母は娘が親孝行しようとしているのは分かっていたが、実際問題、娘の優しさに甘えて進路を応援する理解ある母親を演じたのだった。
秋穂は母が認めてくれたことで一層ヤル気を増し、見事防衛大学に合格。
母は喜び、褒め、大学生活を始めた娘を心配して何かと連絡し、やがて娘が順調に卒業するとまた賛辞を送った。
その時になって母は親孝行で大学を選んだことを知っていると伝え、甘えたことを謝った。
そして、本当にやりたいことがあれば違う道に進んでもいいんだと促した。
だが、その時には本当に自衛官に誇りを持っていた秋穂は自分のこれからも見ていて欲しいと答え、親孝行を継続させ続けたのだった。

いつの間にか走るのを止めてとぼとぼ歩いていた小早川は大粒の涙を流し、また追い詰められていた。
自衛官として立派な判断をした。
愛していると言ってくれた螢なら褒めてくれる。
これで良いはずだと言い聞かせるが手は顔を覆い、心が壊れそうになる。
そしてついに螢よりも母を頼り、自分の判断の是非を仰いだ。

しかしそこはもう、指示された合流地点だった。
時間ぴったりにやって来た小早川を待ち受けていた海兵隊は、流石裏切り者だと皮肉り、脈絡なく自分が嫌いな二つのものを挙げた。
多神教信者と裏切り者。
銃口を額に突きつけられた小早川は何も反応を示さず、暗い穴を見つめることしかできなかった。

そして発砲音が空気を震わせると同時に、小早川の頭に穴が開いた。
晴輝が銃声に気づいた時、海兵隊はショウタイムだとばかりに小早川の亡骸には目も暮れず、悠々と前進し始めた。
魂の抜けた目は蒼穹を見つめ、涙が頬を伝っていた。
すると、自分の血を枕に事切れている彼女の頬に、一人の兵士がぐちゃぐちゃに噛みしがんでいたガムを吐き捨てた。
小早川の最期はあまりにも憐れだった。
そして海兵隊は、避難民が集まる駐車場に辿り着いた。
発砲音を聞いた晴輝はまず間違いなく神城たちの暗殺が成功していると伝えた。
銃声は銃火器を手に入れた海兵隊が必要なくなった小早川を殺した音しか考えられず、犯人側が一番厄介にしているはずの神城の戦闘力を排除できたことで、畳み掛けてくるはずだと予想。
ただ、もしも神城が生きていて戦える状態なら一騎当千の戦力になる。
だから、どこにいるかも分からない神城たちを探す不確定要素が多い任務には、一人しか割けないが頑張って欲しいと応援した。
神城の生存を誰よりも願っている蓮華は承り、猫のように身軽な動きで捜索し始めていた。

感想
インフェクション130話131話でした。
小早川の不穏な動きはフラグが立っていましたが、こんな親孝行なできた娘だったとは責められない背景ですね。
結局最後まで解け込みきれないまま、悲惨なラストを迎えさせられたのは救いがなかった。
https://www.kuroneko0920.com/archives/56349






























