彼は健気なお姫様にタオルをかけてあげ、お話しましょうと提案し、好きな男はいないのか訊ねた。
悲しいかな、アナスタシアが11歳の時にウイルスが蔓延して男が死んでいったので、初恋もまだだという。
それで怜人は、だから国のために結婚を急ぐのかと訊ねた。
それは図星だった。
アナスタシアはコップに水を注ぎ、これも隣国から引かなければ手に入らない水だと説明し、それだけじゃない多くの物を輸入に頼っているし、国を統治するためには我が一族の存続が必要なのだと白状した。
小さく華奢な肩に重責を背負っているのを知った彼は、国を救うためにも研究施設を使わせて欲しいと持ちかけた。
MKウイルスの結晶を持っている自分たちなら特効薬開発も不可能じゃなく、何よりこうして生きている男の自分がいるのだから研究材料に事欠かない。
見事特効薬を作り上げ、冷凍睡眠中の父と兄も救ってあげると約束した。

消去法の相手で純潔を失わずに済むかも知れないと思ったアナスタシアは、彼を信じることにしたのだった。
場所は移り、ロスアニア研究施設のクリーンルーム内。
検査やら埃を吹き飛ばしたりや、消毒されたりもするかも知れない場所で全裸になっていた彼と絵理沙は背中を向け合い、こっ恥ずかしい雰囲気に耐えていた。

ただこれは、絵理沙にとって絶好の機会だった。
彼が見ていないと分かっても、胸と股間をしっかり隠している絵理沙は急に改まり、一世一代の告白をするように話し始めた。
この実験で、怜人は死ぬかも知れないとぶっちゃけたのだった。

66話
ワクチン開発により、死ぬかも知れない。
さすがに聞き捨てならなかった彼は詳しく訊こうと振り向き、肩に手を置くが、急な素肌の密着に絵理沙は思わず官能的な声が漏れ出てしまい、彼は勢いを削がれた。

その時、気まずそうに同じく裸のマリアが入ってこようとすると、彼が死ぬ可能性を説明する辛さに耐えかねたのか、絵理沙は涙を浮かべて検査室から飛び出した。
何があったのか気にするマリアに、彼は説明する気は起きなかった。

































